TBS系列「がっちりマンデー!!」で紹介された三重県ナンバーワン企業・住友電装をご存知ですか?自動車の動きを支える「ワイヤーハーネス」で世界シェア25%を誇るこの企業は、年間売上2兆円の実力を持っています。最先端技術が詰まった自動車部品なのに、意外にも「人の手」による職人技で作られているその秘密に迫ります。日本のものづくりの底力を示す住友電装の成功事例から、地域に根ざしながらグローバルに展開するビジネスのヒントが見えてきます。
がっちりマンデーで紹介!三重県No.1企業・住友電装とは
2025年4月27日にTBS系列で放送された「がっちりマンデー!!」では、「うちの県のNo.1会社」と題して、各都道府県で売上高トップを誇る企業が紹介されました。三重県で1位に輝いたのは、自動車部品メーカーとして知られる「住友電装」です。
加藤浩次さんと進藤晶子さんがMCを務めるこの番組では、「自分の県で一番売れている会社」という意外と知られていない情報に焦点を当て、その成功の秘密に迫りました。ゲストには経済アナリストの森永康平さんや、お笑いコンビのテツandトモも登場し、番組を盛り上げていました。
住友電装は三重県四日市市に本社を構える企業で、年間売上高は約2兆円という驚異的な数字を誇ります。この金額は三重県内の企業としてはナンバーワンであるだけでなく、日本を代表する大企業の規模に匹敵します。では、この企業は一体何を作っているのでしょうか?
住友電装が作る「ワイヤーハーネス」とは何か?自動車に不可欠な部品の秘密
住友電装の主力製品は「ワイヤーハーネス」と呼ばれる部品です。一見すると黒い線がいくつも枝分かれした、何の変哲もない電線の束のように見えますが、これが現代の自動車には欠かせない重要部品なのです。
ワイヤーハーネスとは、自動車内の電力や信号を送る電線を束ねたものです。現代の自動車には驚くべきことに1台あたり約1800本もの電線が使われており、その総延長は2.4kmにも及びます。これらの電線は車のあらゆる機能に欠かせません。
例えば、ブレーキを踏んで車が止まるのはワイヤーハーネスが信号を送るからですし、ボタンを押して窓が開くのもワイヤーハーネスが電気を送っているからなのです。つまり、目には見えにくい部分ですが、自動車の「神経系統」とも言える重要な役割を担っているのです。
驚きの世界シェアナンバーワン!住友電装の年間売上2兆円の実力
住友電装の生産本部に所属する瀬戸肇氏によると、同社のワイヤーハーネスは世界中の自動車の4台に1台、つまり約25%のシェアで使用されています。年間では約2200万台の自動車に搭載されるという驚異的な数字です。
この世界シェアナンバーワンの実績が、年間売上高2兆円という驚異的な数字を生み出しています。住友電装は日本国内の自動車メーカーだけでなく、海外の主要自動車メーカーにも広く製品を供給しており、グローバル市場で強固な地位を確立しています。
もともと三重県四日市市で電線を製造していた同社は、1950年代後半から周辺地域に自動車関連企業が増加したことをきっかけに、ワイヤーハーネス製造に参入しました。地理的優位性を活かした事業展開が、今日の成功につながっていると言えるでしょう。
ワイヤーハーネス製造の現場に密着!人の手による技術の高さ
「がっちりマンデー!!」の取材チームは住友電装の製造ラインを訪れ、ワイヤーハーネスが作られる現場を紹介しました。驚くべきことに、最先端の自動車部品であるワイヤーハーネスの製造には、多くの工程で人の手が欠かせないのです。
ものづくり具現課の谷尚子製造課長によると、ワイヤーハーネスは自動車メーカーや車種によって仕様が異なり、何万種類、何十万種類もの製品があるとのこと。そのため、設備だけでは対応できない作業が多く、人の手による物づくりが重要となっています。
ワイヤーハーネス製造の工程は主に3つあります。まず、自動車の設計図に合わせて電線を配置し、次に線の先端にコネクターを取り付けます。そして最後に、電線を束ねて保護するためのテープ巻き作業を行います。特にこのテープ巻き作業は、手早く正確に仕上げる必要があり、高度な技術が要求されるのです。
1台の車に1800本!ワイヤーハーネスが自動車産業を支える理由
なぜ自動車メーカーは自社でワイヤーハーネスを製造せず、住友電装のような専門メーカーに依頼するのでしょうか?その理由は、自動車の複雑さにあります。
