2025年7月6日にTBS系「がっちりマンデー」で特集された株式会社Liberawareは、創業わずか8年で東証グロース市場への上場を果たした注目の企業です。同社が開発する革新的な屋内点検用ドローン「IBIS 2」は、従来では不可能だった「狭い隙間も点検できる」技術により、日本のインフラ点検業界に革命をもたらしています。
株式会社Liberawareと閔弘圭社長が開発したドローン事業の全貌
株式会社Liberaware(リベラウェア)は、2016年8月22日に千葉県千葉市で設立されたドローン開発企業です。代表取締役の閔弘圭(ミンホンキュ)社長の強いリーダーシップのもと、2024年7月29日には東証グロース市場への上場を実現しました。創業から上場まで8年という短期間での成長は、同社の技術力と市場への適応力の高さを物語っています。
がっちりマンデーの番組内で閔社長が明かしたところによると、同社の昨年度売上高は約9億円に達し、この1年で売上を2倍以上に伸ばす絶好調の業績を記録しています。これは、従来のドローン業界では見られない急成長ぶりで、産業用ドローンに特化した戦略が功を奏していることがわかります。
同社のビジネスモデルは、自社開発のドローンの販売・レンタル事業を中心としており、特に屋内点検分野に特化することで、中国メーカーが7割以上を占める民生用ドローン市場とは一線を画したポジションを確立しています。閔社長は番組で「誰もが安全な社会を作る」というミッションを掲げ、見えないリスクを可視化する技術の開発に情熱を注いでいることを語りました。
IBIS 2ドローンの革新技術「狭い隙間も点検できる」仕組みを徹底解説
Liberawareの主力製品である「IBIS 2」は、1機数百万円という高価格にもかかわらず、全国から注文が殺到している革新的な屋内点検用ドローンです。その最大の特徴は、従来のドローンでは不可能だった狭い隙間での安定飛行を実現した独自の制御技術にあります。
通常のドローンは、上から空気を吸い込む構造のため、狭い空間を飛行すると壁側に貼り付いてしまうという致命的な弱点がありました。しかし、IBIS 2では、この「壁側に貼り付く現象を防ぐ」独自の制御システムを搭載しています。機体が傾きそうになると自動で感知し、即座に姿勢を戻す高度な制御技術により、狭い空間でも安定した飛行を維持できるのです。
さらに注目すべきは、ドローン業界の常識を覆す「自力で反転」できる機能です。通常、ドローンがひっくり返ってしまうと、構造上自力で立ち直ることは不可能でした。しかし、IBIS 2ではアーチ状に設計されたカバー部分と、緊急時にプロペラの半分だけが逆回転する独自機能により、人の手を借りることなく自動で反転できる画期的な仕組みを実現しています。
この技術革新により、IBIS 2は人が立ち入ることのできない危険な場所や、狭すぎて人間では点検が困難な箇所でも、確実かつ安全に点検作業を行うことができるようになりました。
JR東日本ビルテックでの導入効果と石井駿之氏が語る作業効率向上
IBIS 2の実用性の高さは、大手企業での導入実績からも明らかです。数年前にIBIS 2を導入したJR東日本ビルテック株式会社の石井駿之さんは、がっちりマンデーの取材で驚くべき作業効率改善について証言しました。
従来の天井裏点検作業では、狭い点検口を一つずつ人の目で確認する必要があり、暗くて遠くまで見えない上に、作業員にとって非常にハードな業務でした。特に水道管の老朽化点検では、全て天井内に人が潜って作業を行う必要があり、膨大な時間と労力を要していました。
しかし、IBIS 2の導入により状況は劇的に改善されました。石井さんによると、「面積やエリアにもよりますが、5倍から10倍ぐらいの速度になってくるところもあります」という驚異的な効率向上を実現しています。これは単純に作業が速くなっただけでなく、人間の目では見落としがちな箇所も、ドローンのカメラにより隅々まで確実に調査できるようになったことを意味します。
作業効率の向上は、人件費の削減や作業時間の短縮だけでなく、作業員の安全確保にも大きく寄与しています。危険な高所作業や狭い空間での作業リスクを大幅に軽減し、より安全で効率的な点検業務を可能にしているのです。
埼玉県八潮市道路陥没事故でも活躍したIBIS 2の災害対応力
