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テレビ番組・情報

【カンブリア宮殿】サクラクレパス西村彦四郎「100年企業の革新戦略」

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2025年10月23日放送のカンブリア宮殿で、サクラクレパスの西村彦四郎社長が語った経営戦略が大きな反響を呼んでいます。少子化・デジタル化の逆風が吹く中、なぜ老舗文具メーカーが売上470億円という過去最高を更新できたのか?この記事では、番組で明かされた3つの顧客拡大戦略と、100年続くロングセラー商品を生み出す秘訣を徹底解説します。読めば、あなたのビジネスにも応用できる「伝統と革新」の両立法が見えてきます。


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サクラクレパス西村彦四郎社長が語る「ロングセラー商品」が必要な理由

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サクラクレパスの西村彦四郎社長                            (引用:「カンブリア宮殿」より)

番組で最も印象的だったのは、村上龍氏の「ロングセラーがなんで必要なんですか?」という質問に対する西村社長の回答でした。

西村社長は明確にこう答えています。「商品を出すまでには研究開発費、設備投資、プロモーション費用と大きなコストがかかる。よく売れても2〜3年で終わってしまったら、差し引きして会社に利益は出ていない。ロングセラーになることで初めて会社に利益が出る」

この考え方は、多くの企業が見落としがちな重要な視点です。短期的なヒット商品を追い求めるのではなく、長期的に愛される商品を生み出すことこそが、企業の持続的成長につながるという哲学が、サクラクレパスの強さの根幹にあります。

実際、同社が1925年に発売したクレパスは、2025年で誕生100周年を迎えました。世界60以上の国と地域で年間2000万本を製造し続けているこの事実が、ロングセラーの力を何よりも雄弁に物語っています。

西村社長はさらに興味深い研究結果を紹介しています。「市場にあるロングセラー商品のほとんどが、そのカテゴリーを初めて作った商品。最初に出した商品がロングセラーとなる確率も高く、長く愛される」。つまり、「ファーストペンギン」として新しい市場を切り開くことが、ロングセラーへの最短距離だというわけです。

この戦略は、1984年に世界で初めて開発したゲルインキボールペンでも証明されています。特許の取り方が完璧でなかったため他社も参入しましたが、結果的に市場全体が拡大し、今やゲルインキはボールペン市場で最大のシェアを占めるまでになりました。


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少子化・デジタル化の逆風で売上470億円達成!3つの顧客拡大戦略

西村社長が2014年に社長就任後、サクラクレパスは売上を伸ばし続け、2024年には過去最高の470億円を達成しました。少子化で子供の数が減り、デジタル化で紙に書く機会が減る中、この数字は驚異的です。

社長自身、「少子化だからマーケットが小さくなるとは思っていない」と断言します。その理由がユニークです。「筆記具は誰でも5本や10本持っている。必要だから買うわけではなく、欲しいから買う。だから欲しいものを作れば需要はいくらでもある」

この発想の転換が、3つの顧客拡大戦略を生み出しました。従来の「学校の子供向け」という枠を超え、①大人向け高級文具、②工業用特殊製品、③家族で使える便利グッズという新市場を次々と開拓していったのです。

特に注目すべきは、海外売上比率が44%に達している点です。国内市場の縮小を海外展開でカバーするだけでなく、世界100カ国以上で「SAKURA」ブランドを確立することで、グローバル企業としての地位を築いています。


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顧客拡大戦略①:大人も欲しがる高級ボールペン「クラフトラボ」シリーズ

2017年に発売を開始した「サクラクラフトラボ」シリーズは、サクラクレパスのイメージを一新しました。番組では、このシリーズが「文房具屋さん大賞」を受賞した人気商品として紹介されています。

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大人が欲しがる高級文具「サクラクラフトラボ」                      (引用:「カンブリア宮殿より」)

最大の特徴は、ペン先、クリップ、ボディーなど色や素材を自由に選べる点で、組み合わせは288通りにも及びます。真鍮製のボディーは使い込むほどに味わい深く変化し、「相棒とも呼ぶべきペン」になっていくと、愛用者の森本百恵さんは語っていました。

価格帯は2,000円台から16,500円と幅広く設定されていますが、番組で西村社長が披露したこだわりには驚かされました。黒インクだけで5色を用意し、「ブルーっぽい黒」「グリーンっぽい黒」など、微妙に異なる色合いを選べるようになっているのです。「ビジネスでは黒しか使わないが、そこにもう少し工夫を加えよう」という発想から生まれたこの仕様は、まさに「大人の遊び心」を刺激します。

さらに興味深いのは、クリップのないペンの転がり防止対策です。ペンの片側に真鍮のおもりを入れることで重心を偏らせ、転がっても止まる仕組みを実現。こうした細部へのこだわりが、大人の文具愛好家の心を捉えています。

