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【クローズアップ現代】高市早苗新総裁「勝利の背景」と連立・政策の行方

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2025年10月4日、自民党の新総裁に高市早苗氏が選出されました。決選投票で小泉進次郎氏を破り、自民党初の女性総裁が誕生したこのニュースは、日本政治の大きな転換点として注目を集めています。

10月6日放送のNHK「クローズアップ現代」では、高市新総裁の勝利の背景から、今後の連立の行方、そして物価高対策などの政策について、キーパーソンへの直撃取材を交えて詳しく報じられました。番組で明らかになった政治の舞台裏と、流動化する日本政治の今後について、詳しく見ていきましょう。

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高市早苗新総裁の勝利を決定づけた2つの要因-党員票と麻生氏の影響

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自民党の高市早苗新総裁                                 (引用:「自民党」HPより)

高市早苗氏の勝利を支えたのは、大きく分けて2つの要因でした。

圧倒的な党員票の支持

第一の要因は、党員票での圧倒的な強さです。47都道府県中31の都道府県で高市氏がトップとなり、党員票では119票を獲得しました。これは他の候補を大きく引き離す数字で、地方の自民党員の間で高市氏への期待がいかに高かったかを物語っています。

番組に出演した松島みどり衆議院議員は、「勝とうという雰囲気はあったけれども、勝てるからっていうニコニコっていう雰囲気はなかった」と当時の陣営内の緊張感を振り返りました。各報道では議員票は小泉氏に流れるとの予測が多かったため、党員票の結果が出るまでは予断を許さない状況だったのです。

しかし松島氏は「党員票で圧倒的1位になるっていうのは、これは文句なく。これがねじれるったら、やっぱり総裁選のあり方を見直さなきゃいけないんじゃないかという議論も出るでしょう」と述べ、党員の意思を尊重する形で決着したことの意義を強調しました。

麻生太郎最高顧問の決断が議員票を動かした

第二の要因は、国会議員票の伸びです。高市氏は第1回投票では議員票で3位でしたが、決選投票では149票を獲得し、小泉氏の145票をわずかに上回りました。この逆転劇の背景には、麻生派の動きがありました。

麻生派所属の井上貴博衆議院議員は、番組の取材に対して麻生最高顧問の意向を明かしました。「麻生先生は党員投票に準じた行動をするべきだと。今それが一番大事なんだと。今国民の民意を反映する結果を出さなければ自民党は終わるのではないかという危機感を持っていた」

少数与党に転落した自民党にとって、党員票という「民意」を無視することは許されないという判断が、麻生氏を動かしたのです。井上氏は「勝った負けたというだけではなくて、高市さんに党員票が多かった。それに準じた結論をみんなで導き出すことができたということに対する喜びの方が大きかったんじゃないか」と分析しています。

この2つの要因が重なり合い、高市氏は自民党史上初の女性総裁という歴史的な勝利を手にしたのです。

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公明党が示した懸念点-自公連立は「白紙」の真意とは

高市新総裁の選出直後、連立を組む公明党の斉藤鉄夫代表は衝撃的な発言をしました。「連立政権を組むことができるのかどうか、まだ白紙です」

四半世紀続いた自公連立に亀裂?

総裁選の結果を真剣な表情で見つめていた斉藤代表のもとに、結果直後に携帯電話が鳴りました。党関係者からの緊急連絡でした。「連立政権を組むことができるのかどうか。その打ち合わせをちょっと党幹部と今」と、斉藤代表は番組の取材カメラの前で語りました。

保守的な政治信条で知られる高市氏と、中道を標榜する公明党。政治理念の違いが、これまで築いてきた協力関係を揺るがしています。

公明党が高市氏に伝えた3つの懸念点

選出直後に行われた高市新総裁と斉藤代表の面会で、斉藤代表は率直に懸念点を伝えました。その内容は以下の3点です。

  1. 政治と金の問題
  2. 歴史認識と靖国参拝
  3. 外国人との共生

斉藤代表は「自民党さんは幅の広い政党ですが、保守中道という理念のもとで、これまで自公政権を運営してまいりました。そういう共通の理念を持つことができるのかどうか」と述べ、高市氏に公明党の立場を明確に伝えたのです。

面会後、斉藤代表は「ある意味では向こうにとってみれば失礼なことを言うなと思ったかもしれませんが、それは伝えなきゃいけないことですから。そういう意味ではちょっとピリピリッとした雰囲気もありました」と、緊張感のある会談だったことを明かしました。

公明党の本音-独自性の発揮と支持者への配慮

番組に出演した中北浩爾・中央大学教授は、公明党の強い姿勢の背景を3つの理由から分析しています。

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中央大学の中北浩教授                          (引用:「NHKニュース」より)

第一に、先の参議院選挙で比例票が521万票と低迷しており、独自性を発揮して支持者を勇気づける必要があること。第二に、高市氏とは政治理念がかなり異なるため、あらかじめ公明党の立場をしっかり伝えておいた方が後々のトラブルが減ること。第三に、連立拡大ばかりが話題になる中、「自公が中軸でしょう」ということを示す狙いがあると指摘しました。

