2025年9月4日放送の「カンブリア宮殿」で特集された大関の「驚きの大変貌」について、詳しい内容をお知りになりたいのではないでしょうか。長部訓子社長が仕掛けるワンカップを超えた独自戦略、8年で経常利益3倍の成長秘話、そして「みぞれ酒」などの革新的な取り組みまで、番組では語られなかった舞台裏も含めて徹底解説いたします。この記事を読むことで、創業300年の老舗酒造メーカーが時代に合わせてどのように変革を遂げているのか、その全貌を理解していただけます。
カンブリア宮殿で話題!大関ワンカップの知らない間に変わっていた驚きの実態
2025年9月4日に放送されたテレビ東京系「カンブリア宮殿」で、創業300年を超える老舗酒造メーカー・大関の驚くべき変貌が明かされました。番組のテーマは「ワンカップを超えろ!大関が驚きの大変貌」。多くの視聴者が知らない間に、大関は従来のイメージを大きく変える革新的な取り組みを進めていたのです。
最も印象的だったのは、東京新宿の居酒屋「うおや一丁 新宿三光町店」で紹介された「みぞれ酒」という新しい飲み方の提案でした。普通に売られているワンカップ大関をマイナス15度で冷やし、数回衝撃を与えるとマジックのように日本酒がシャーベット状に変化します。この斬新な提案に、実際に体験した客からは「普通にうまい」「冷酒よりも飲みやすい」という驚きの声が上がっていました。
実は、この変化の背景には日本酒業界全体が直面する深刻な課題があります。2024年12月に「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録され注目を集める一方で、日本酒の国内消費量は50年で約4分の1まで減少しているのが現実です。このような逆風の中で、大関は単なる伝統の継承ではなく、時代に合わせた大胆な変革を選択したのです。
長部訓子社長が仕掛ける大関の独自戦略とは?ワンカップを超えた新商品開発
大関の変革を牽引するのは、14代目にして初の女性社長である長部訓子氏(68歳)です。2017年の社長就任以来、長部社長は「変わる勇気が未来を作る」を会社方針に掲げ、様々な革新的な取り組みを実施してきました。
最も注目すべきは、ワンカップ依存からの脱却戦略です。2000年代には売上の4割を占めていたワンカップの比率を現在は3割余りまで下げ、多角化を進めています。長部社長は番組内で「ワンカップが売れすぎて、皆さんに知っていただきすぎた、功罪みたいなのは感じました」と率直に語っており、成功商品への過度な依存リスクを的確に捉えた経営判断と言えるでしょう。
大関本社内の総合研究所では、大学院で微生物学を専門的に学んだ20人の研究員が勤務し、科学的なアプローチで新商品開発を行っています。京都大学大学院卒や大阪市立大学大学院卒など高学歴の若手研究者が中心となり、発酵段階で香りやアルコールを生み出す酵母の研究を通じて、これまでにない味わいの創出に取り組んでいます。
この研究の成果として生まれたのが、3年前に発売されたオーガニック純米酒「#J」(720ml)です。有機米を使用し、ワイン感覚で味わえる日本酒として位置づけられており、従来の大関のイメージを一新する商品として注目されています。
ワンカップ大関から脱却!日本酒業界で注目の「みぞれ酒」と新提案
大関の独自戦略の中でも特に革新的なのが、既存商品の新しい楽しみ方を提案する取り組みです。冒頭で紹介した「みぞれ酒」はその代表例で、商品自体は従来のワンカップながら、飲み方の提案により全く新しい体験を創造しています。
さらに驚くべきことに、番組では社内会議でラーメンスープ割りという斬新な飲み方も検討されていました。人気ラーメン店の醤油スープでワンカップを割るという発想は、一見突飛に思えますが、実際に試した社員からは「めっちゃ美味い」「冬場の寒い時に優しい味で可能性を感じる」という高評価を得ています。
このような柔軟な発想が生まれる背景には、2023年に復活した商品企画会議の存在があります。長部社長が社内に残っていた1960年代の議事録ノートからヒントを得て復活させたこの会議は、商品企画だけでなく営業や製造など様々な部署の人間が集まり、活発な意見交換を行う場となっています。
大関直営店「甘辛の関寿庵」では、こうした取り組みの成果として、フローズンカクテルやスパークリング日本酒「花泡香」、さらには甘酒を使った「発酵鍋の素」や「肉吸いの素」といった食品まで展開しており、日本酒メーカーの枠を超えた多角化戦略が実を結んでいます。
大関が挑む高級志向への転換「創家大坂屋」で変わる日本酒のイメージ
大関のもう一つの重要な戦略が、高級志向の日本酒造りへの挑戦です。大衆酒のイメージが強い大関ですが、技術継承と将来への投資として本格的な高級酒の製造に力を入れています。