このシリーズの成功により、「子供用画材メーカー」というイメージから脱却し、「大人の筆記具ブランド」としての認知度向上に成功しました。

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顧客拡大戦略②:工業用「ソリッドマーカー」で特殊分野へ進出

番組では千葉県浦安市の鉄工所(梶哲商店)で活躍するソリッドマーカーが紹介されました。このマーカーの凄さは、181度に熱した鉄板でもくっきりと書けること。一般的なマーカーではインクが出なくなる高温環境でも問題なく使用できます。

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高温でも水中でも書ける「ソリッドマーカー」                      (引用:「カンブリア宮殿」より)

 

ソリッドマーカーは簡単に言えば「ペンキを固めて作ったマーカー」で、水の中でも書けるという驚異的な性能を持っています。屋根のない雨風の吹き込む現場でも使えるため、建設業や製造業で重宝されているのです。

実は、こうした現場では以前からクレパスが使われていました。サクラクレパスはその使用実態に着目し、「もっと使いやすい専用商品を」と開発に乗り出したのです。既存商品の応用ではなく、現場のニーズを深く理解して新商品を生み出す姿勢が、新市場開拓につながっています。

鉄工所の男性社員は「最初は疑いましたね。でも今はないと困ります」と語っており、現場での信頼の厚さがうかがえます。

画材メーカーとしての色彩技術やクレパスの材料研究で培った知見が、まったく異なる工業分野で花開いた好例と言えるでしょう。半導体産業や医療分野でもサクラクレパスの技術が活用されており、文具の枠を超えた事業展開が進んでいます。

関連記事:【がっちりマンデー】サクラクレパスのソリッドマーカー「水中でも書ける」驚きの性能


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顧客拡大戦略③:学校向け通販カタログ「エデュース」が売上4割を占める理由

西村社長の最大の功績とも言えるのが、学校向け通販カタログ事業「エデュース」の立ち上げです。現在、この事業は売上の4割を占める柱となっていますが、立ち上げ時は社内外から猛反発を受けました。

営業企画部門のリーダーとなった西村氏は、企業向け通販のアスクルが成長していることに着目。学校向けにも同様のサービスができないかと考え、クレパスだけでなく跳び箱、体育用品、理科実験道具など学校で使うあらゆる商品約6,000点(現在は2万5,000点)を掲載したカタログ販売を提案しました。

しかし、従来は販売店を通して学校に商品を届けていたため、学校と直接取引する形に変えることに販売店が猛反発。社内からも「長い付き合いの販売店に抜けられたらどうするのか。サクラクレパスを潰す気か」という厳しい声が上がりました。

当時の売上の3割を学校ビジネスが占めていたため、販売店は重要なビジネスパートナー。まさに「四面楚歌」の状態でした。それでも西村氏は「アスクルがどんどん伸びていく。時代の流れが通販に向かっている。同じことをやっていたら少子化の影響をもろに受ける。逆にやらなかったらやられる」という危機感から、5年がかりで販売店を説得し続けました。

販売店には「エデュースが伸びれば収益も上がる」と丁寧に説明し、請求業務などを委託して売上に応じた手数料を支払う形に変更。最終的に納得を得て、サービス開始にこぎつけました。

結果は大成功。「夕方までの注文は翌日お届け、送料無料」という仕組みが学校現場に支持され、現在では全国の教育現場の約9割がエデュースに登録しています。東京・目黒区の菅刈小学校では、和太鼓クラブのハッピ、ハチマキ、バチなどをすべてエデュースで購入。「急に必要になった時でも翌日に届くので安心」と高評価を得ています。

当初反対していた販売店の氏田安弘社長(氏田教材)も、「エデュースが浸透するにつれて取引量も上がっている。2人3脚でお互いにウィンウィンになっている。西村社長のご眼力ではないか」と称賛するまでになりました。

興味深いのは、エデュースのカタログには競合他社の商品も掲載されている点です。西村社長は「この通販事業はメーカーではなく流通業。サクラとは全く別。メーカーの意識を捨ててくれ、サクラより競合品を望まれたら競合品を売る」と社員に伝えたそうです。自社製品販売にこだわらず、顧客ニーズを最優先する姿勢が、事業成功の鍵となっています。


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クレパス・クーピーペンシル・ゲルインキ:サクラクレパスが生んだ世界初の技術

サクラクレパスの強さの源泉は、「世界初」の技術を生み出し続けてきた歴史にあります。

クレパス(1925年発売) クレヨンとパステルを足した造語で、硬くて線が描きやすいクレヨンと、美しい発色が特徴のパステルのいいとこ取りをした画材です。クレヨンは他の色と混ざりにくいのに対し、クレパスは重ねて塗ることで深く色が混ざり、表現の幅を広げられます。番組では700色ものクレパスが紹介され、「色と色の間がないぐらい」に細かく色分けされていることに驚かされました。

