2024年11月24日放送のTBS「がっちりマンデー!!」で紹介された、名古屋の人気焼肉店「肉のよいち」。同店を運営する柳瀬雅斗社長が実現した驚異の坪月商50万円という数字の裏には、従来の焼肉店の常識を覆す独自の経営戦略がありました。今回は、その成功の秘密に迫ります。
肉のよいち柳瀬雅斗社長が明かす坪月商50万円達成の経営戦略
名古屋市のオフィス街に店を構える「肉のよいち」は、わずか18坪の店舗ながら月商906万円を達成し、坪月商50万円という驚異的な数字を実現しています。「月刊食堂」編集長の通山茂之氏によれば、一般的な飲食店では坪月商30万円を超えれば大繁盛店、50万円を超えると「怪物店」とされる中、同店はその「怪物店」の基準をクリアしているのです。
柳瀬社長が語る成功の鍵は、焼肉店でありながら「肉」を主役に据えないという、常識を覆す発想にありました。では、具体的にどのような戦略で、この驚異的な数字を達成したのでしょうか。
焼肉店なのに「釜炊きご飯」を主役に据えた独自戦略とは
「肉のよいち」の最大の特徴は、一人一人に提供される「釜炊きご飯」です。この釜炊きご飯は、五つ星マイスターのお米ソムリエと共同開発した独自のブレンド米「よいち米」を使用。北海道産の大粒で水分量が豊富な品種と、岐阜県産の小粒ながら甘味が濃い品種を絶妙にブレンドし、100パターン以上の試食を重ねて完成させました。
一合594円という価格設定ながら、この釜炊きご飯の提供率は当初の30%から現在は80%にまで上昇。まさに同店の看板メニューとなっています。
坪月商50万円を支える肉のよいちの3つの差別化ポイント
同店の成功を支える差別化ポイントは主に3つあります。
1つ目は、釜炊きご飯と相性抜群の肉メニューの開発です。「白米専用カルビ」(1人前979円)は、あえて油の多めな肉を八丁味噌で味付けし、濃い目の味付けに仕上げることで、米との相性を追求しています。
2つ目は、「大将牛タン食べ比べ」(1人前1639円)に代表される、にんにく塩だれを効かせた濃厚な味付けの商品開発です。
3つ目は、炊きたての美味しさを最大限に活かすため、一人一人に釜で炊いたご飯を提供するというサービススタイルです。
柳瀬雅斗社長が語る驚きの客単価アップ戦略
この戦略による成果は、客単価の大幅な上昇として表れています。以前は一人当たり5品程度だった注文数が、現在では8〜10品に増加。これは、美味しい釜炊きご飯を求めてお客様が来店し、その米を更に美味しく食べるために肉を注文し、そしてまた釜炊きご飯を追加注文するという、いわば「無限ループ」が生まれているためです。
実は同店は、開業当初はセルフ焼肉のビュッフェスタイルで運営していました。しかし、競合店の増加により約1億円の赤字を抱える苦境に陥ったそうです。その中でお客様から「お米が美味しい」という声を聞き、思い切って現在のスタイルに転換。その結果、開店から5年で24店舗にまで事業を拡大することに成功しました。
「昼だけうなぎ屋」への展開で見せた新たな成功例
さらに柳瀬社長は、この「米」へのこだわりを活かし、新たなビジネス展開も果たしています。ランチタイムの売上が月200万円を記録する中、昼専門のうなぎ店をオープン。こちらも専用にブレンドした米を使用し、「ひつまぶし特上(1尾)2800円」などのメニューで、坪月商40万円という高い実績を上げています。
まとめ:肉のよいちから学ぶ差別化戦略の成功法則
「肉のよいち」の成功から学べる重要なポイントは、既存の常識にとらわれない発想と、お客様の声に真摯に耳を傾ける姿勢です。焼肉店でありながら「米」を主役に据えるという大胆な戦略転換は、まさに柳瀬社長のその姿勢から生まれました。
既存店の成功に満足せず、その強みを活かして新たな業態にも挑戦し続ける同社の姿勢は、飲食業界における差別化戦略の成功例として、大いに参考になるでしょう。
※本記事は、2024年11月24日放送(TBS系)の「がっちりマンデー」を参照しています。
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