先述のように、現代の自動車には1台あたり約1800本、総延長2.4kmもの電線が使われています。これらを自動車工場で1本1本取り付けていたら、時間も手間もかかりますし、間違いも起こりやすくなります。そこで、電線をあらかじめまとめておくことで効率よく組み立てられるよう、ワイヤーハーネス専門メーカーの技術が必要とされているのです。
また、近年の自動車は電子制御システムやインフォテインメント機能(情報取得と娯楽体験が一体となったサービスやシステム機能)の増加により、必要となる電線の数がますます増えています。しかし電線が増えると車体が重くなり、燃費が悪化するという問題が生じます。そのため、電線を軽量化する技術開発も住友電装の重要な強みとなっています。こうした専門性の高さが、同社の世界的な競争力を支えているのです。
住友電装の瀬戸肇氏が語る、三重県から世界30カ国へ広がるビジネス
生産本部の瀬戸肇氏によると、住友電装は現在、世界30カ国以上に拠点を持ち、全世界で約25万人もの従業員を抱える巨大企業に成長しています。三重県四日市市で70年近くにわたってワイヤーハーネスを製造してきた老舗企業が、グローバル企業へと発展した背景には、品質と技術力への徹底したこだわりがあります。
特に自動車部品は安全性に直結するため、高い品質基準が求められます。住友電装はこの厳しい要求に応え続けることで、世界中の自動車メーカーからの信頼を獲得してきました。また、地元三重県での雇用創出も大きく、地域経済への貢献度も高い企業と言えるでしょう。
自動車業界は現在、電気自動車(EV)や自動運転技術の普及により大きな変革期を迎えています。こうした変化に対応するため、住友電装も常に新技術の開発に取り組んでいます。地域に根差しながらもグローバルに展開する企業モデルとして、同社の今後の展開にも注目が集まります。
手作業の神業!テープ巻き技術者が見せる驚異のスピードと精度
「がっちりマンデー!!」の番組内では、ワイヤーハーネス製造における重要工程であるテープ巻き作業に焦点が当てられました。番組スタッフがこの作業に挑戦したところ、50cmの電線を巻くのに54秒かかり、しかもテープに隙間ができてしまうなど、技術の難しさが浮き彫りになりました。
一方、住友電装で入社3年目の若手技術者・林優都さん(21歳)は、同じ作業をわずか14秒43という驚異的なスピードで完了させました。しかも高速で作業しながらも、テープの半分を隣のテープに正確に重ねる「ハーフラップ巻き」という高度な技術を披露。この精度の高さが、住友電装の製品クオリティを支える重要な要素となっています。
番組では林さんが「給料は上がっていないです」と冗談めかして話す場面もありましたが、谷尚子製造課長が「いえ、上がっていますよ」と即座に返す一幕もあり、技術を持った人材を大切にする企業風土がうかがえました。こうした職人技とも言える手作業の技術が、最先端の自動車産業を陰から支えている事実は、非常に興味深いものがあります。
8. まとめ:三重県発の住友電装がワイヤーハーネスで世界を席巻する理由
2025年4月27日放送の「がっちりマンデー!!」で紹介された三重県のナンバーワン企業・住友電装は、自動車の「神経系統」とも言えるワイヤーハーネスを製造する世界的企業です。年間売上高約2兆円、世界シェア約25%という圧倒的な数字がその実力を物語っています。
世界30カ国以上に拠点を持ち、約25万人もの従業員を抱える同社ですが、その強さの秘密は意外にも「人の手」による丁寧な製造工程にありました。自動車1台あたり1800本もの電線を束ね、高度な技術で仕上げる職人技が、住友電装の製品の信頼性を支えているのです。
三重県四日市市で電線メーカーとして創業し、地域の自動車産業の発展とともに成長してきた住友電装。地域に根差しながらもグローバルに展開し、世界の自動車産業に欠かせない存在となった同社の成功は、日本のものづくりの底力を示す好例と言えるでしょう。自動車業界が大きな変革期を迎える中、住友電装の今後の展開にも引き続き注目していきたいものです。
※ 本記事は、2025年4月27日にTBS系列で放送された人気番組「がっちりマンデー!!」を参照しています。
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