ものづくりに欠かせない「混ぜる」作業。食品からくすりに至るまで、さまざまな製品の品質は混ぜ方次第で決まります。そんな重要な役割を担う「かくはん機」の専門メーカーが埼玉県にあり、その技術力は製造業界を支える大黒柱となっています。この記事では、「がっちりマンデー！」（2024年６月９日放送-TBS系）で紹介された佐竹マルチミクスの高性能かくはん機で、業界トップの地位を確立した同社の強みや最新技術をご紹介します。
佐竹マルチミクスの「かくはん機」とは？
私たちの生活を支える製品の多くは、何らかの工程で「混ぜる」作業を経て生産されています。チョコレートならカカオの実と砂糖を、歯磨き粉なら研磨剤と界面活性剤を、そしてマヨネーズなら卵と油を混ぜ合わせる必要があります。この重要な「混ぜる」作業を担うのが、かくはん機(攪拌機)です。
かくはん機は、大きなタンクの中に縦に立てた回転軸の先端に取り付けられた羽根を回転させ、タンク内の液体や粉体を撹拌(かくはん)する装置です。羽根の形状や回転数を変えることで、攪拌対象の粘度や性質に合わせた最適な撹拌ができるのがかくはん機の特徴です。食品から化学、医薬品、さらには下水処理に至るまで、様々な業界でかくはん機は欠かせない存在となっています。
攪拌業界でNo.1シェアを誇る佐竹マルチミクス
そんな攪拌機の専門メーカーとして名高いのが、埼玉県戸田市に本社を構える「佐竹マルチミクス」です。同社は日本で唯一の攪拌技術研究所を有し、50%以上のシェアを持つトップメーカーです。2023年度の売上高は62億円と、右肩上がりの好業績を収めています。
西岡光利社長が語る佐竹マルチミクスの強み
「ものづくりにおいて”混ぜる”作業は欠かせません。食品メーカーのキューピーやキッコーマン、製薬会社の武田薬品工業など、全国1,000社以上の企業と取引させていただいております」と西岡光利社長は語ります。
佐竹マルチミクス（株）の西岡光利社長 （引用：「がっちりマンデー！」より）
同社の強みは、日々の技術研究の積み重ねにあります。地下に設けられた70立方メートルの大型攪拌槽や、側面が透明なアクリル製の攪拌槽などを使用し、液体や粉体の撹拌状況を詳細に観察・分析しています。また、蛍光塗料とレーザーを使ったシミュレーション装置では、羽根の形状による流れの違いを可視化し、最適な撹拌方法を探っているのです。
佐竹マルチミクスの特大翼「MR205」の威力
佐竹マルチミクスでは、撹拌対象の粘度や性質に合わせて60種類以上もの羽根を用意しています。
特大翼MR205（引用：「がっちりマンデー！」より）
中でも「MR205」は、マヨネーズなどの高粘度液体を攪拌するのに最適な特大の羽根です。二重構造のギザギザ形状が、複雑で強力な流れを生み出します。通常の羽根ではわずか1分で滞留部分ができてしまうマヨネーズでも、MR205なら30秒で完全に混ざり合うのです。
水に溶けない物質も混ぜる「RBミキシングシステム」
一方、水に溶けない固体粉末を混ぜるのは容易ではありません。下水処理場などで使われる微生物は水に溶けにくいため、底に沈殿しがちです。
RBミキシングシステム （引用：「がっちりマンデー！」より）
そこで佐竹マルチミクスが開発したのが、「RBミキシングシステム」です。この方式では、水槽底面の十字状の構造物によって4か所で渦が生じ、更にその合流点から強力な上昇流が発生。重たい粉末でも水面まで持ち上がり、均一に混ざり合うのです。
佐竹マルチミクスの製品が活躍する業界
「ありとあらゆるところで攪拌は使われています」と吾郷健一氏(佐竹マルチミクス研究開発本部)は言います。
研究開発本部の吾郷健一さん （引用：「がっちりマンデー！」より）
食品業界に加え、化学、医薬品、さらには接着剤といった様々な業界で、佐竹マルチミクスの攪拌機が活躍しているのです。中でも期待されているのが下水処理分野です。RBミキシングシステムが浸透すれば、微生物による効率的な下水処理を全国に広げられるかもしれません。
まとめ
埼玉に本社を置く佐竹マルチミクスは、右肩上がりの業績を上げながら、攪拌機の技術革新を重ねています。高粘度液体から水に溶けにくい粉体まで、あらゆる撹拌ニーズに対応できるよう日々研鑽を重ねている同社。儲かる縁の下の力強い存在として、ますます多くの製造現場を支えていくことでしょう。
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