創業者の佐武林蔵は、大正時代の自由画運動(目で見て感じたものを自由に描くべきという教育運動)に共感し、当時高価だった輸入クレヨンの代わりに、低価格で質の良い国産画材を作ろうと決意。1921年に「日本クレイヨン商会」を設立し、2年間の試行錯誤の末、1925年にクレパスを完成させました。

営業マンは全国の小学校を訪ねて使い方を教えて回り、当時の営業部は「美術部」と呼ばれていたそうです。クレパスを売るのではなく、自由画運動を広める。この姿勢が「お絵描き文化」を日本に根付かせ、”棒状絵具の大革命”と絶賛されるヒットにつながりました。

クーピーペンシル(1973年発売) フランスのメーカーと共同開発した、世界初の「芯だけで作った色鉛筆」です。普通の色鉛筆は消しゴムで消せませんが、クーピーは消せるのが大きな特徴。60色セットでは緑だけでも何種類もあり、豊かな表現が可能です。

番組では銀座の伊東屋で「大人のクーピー」をテーマにしたスタイリッシュなボールペンも紹介されました。親子で来た男性客が「世代を超えるとこんなことになるんだ」と驚き、子供も「大人になってからも使えるような商品。いろんな用途で使いたい」と興味を示していました。

ゲルインキボールペン(1984年開発) 水性インクは滑らかな書き味で支持されていましたが、滲んでしまう欠点がありました。そこでサクラクレパスが開発したのが、特殊な性質を持つゲルインキです。

番組で実演されていたように、貯まっている時はゼリー状で固まっていて、ひっくり返しても落ちてきません。しかし力を加えると(ペン先のボールが回転すると)サラサラの液体になって出てくる仕組みです。紙の上では再びゲル状になって定着するため、滲みにくいのです。

特許を取得しましたが、4〜5年後には他社からも同様の商品が出てきました。それでも西村社長は前向きに捉えています。「他社がみんな出したからこそゲルインキボールペンの市場が大きくなり、今ではボールペン市場で1番大きい。市場ができてきた」と。

これら世界初の技術は、単なる偶然ではなく、「世の中にないサービスを作って、お客さんの欲しいもの売る」という一貫した開発哲学から生まれています。西村社長の「社会に対する貢献はトヨタ自動車に負けていない」という言葉には、文具メーカーとしての強い誇りが感じられます。


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まとめ:カンブリア宮殿が伝えた「伝統を革新に変える」サクラクレパスの未来

2025年10月23日放送のカンブリア宮殿で明らかになったサクラクレパスの成功戦略は、あらゆる業界に応用できる普遍的な教訓を含んでいます。

西村彦四郎社長(69歳)が2014年の社長就任から11年間で実現した売上470億円という過去最高の業績は、以下の要素が組み合わさった結果です。

1. ロングセラー重視の経営哲学
短期的な流行ではなく、長期的に愛される商品を生み出すことで、持続的な利益を確保する。

2. ファーストペンギン戦略
新しいカテゴリーを初めて作ることで、ロングセラーになる確率を高める。

3. 顧客の再定義
「子供向け」から「大人向け」「工業向け」へと顧客層を拡大し、市場を創造する。

4. 既存資産の再解釈
クレパスの技術を工業用マーカーに応用するなど、持っている技術を新しい視点で活かす。

5. 時代の流れを読む先見性
エデュースのように、他業界の成功事例を自社に取り入れる柔軟性。

番組最後、村上龍氏の「100年前に出したクレパスを今だに愛用されているって奇跡みたいなもの。こんな奇跡をまた起こせると思いますか?」という質問に対し、西村社長は力強く答えました。

「当然それを起こすと信じている。会社というのは社員の人が全て。先輩たちが自由画運動を広めることで広がり、日本の社会に対する貢献は大きなものがある。子供の情操を育むということで。だからそういう歴史を知ってもらって、誇りを持ってほしいと伝えています」

2025年4月には保育現場を支えるAI顔認識システム「イロドキ」をスタートさせ、クレパス誕生からちょうど100年の節目に、また新たな挑戦を始めたサクラクレパス。伝統を守りながら革新を続けるその姿勢は、少子化・デジタル化という逆風の中でも、創意工夫次第で成長できることを私たちに教えてくれています。

「欲しいものを作れば需要はいくらでもある」という西村社長の言葉は、すべてのビジネスパーソンに響く金言ではないでしょうか。

※ 本記事は、2025年10月23日放送(テレビ東京系)の人気番組「カンブリア宮殿」を参照しています。
※ 株式会社サクラクレパスの公式サイトはこちら

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