ただし中北教授は、「四半世紀、自民党と公明党はウィンウィンの選挙協力をベースにして連立を組んできましたので、そう簡単に連立が崩れるかというと、そうともなかなか言えない」とも述べ、今後もつばぜり合いが続くと予測しています。

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野党の思惑が交錯-国民民主党と維新の会の温度差

少数与党となった自民党との連携を巡り、野党各党の思惑が複雑に交錯しています。特に注目されるのが、国民民主党と日本維新の会の対照的な反応です。

国民民主党-麻生氏とのパイプが鍵に

「高市さんがおっしゃっていたことは、総裁選挙中は我々の主張に極めて近い」。番組の取材に応じた国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、高市氏の政策との親和性を強調しました。

興味深いのは、榛葉幹事長と麻生最高顧問との関係です。取材の途中、榛葉幹事長は本棚から1冊の漫画を取り出しました。麻生氏から借りた「ひらばのひと」です。「麻生さんとは長いのでね。私の初当選のころから、個人的には本当に麻生先生がなんか知らないけど初当選からケミストリーが合って」

榛葉幹事長は麻生氏について「今の高市自民党の大きな支柱じゃないですか。まさに自民党の総裁選挙の流れを一気に変えた。あれだけできる方っていうのは今そうそう自民党にはいない」と高く評価しています。

総裁選の最中、榛葉幹事長のもとには自民党議員からの電話が相次いでいました。「さっきから自民党の議員から電話。各陣営から」「総裁選の話。状況の報告が上がってきて。今こんなんだよって」。選挙後の枠組みを自民党も気にしている証拠です。

インタビューの後、榛葉幹事長は実際に麻生氏の事務所を訪ねており、今後の連携のあり方を協議したと見られています。

ただし、榛葉幹事長は慎重な姿勢も崩していません。「まず自民党公明党がどうなるのか。それすら分かってないで。自公のあり方がどうなっているか分からない中で、我々がどうこう言うことはないです」

地方議員との意見交換では「安易にその数合わせは絶対組みしないというところはもう、絶対そこはされといていただけると思うので、そこは政策重視で」との声も上がっており、政策実現を最優先にする姿勢を貫くようです。

日本維新の会-小泉氏敗北でトーンダウン

対照的なのが日本維新の会です。吉村洋文代表と小泉進次郎氏の個人的な関係の近さから、総裁選期間中は連立協議に前向きな発言も出ていました。藤田文武共同代表は「少数与党の状態においては、僕たちも無責任に野党のままという選択肢だけが国民から求められているんじゃなくて、ある種政策実現のために踏み込んでいくことも求められるだろうし、呼びかけがあれば真摯に対応したい」と述べていました。

しかし、高市新総裁の選出後、吉村代表は「意外やなと思いましたね」と率直に驚きを語り、「正直申し上げてトーンダウンはすると思いますね」と、連携への機運が後退したことを認めました。

連立の実現可能性について問われると、「簡単ではないと思いますね」と慎重な見方を示し、「福祉と社会保障改革。社会保険料下げる改革。この2つについてどのように考えられるのか。聞いてみたいと思います」と、政策面での一致点を探る姿勢を見せています。

立憲民主党-対立軸を明確化

野党第一党の立憲民主党は、高市氏の選出により「戦う構図ができた」と対決姿勢を鮮明にしています。

野田佳彦代表は、実は高市氏と古い個人的なつながりがあることを明かしました。「松下政経塾第1期生。彼女は5期生で入塾を希望して入ってきた時の面談担当。痛快な女性で大型バイクに乗って入ってきてね革ジャン着て。ヘルメット取ったら長い髪が棚引いて。かっこいいなと思って。私の面接では二重丸つけましたね」

しかし政治理念では距離があります。野田代表は「高市さんは自民党の中でもより右の方のサイドを重視する人じゃないですか。我々はど真ん中の中道でそこを対峙していくということだと思いますし、むしろ戦う構図ができたという風に思います」と述べ、明確な対立軸が生まれたことを歓迎する姿勢を示しました。

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高市新総裁の物価高対策-ガソリン税廃止と年収の壁引き上げ

国民生活に直結する物価高対策について、高市新総裁はどのような政策を打ち出そうとしているのでしょうか。

野党の主張を意識した政策転換

番組に出演した政治部の小島章史記者によれば、高市氏は総裁選の過程で野党側の主張を意識した物価高対策を訴えていました。

具体的には、ガソリン税の暫定税率の廃止に加えて、軽油引取税の暫定税率も廃止を主張しています。特に車の利用が多い地方での家計支援を進めたい考えです。

また、立憲民主党が掲げる給付付き税額控除については、高市氏も持論だとして制度設計に着手する意向を示しています。国民民主党が主張する年収の壁の引き上げにも前向きで、これによって所得税の負担軽減を進める方針です。

消費税には慎重姿勢

一方で、野党各党が主張する消費税の廃止や税率引き下げについては、選択肢として放棄しないとするものの、時間がかかることから当面の物価高対策としてはなじまないとし、慎重な姿勢を示しています。

