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テクノロジー・サイエンス

【アンパラレルド】単分子誘電体「白い粉」マテリアルゲートで9割省エネ

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2026年4月29日放送のテレビ東京系「アンパラレルド」では、AI時代の電力危機を救う日本発の革新技術が紹介されました。広島大学発スタートアップのマテリアルゲートが開発した単分子誘電体は、消費電力を9割もカットする可能性を秘めた「白い粉」です。本記事では番組内容に独自視点を加え、その正体や開発者の素顔、2050年の未来像までを詳しくお届けします。

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単分子誘電体とは?マテリアルゲートが開発した「白い粉」の正体

単分子誘電体とは、広島大学大学院の西原禎文教授が世界で初めて発見・命名した、まったく新しい記憶素材です。見た目は塩のような白い粉で、西原教授ご本人も「化学的にはほぼ塩に近い」と説明されていました。番組ではMCの若林正恭さんが実際に手に取り、「めちゃくちゃ高価なものですか」と興味津々で観察する場面もありました。

単分子誘電体

単分子誘電体の「白い粉」                                (引用:「アンパラレルド」より)

この粉が革命的なのは、たった一つの分子だけで「0」と「1」というデジタル情報を保持できる点です。従来のメモリ素材は多数の分子が集まって初めて記憶を保てましたが、単分子誘電体は文字通り「単分子(一つの分子)」で記憶を担えるため、メモリの劇的な小型化と、それに伴う消費電力の大幅削減を可能にします。

この技術の事業化を担うのが、2023年6月に広島大学キャンパス内で設立されたスタートアップ「マテリアルゲート」です。CEOの中野佑紀さんが番組で「我々の材料が、世界の社会課題である電力問題を解決しうる材料になるかもしれない」と静かに語った言葉には、一介のベンチャーを超えた強い使命感がにじんでいました。私が個人的に注目したのは、これが派手なAIアプリでもロボットでもなく、見た目はただの粉だという点です。本当に世界を変える技術ほど、地味な姿で現れるのかもしれませんね。

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電力の大量消費を引き起こすAI時代と単分子誘電体への期待

ChatGPTなどの生成AIが日常に浸透する一方で、世界が直面しているのが電力の大量消費という深刻な問題です。番組によれば、ChatGPTへの質問1回はGoogle検索の約10倍、10秒間の動画生成にいたってはGoogle検索2万回分に相当する電力を消費するとされています。

この莫大な電力を支えているのが、千葉県を含め全国で増え続けるデータセンターです。番組で取材された施設では、約1800ラックに数万台ものサーバーが稼働しており、AIに特化していない施設でさえ建設ラッシュが続いています。総務省のデータでは、2030年までの約10年で世界のデータ量は30倍にまで膨らむ見込みだとも紹介されました。

つまり、私たちが「前髪のどっちが似合う?」とAIに気軽に尋ねている裏側で、地球規模の電力消費が積み上がっているわけです。若林さんも「みんなが前髪とか、代々木公園までの道のりを聞いてたら、そら電力も使う」と苦笑いしていましたが、これは笑い話では済まされない問題です。便利さを諦めずに電力を減らす――この困難な両立を可能にする切り札こそ、単分子誘電体に託された最大の役割なのです。

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消費電力9割カットの仕組み|単分子で0と1を記憶する革新技術

なぜ単分子誘電体で消費電力9割カットが実現できるのでしょうか。鍵を握るのは、コンピューターの中にある「メインメモリ」という部品です。

解説を担当した安生健一朗さん(株式会社K-kaleido代表取締役、インテルで17年技術者を務めた工学博士)は、わかりやすい例えで説明していました。CPUを「勉強する人」、ストレージ(USBやSDカード)を「本棚」、メインメモリを「机」に見立てる話です。本棚から本を持ってきて机で勉強し、足りなければまた本棚へ取りに行く――この往復の距離が長いほど電力を消費します。だからこそ机を大きく、近くに置けるかどうかが省エネの分かれ目になるのです。

安生健一郎

株式会社K-kaleido代表取締役の安生健一郎氏(引用:「アンパラレルド」より)

メモリには「揮発メモリ(高速だが電源を切ると忘れる)」と「不揮発メモリ(電源を切っても覚えているが遅い)」の2種類があります。30〜40年来、各メーカーがしのぎを削ってきたのは「高速かつ不揮発」のメインメモリの実現でしたが、最大の壁が「小さくできない」ことでした。

西原教授の発想は実にユニークです。〇×クイズで200人が一斉に〇か×に動いて多数決を取るのが従来のメモリだとすれば、単分子誘電体はたった一人で〇か×を決め切れる人。分子のなかに閉じ込められたイオンが上にいるか下にいるかで0と1を記憶し、電気を切ってもその位置を保ち続けるのです。

この方式が実現すれば、メインメモリをCPUの中に直接組み込めるほど小さくでき、データの移動距離が劇的に短くなります。公開情報では従来比で約1000倍の高密度化と約90%の消費電力削減効果が期待できるとされており、番組内で語られた「9割カット」と整合しています。

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マテリアルゲート創業者・中野佑紀と西原禎文の師弟ストーリー

マテリアルゲートを率いる二人の物語は、教科書的な起業ストーリーとは一線を画します。

マテリアルゲートのCEO中野佑紀氏 とCSO西原禎文氏                    (引用:「アンパラレルド」より)

CEOの中野佑紀さん(38歳)は、2013年に広島大学大学院を修了後、化学メーカーで電子デバイス・半導体分野素材の研究開発や技術営業、事業開発に従事。2021年に古巣の広島大学へ戻り、起業準備を進めて2023年6月に共同創業を果たしました。