IBIS 2の真価は、平常時の点検業務だけでなく、緊急時の災害対応でも遺憾なく発揮されています。2025年1月28日に発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故では、IBIS 2が人命救助に重要な役割を果たしました。
この事故では、直径約5メートル、深さ約10メートルの穴にトラックが転落し、運転手の男性が取り残されるという深刻な状況が発生しました。事故現場は危険で人が立ち入ることができず、さらに下水が流れ込む悪環境下での捜索活動となりました。
このような極限状況で、IBIS 2が重要な役割を果たしました。2025年2月5日、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の協力要請を受けて実施された下水管内部調査において、IBIS 2は「キャビンらしきもの」の発見に貢献しました。狭くて危険な下水道内部という人間では到達不可能な場所での状況確認を可能にし、その技術力の高さを実証したのです。番組では、このような災害対応での実績が、IBIS 2の優れた技術力を証明する事例として紹介されました。
また、IBIS 2は事故や震災で倒壊した建物の内部確認、人が入ることができない下水管やパイプの中でのひび割れチェックなど、様々な緊急時対応で活用されています。これらの実績は、同社のミッションである「誰もが安全な社会を作る」ことに直結する価値ある貢献といえます。
がっちりマンデーで注目された上場企業Liberawareの今後の展望
がっちりマンデーの番組終盤では、Liberawareの技術開発担当である長谷川大季さんが、同社の将来展望について語りました。長谷川さんは「より精度高くデータを取ったり、設備ごとに適した機体を開発したい」と述べ、同社が継続的な技術革新に取り組んでいることを明らかにしました。
番組内で加藤浩次さんが指摘したように、今回特集された上場企業3社はすべて「開発」に力を注いでいることが共通点でした。Liberawareも例外ではなく、現在のIBIS 2の成功に満足することなく、さらなる技術進歩を追求する姿勢を示しています。
特に注目すべきは、設備ごとに最適化された機体の開発です。これは、現在のIBIS 2が汎用性の高い設計である一方、今後は特定の用途に特化したより専門性の高いドローンを開発していく方針を示しています。例えば、下水道専用、橋梁点検専用、原子力施設点検専用など、それぞれの環境に最適化された機体の開発が期待されます。
また、データ取得精度の向上も重要な開発テーマです。現在でも高精度な点検が可能なIBIS 2ですが、AI技術の進歩と組み合わせることで、より詳細で正確な異常検知が可能になると予想されます。これにより、点検業務の自動化がさらに進み、人的ミスの削減と点検品質の向上が同時に実現できるでしょう。
同社は「世界中の点検をアップデート」することを目標に掲げており、今後は国内市場だけでなく、海外展開も視野に入れた事業拡大が期待されます。インフラの老朽化は世界共通の課題であり、IBIS 2の技術は国際的にも高い需要が見込まれます。
まとめ
がっちりマンデーで特集された株式会社Liberawareは、閔弘圭社長のビジョンのもと、革新的なドローン技術により急成長を遂げている注目企業です。同社の主力製品IBIS 2は、「狭い隙間も点検できる」独自技術により、従来不可能だった点検業務を実現し、JR東日本ビルテックでの5~10倍の効率向上や、埼玉県八潮市道路陥没事故での人命救助への貢献など、確かな実績を積み上げています。
創業8年で年商9億円、東証グロース市場上場という輝かしい成果は、技術力に裏打ちされた持続可能な成長の証拠です。長谷川大季さんが語った今後の技術開発方針からも、同社がさらなる革新を続けていくことが期待できます。
インフラの老朽化が深刻化する現代において、Liberawareのドローン技術は社会課題解決の重要な鍵を握っています。がっちりマンデーで紹介されたように、同社は「世界中の点検をアップデート」するという壮大な目標に向かって、着実に歩みを進めています。今後の更なる成長と技術革新に注目が集まります。
※ 本記事は、2025年7月6日放送(TBS系)の人気番組「がっちりマンデー!!」を参照しています。
※ 株式会社LiberawareのHPはこちら
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