小島記者は「自民党が掲げた1人2万円の現金給付は、参院選で国民の支持を得られなかったとして行わないと明確にしています」と指摘。代わりに、ガソリン価格が引き下がるまでの間は補助金を使って価格高騰対策を行い、自治体向けの交付金の拡充による物価高対策、赤字経営が続く病院や介護施設の経営支援などを行いたいとしています。

野党の協力が不可欠

ただし、これらの政策はいずれも予算が伴うため、野党の協力なければ実施できません。少数与党という現実の中で、高市新総裁がどこまで自らの政策を実現できるかが注目されます。

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党人事から読み解くキーパーソン-麻生派の影響力と挙党体制

高市新総裁は選出直後から党人事の検討を進めており、その布陣から今後の政権運営の方向性が見えてきます。

麻生派の影響力が色濃い人事

副総裁には麻生太郎氏、幹事長には鈴木俊一氏(麻生派)を起用する意向を固めました。総務会長には女性議員で最終調整を行っており、政務調査会長には総裁選で争った小林鷹之氏、選挙対策委員長には古屋圭司氏を起用する方針です。

小島記者は「野党との連携に向けたメッセージというのはちょっと見えにくいかなと。むしろ党内の基盤固めという感じですね」と分析します。

高市氏は総裁選の第1回投票で議員票は3位でした。党内基盤は決して強いとは言えません。幹事長の鈴木氏は麻生派に所属しており、総裁選で支えられた麻生氏の後ろ盾を得ながら党内基盤を固める狙いがあると見られています。

一方、政務調査会長の小林氏は総裁選でも争った相手であり、挙党体制を構築する意図が読み取れます。

新旧自民党のせめぎ合い

中北教授は「麻生派の影響力が強そうだということ。これが1つと、幹事長代行に萩生田光一さんが起用される見通しであると。いわゆる旧安倍派の議員が復権しそうだ」と指摘。派閥や政治と金といった「古い自民党」が見え隠れしている人事だと分析しました。

しかし同時に、「高市氏自身が自民党初の女性総裁ということですし、積極的に女性を登用していくという構えも見せてます。世代交代も進むかもしれない」と述べ、「新しい自民党、古い自民党のせめぎ合い。これがどうなるか、注目です」と今後の展開に注目を促しました。

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立憲民主党の対応-野田代表が語る「対立軸」と政策協議

立憲民主党は、高市新総裁の誕生を機に独自の戦略を展開しようとしています。

給付付き税額控除で攻勢

立憲民主党の本庄知史政調会長は「給付付き税額控除、ご案内の通り我が党の看板政策で」と述べ、総裁選で高市氏も訴えたこの政策の実現を自公に求めていく構えです。

「新しい体制でしっかりと一定の期間内に結論を出すと、いうことを約束してもらうと。確約してもらうということが、まずは目標かなと」と、具体的な成果を求める姿勢を明確にしています。

総理大臣指名選挙での野党共闘は?

今後国会で行われる総理大臣指名選挙について、野党で歩調を合わせられるのか。野田代表は「高市さん選ばれた後にどういう化学反応が起こってるか分かりませんので。もう1回探ってみると、可能性を探ってみるということは必要だと思ってます」と、最後まで可能性を模索する姿勢を示しました。

政治と金の問題で追及も

小島記者によれば、立憲民主党は今回の役員・閣僚人事で派閥裏金問題に関与した議員をどの程度起用するか注視しています。人選などを見て、政治と金の問題を再び追及する可能性があるとのことです。

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まとめ:流動化する日本政治の今後と課題

2025年の日本政治は、かつてない流動性を見せています。

昨年の衆議院選挙、今年に入っての参議院選挙と、SNSを駆使する新興政党が台頭し、自民党・公明党の与党は衆参両院で過半数割れとなりました。そして今回の自民党総裁選では、本命視されていた小泉氏を破って高市氏が勝利するという予想外の展開となりました。

中北教授は「ある自民党議員がこの状況は海図なき航海だと言っている」と紹介し、「今後連立の拡大ができるのか。また物価高対策を始めとして国民の信頼を回復できるのか。政治の安定を取り戻せるのか。日本政治は極めて重要な局面に差し掛かっている」と警鐘を鳴らしました。

高市新総裁は就任会見で「多くの方の不安を希望に変える党にしていく」と決意を語りました。しかし、公明党との関係調整、野党との政策協議、そして国民の信頼回復という三重の課題が待ち受けています。

10月中旬に召集される臨時国会で、高市氏は第104代内閣総理大臣に指名される公算が大きくなっています。その直後には国際会議での外交デビュー、そしてトランプ大統領来日時には初の日米首脳会談が控えています。

内政でも外交でも難題が山積する中、自民党初の女性総裁として、高市早苗氏がどのようなリーダーシップを発揮するのか。そして少数与党という厳しい環境の中で、どこまで自らの政策ビジョンを実現できるのか。日本政治の行方から目が離せません。

※ 本記事は、10月6日放送のNHK「クローズアップ現代」を参照しています。

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