【クローズアップ現代】事業承継で黒字廃業を防ぐ「後継ぎ探し成功の秘訣とは」

近年、日本企業の事業承継問題が深刻化しています。2024年12月3日に放送されたNHK「クローズアップ現代」では、黒字企業の後継ぎ不足による廃業問題に焦点を当てました。後継者不在による廃業は、日本経済に大きな影響を及ぼす可能性があります。本記事では、事業承継の現状と具体的な解決策について、最新の事例とともに詳しく解説します。

事業承継問題の現状｜なぜ黒字企業が後継ぎ不在で廃業するのか

2024年現在、経営者が70歳以上の企業が245万社あり、そのうち約半数が後継ぎ未定という深刻な状況に直面しています。さらに驚くべきことに、休廃業した企業の5割が黒字経営だったというデータもあります。このまま放置すれば、約650万人の雇用とGDP22兆円が失われる可能性があるとの試算も出ています。

特に地方では深刻で、秋田県では後継者不在率が72.3%にも上ります。岩手県は54.6%、静岡県でも50.3%と、地方経済への影響が懸念されています。

三重県の事業承継支援から学ぶ｜後継ぎ探しのポイント3つ

三重県では、かつて70%近かった後継者不在率を34.1%にまで改善させることに成功しました。この「三重モデル」の特徴は以下の3点です。

1. 専門コーディネーターによる包括支援： 三重県産業支援センターの髙垣和郎氏らを中心に、約40人の多様な経歴を持つ専門家チームを結成。元百貨店バイヤーやIT専門家など、様々な視点からサポートを行っています。
2. 早期の意識付けと準備： 事業承継には5年から10年かかるとされており、早期の準備が重要です。三重県では23,700社以上の企業に対して診断シートを使用し、現状把握を行っています。
3. 金融機関や専門家との連携 ：地域の金融機関や弁護士との連携により、包括的な支援体制を構築しています。

異業種連携による事業承継の成功事例｜業種を超えた新たな可能性

興味深い成功事例として、養鶏場と自動車部品会社の異業種間での事業承継があります。同じ業種での後継者探しにこだわらず、地域への理解や価値観の共有を重視することで、新たな可能性が広がっています。

オープンネームで後継ぎ探し｜事業承継を成功に導く新しい手法とは

株式会社ライトライトの齋藤めぐみ氏は、「オープンネーム方式」という新しい手法を提案しています。これは、企業名とともに事業や後継ぎへの思いをオープンにする方法です。

ただし、日本政策金融公庫のデータによると、マッチングまで進んでも最終的な事業承継の成立は1/6程度にとどまっています。この成功率を上げるためには、以下の点に注意が必要です。

事業承継を成功させる3つのステップ｜専門家が語る継承のポイント

1. 譲渡条件の明確化 事業の全てではなく、核となる部分に絞った承継も検討する柔軟性が重要です。
2. 価値の可視化 老舗ブランドや技術、顧客基盤など、目に見えない価値も含めて評価します。
3. 段階的な引継ぎ 経営ノウハウや取引先との関係性など、時間をかけて丁寧に引き継ぐことが重要です。

地域金融機関との連携で広がる後継ぎ探しの可能性

四国地方では、地方銀行同士が県をまたいで連携し、信頼できる後継者とのマッチングを支援しています。金融機関のネットワークを活用することで、より確実な事業承継が可能になっています。

まとめ｜事業承継・後継ぎ問題を解決するために必要な取り組み

事業承継問題の解決には、以下の点が重要です。

・早期からの準備と計画作り

・専門家による包括的支援の活用

・業種や地域を超えた柔軟な発想

・オープンネームなど新しい手法の検討

・地域金融機関との連携

後継ぎ不在による廃業は、地域経済や雇用に大きな影響を与える可能性があります。しかし、三重県の成功例のように、適切な支援と取り組みがあれば、この問題は解決可能です。早期に専門家に相談し、計画的に事業承継を進めることが、企業の未来を守るカギとなるでしょう。

※本記事は、2024年12月3日に放送されたNHK「クローズアップ現代」を参照しています。