その象徴的な商品が「創家大坂屋」(720ml)です。酒米の最高峰である兵庫県産山田錦100%を使用した純米大吟醸で、華やかでフルーティーな味わいが特徴です。この商品は2024年にフランスで開催された「Kura Master」純米大吟醸酒部門で金賞を受賞するなど、国際的にも高い評価を受けています。
全国新酒鑑評会の公開きき酒会では、参加者から「しっかりとしたお米の味と、甘みの余韻がやっぱ後からきますよね。だけど、しっかりとしたキレがある」「香りが一口目からすごい。万人受けしそうな感じがしました」という専門家からの支持も得ており、大関の技術力の高さを証明しています。
長部社長は高級志向への転換について「みんなが作る技術が伝承されていかないんじゃないか、お酒造りっていうところが、将来的に危機なんじゃないかと思った」と語っており、単なる利益追求ではなく、日本酒造りの技術継承という使命感が根底にあることが分かります。
長部訓子社長の経営手腕で復活!大関の売上3倍成長の舞台裏
長部訓子社長の経営手腕の真価は、数字にも明確に表れています。2017年の社長就任から8年間で、大関の経常利益は約3倍に成長しました。この驚異的な成長の背景には、長部社長の的確な現状分析と果断な意思決定があります。
特に注目すべきは、社長就任前の危機的状況への対応です。大関は2000年代に入ると経営が悪化し、2回の人員削減を実施。社員の2割にあたる約100人が会社を去るという厳しい状況でした。そんな中、3回目のリストラが検討される状況で長部社長は立ち上がりました。「3回目のリストラをしたらもう大関が大関でなくなると思った」という強い信念のもと、人を大切にする経営を貫いたのです。
さらに、2020年の新型コロナウイルス感染拡大という未曾有の危機も、巣ごもり需要を的確に捉えることで乗り越えました。「生活スタイルも大きく変わってきましたし、私たちの物作りもやっぱり変わっていかなければいけない」という柔軟な発想で、時代の変化に対応した商品開発を推進したのです。
長部社長の経営哲学の根底にあるのは、社是である「魁集団への躍進」の精神です。先頭に立って新しいものを生み出し、魁(さきがけ)となるという江戸中期の創業以来培われてきた精神を、現代に活かした経営を実践しています。
カンブリア宮殿が注目する大関の海外戦略と日本酒の未来展望
大関の成長戦略において、もう一つの重要な柱が海外展開です。現在、約50の国と地域で販売を行っており、国内市場の縮小を海外市場の拡大で補完する戦略を推進しています。
海外専用商品として開発された「桜ビューティー45」(720ml)は、5年前に新品種の今津紅桜から酵母を採取して作られた純米大吟醸で、ハチミツのような甘さが特徴です。アメリカの販売代理店からは「今のトレンドにあった感じの酒だなあという感じです」と高評価を得ており、300mlの小瓶展開も検討されています。
現在、大関の海外での売上は全体の5%程度ですが、長部社長は「まだまだ日本酒自体が0.1%ぐらいなんですね、海外のアルコールの中だけでも。ですので伸びしろはこれからだと思ってます」と前向きに語っています。日本酒の輸出額は2024年に434.7億円に達しており、この成長市場で大関がどこまでシェアを伸ばせるかが注目されます。
長部社長の「最初から、これ絶対ヒットしますなんてわかるわけがないので。やっぱり、一生懸命、そのかわり考えて、考えて、作ったものを信じて、やっぱり売る。100個か1,000個のアイデアから、1個の生まれたようなワンカップですので。そこはやり続けないといけない」という言葉からは、試行錯誤を恐れない強い意志が感じられます。
まとめ
2025年9月4日放送のカンブリア宮殿で紹介された大関の変革は、単なる企業の成長物語を超えた、日本の伝統産業が直面する課題への一つの解答を示しています。長部訓子社長のリーダーシップのもと、ワンカップという成功体験に安住することなく、時代のニーズに合わせて大胆に変化する姿勢は、多くの企業にとって参考になるでしょう。
「みぞれ酒」や高級志向の「創家大坂屋」、海外展開など多角的な戦略により、8年間で経常利益を3倍に成長させた実績は、長部社長の経営手腕の確かさを物語っています。300年の歴史を持つ老舗でありながら、常に魁(さきがけ)の精神を忘れない大関の今後の展開に、ますます注目が集まりそうです。
※ 本記事は、2025年9月4日放送(テレビ東京系)の「カンブリア宮殿」を参照しています。
※ 大関株式会社のHPはこちら
※ お酒は20歳を過ぎてから。適量を楽しみましょう!
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