一方のCSO・西原禎文教授(50歳)は、2004年に北海道大学で博士号を取得後、2005年に大阪府立大学(現・大阪公立大学)で助教、2010年に広島大学准教授として着任。単分子誘電体の構想自体は2003年の大学院時代に思いついたものの、当時は知識不足で一度休止。広島大学で研究を再開し、2018年に世界へ発表するまで、構想から実に15年もの歳月を要したそうです。

二人が出会ったのは2010年。中野さんが学部4年で研究室に入るタイミングと、西原教授が広島大学へ着任するタイミングがちょうど重なりました。そして起業のきっかけはなんと、研究室の後輩・加藤智佐都さんの結婚式。新婦の研究実績を西原教授がパワーポイントでプレゼンするという「謎の結婚式」だったそうです。プレゼン後、酔った勢いで「起業しませんか」「いや誘ったのはそっちだ」と話が進み、現在もどちらが先に言い出したかで揉めているとのこと。

加藤智佐都

起業のきっかけとなったマテリアルゲートの加藤智佐都さん                 (引用:「アンパラレルド」より)

ここに私は強く共感を覚えました。日本の地方大学発のシーズが世界に届くまでには、こうした「お酒の席のノリ」が意外と大事なのかもしれません。論理だけでは越えられない壁を、人と人との縁が突破していく――そんな日本らしい起業の形に、温かい希望を感じます。

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アンパラレルドで紹介された日本の省電力技術と安生健一朗の解説

番組「アンパラレルド」では、単分子誘電体以外にも日本が誇る省電力技術が複数紹介されました。

まずフジクラが開発した光ファイバーケーブル。執行役員・情報通信事業部門の大里健さんが説明したのは、クモの巣のような独自の特殊構造です。光ファイバー同士を点々状につなぐことで、従来必要だった中央の樹脂を省略でき、同じ太さで3倍以上のデータを送信できるようになったといいます。

次に、2026年3月にグランドオープンを迎えた高輪ゲートウェイシティ。地下には2万500立米、実に25メートルプール34杯分という巨大な蓄熱槽が設置されています。えきまちエナジークリエイトCTOの小倉徹さんによれば、夜間電力で冷温水を作り蓄えることでエネルギー効率を高める仕組み。今後は隣接ビルへの熱供給も予定されているとのことでした。

そして京都のネクストコアテクノロジーズが開発した、厚さわずか0.03ミリの金属帯「ヘルメット」。取締役の金清裕和さんが紹介したこの素材は、レアアースを使わずにモーターの発熱を抑え、電気自動車(EV)の消費電力を最大50%削減できるとされます。すでに自動車・家電メーカーなど30社以上が性能を評価中とのことです。

これらに共通するのは、安生健一朗さんが番組内で指摘した「便利さを失わずにエネルギーを減らす」という思想です。単に使わないのではなく、無駄を絞り抜く――この哲学こそが、日本のものづくりが世界から評価される本質ではないでしょうか。

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マテリアルゲートのロードマップ|2030年市場展開と2050年「脳型メモリ」

マテリアルゲートが描く未来像は、短期と超長期の両方に向いています。

2026年現在、単分子誘電体を組み込んだ次世代メモリのプロトタイプ第1号がすでに製作中です。シリコンのウェハー上に厚さわずか15ナノメートルの薄膜として塗布する独自プロセスを採用しており、ここに同社の特許技術が集中しています。一つのプロトタイプを作るだけで数ヶ月かかるとのことで、地道で根気のいる開発が続いています。

ビジネスモデルにも特徴があります。中野さんは番組で「半導体工場には何千億円もかかるので、我々は材料と『秘伝のタレ』にあたる製造レシピ=知的財産に特化する」と語っていました。製造そのものは大手企業との協業で進めるという、いわゆるファブレス型の戦略です。なお同社は2024年12月にNEDOの「GX分野のディープテック・スタートアップに対する実用化研究開発・量産化実証支援事業」のSTSフェーズに採択されており、国の後押しも受けています。

そして2030年に次世代メモリの市場展開、その先2050年には西原教授の最終目標である「脳型メモリ」の実現を目指します。教授によれば、現存する最も省エネなメモリは人間の脳。ご飯を食べるだけで膨大な情報を処理し、不要な記憶は適度に忘れる、この曖昧で柔軟な記憶方式を人工的に再現できれば、スーパーコンピューターすら超える低消費電力AIが実現するかもしれません。途方もない夢のようですが、15年かけて単分子誘電体を世に送り出した西原教授だからこそ、現実味を帯びて聞こえる未来予想図です。

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まとめ

2026年4月29日放送の「アンパラレルド」で取り上げられたマテリアルゲートの単分子誘電体は、AI時代の電力の大量消費という難題に、たった一つの分子で立ち向かう挑戦でした。消費電力9割カットという数字は決して誇張ではなく、世界初の発見をベースに15年以上の研究を経て見えてきた現実的な未来です。

中野佑紀さんと西原禎文教授という師弟タッグ、そして安生健一朗さんの的確な解説によって、難解な半導体技術が「白い粉」というキャッチーな入り口から多くの視聴者に届いたことは、番組の大きな功績だと感じます。2030年の市場展開、そして2050年の脳型メモリ。日本発の技術が世界のインフラを支える日を、私たちも楽しみに見守っていきたいですね。


※ 本記事は、2026年4月29日放送(テレビ東京系)の番組「アンパラレルド~ニッポン発、世界へ~」を参照しています。
※ 株式会社マテリアルゲートの公式サイトはこちら

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