2025年10月12日放送の「がっちりマンデー!!」で紹介された電脳交通の実証実験「タクジット」をご存知ですか?地方のローカル線で「駅にタクシーがいない」という悩みを、電車内からのスマホ予約で解決する画期的なシステムです。この記事では、近藤洋祐社長が手掛ける実証実験の仕組みと成果、そして地方交通の未来を変える可能性について詳しく解説します。
タクジットとは?電脳交通が開発した電車内タクシー予約システム
タクジットは、徳島県に本社を置く株式会社電脳交通が開発した、電車内からスマートフォンでタクシーを事前予約できる革新的なシステムです。
もともと電脳交通は、地方の小さなタクシー会社が抱える「コールセンターの人手不足」という課題を解決するため、配車業務の代行サービスを提供してきた会社です。代表取締役社長の近藤洋祐氏は、地方交通の課題に真摯に向き合い、タクシー業界全体が活性化する仕組みづくりに注力してきました。
そして今回、さらなる利便性向上を目指して実証実験を開始したのが「タクジット」です。このシステムの最大の特徴は、電車に乗っている間にタクシーを呼べるという点。地方でよくある「駅に降りたらタクシーが一台もいない」「電話しても繋がらない、来るまで時間がかかりすぎる」といった問題を根本から解決することを目指しています。
番組内で近藤社長は「地方部で電車を使って移動されて駅に着いた時に、タクシーいなかったっていう経験ないですかね?まさにその課題を解消したいと考えております」と語っており、実際の利用者の声を反映したサービス設計がなされていることが分かります。
実証実験の仕組み:QRコードで電車の中からスマホ予約
タクジットの利用方法は驚くほどシンプルです。番組スタッフが実際に体験した内容から、その仕組みを詳しく見ていきましょう。
まず、電車の座席に座ると、前の座席にQRコードが設置されています。電脳交通の事業開発部・西本裕紀さんの案内で、スタッフがこのQRコードをスマートフォンで読み取ると、専用の予約画面が表示されました。
予約画面では、以下の情報を入力します:
- 名前と電話番号
- 乗車している特急の便名
- 降車する駅名
- 利用したいタクシー会社
これらを入力して送信ボタンを押せば、予約完了です。電脳交通を経由せず、選択したタクシー会社に直接注文情報が届く仕組みになっています。
この「直接届く」という点が非常に重要で、配車のタイムラグを最小限に抑えられるだけでなく、タクシー会社側も効率的に配車計画を立てられるのです。電車の到着時刻は予め分かっているため、運転手も無駄なく準備でき、利用者も駅で待たされることがありません。
JR四国予讃線で体験!宇多津駅に琴参タクシーが時間通り到着
現在、タクジットの実証実験はJR四国と協力して、四国の東西を結ぶ予讃線の9駅で実施されています。番組では、実際にこのシステムを使って宇多津駅でタクシーを呼ぶ様子が紹介されました。
スタッフが高松駅から電車に乗車し、車内でQRコードを読み取って琴参タクシーを予約。約20分後、時刻表通りに宇多津駅に到着すると、驚くべきことに駅前には既に琴参タクシーが待機していました。
運転手の佐々木さんは「QRコードで呼んでいただきました押野様(スタッフ)?」と声をかけ、スムーズに乗車できました。佐々木さんは「ガッチリ行きたいですね」と、この新システムへの期待を語っており、運転手側にとっても仕事が増える好機と捉えられているようです。
この実証実験の素晴らしい点は、理論上の話ではなく「本当に時間通りに来てくれるのか」を実際に検証しているところです。地方では電車の本数も限られているため、一本逃すと大変です。確実に乗れるタクシーが待っているという安心感は、地方での移動を大きく変える可能性を秘めています。
実証実験の成果とデータ活用:月間335件の配車実績
JR四国での実証実験では、昨年1ヶ月間で335件という配車実績を記録しました。これは実験段階としては非常に良好な数字と言えるでしょう。
さらに注目すべきは、このシステムが単なる予約ツールに留まらず、データ分析による業界全体の最適化を目指している点です。西本裕紀さんは「ご予約は入ってもお断りしてしまうケースも少なからずはあったりしますので、新しい会社に繋いでもらうだったりとかいう話もできるようになるかな」と説明しています。
つまり、収集したデータから「何時にどの駅でタクシーの需要が高まるか」が分析できるため、タクシーの台数が不足しそうな駅には、普段はそのエリアで営業していない他のタクシー会社に応援を依頼することも可能になるのです。
これは需要と供給のマッチングを最適化する、まさにDX(デジタルトランスフォーメーション)の好例です。利用者は確実にタクシーに乗れ、タクシー会社は機会損失を減らせる。データドリブンな配車システムによって、地方交通全体が活性化する未来が見えてきます。
電脳交通・近藤洋祐社長の理念「業界全体を儲かる仕組みに」
番組で特に印象的だったのは、近藤洋祐社長の経営哲学です。
スタジオで加藤浩次さんが「自社の配車部門を通した方が儲かりませんか?」と質問したところ、近藤社長は「おっしゃる通りで、かました方が儲かるんですけど、業界的にはやっぱり効率的な方がいいと思ったので、こういう仕組みにしております」と回答しました。
この発言には、目先の利益よりも業界全体の発展を優先する姿勢が表れています。タクシー業界は今、人手不足や高齢化、地方での需要減少など、様々な課題に直面しています。そんな中、一社だけが儲かる仕組みではなく、地域のタクシー会社全体が潤う仕組みを作ろうとしているのです。
加藤さんは「俺、こういう人に生まれたかったわ。マジで」と感心し、劇団ひとりさんも「爽やかだしやってることも素晴らしい」と称賛していました。若い経営者でありながら、業界全体を俯瞰した視点を持つ近藤社長の姿勢は、多くの企業が学ぶべき点と言えるでしょう。
タクジット実証実験の今後の展開と全国導入の可能性
現在はJR四国の予讃線9駅で実施されているタクジット実証実験ですが、今後の全国展開も期待されます。
地方のローカル線を抱える鉄道会社は全国に数多く存在し、同様の課題を抱えている地域は少なくありません。JR四国での成功事例が蓄積されれば、他の地域でも導入が進む可能性は十分にあります。
また、このシステムは観光振興にも大きく貢献するでしょう。地方を訪れる観光客にとって、二次交通(駅から観光地までの移動手段)の確保は大きな課題です。タクジットがあれば、事前にタクシーを手配でき、スムーズに目的地へ向かえます。これは地方創生の観点からも非常に価値のある取り組みです。
実証実験で得られるデータは、さらなるサービス改善にも活用されるはずです。利用者の声を反映しながら、より使いやすく、より確実なシステムへと進化していくことでしょう。2025年現在、地方交通のDXは大きな転換期を迎えており、タクジットはその先駆けとなる可能性を秘めています。
まとめ
2025年10月12日の「がっちりマンデー」で紹介された電脳交通のタクジット実証実験は、地方交通が抱える課題を解決する画期的な取り組みです。
電車内からスマホで簡単にタクシーを予約でき、駅に降りたら確実にタクシーが待っている。このシンプルな仕組みが、地方での移動を劇的に便利にします。JR四国予讃線での月間335件という実績も、ニーズの高さを証明しています。
近藤洋祐社長の「業界全体を儲かる仕組みに」という理念のもと、データを活用した効率的な配車システムを構築し、タクシー会社と利用者の双方にメリットをもたらす設計になっている点が秀逸です。
地方創生やインバウンド観光の活性化という観点からも、タクジットの全国展開は大いに期待されます。実証実験の成功が、日本の地方交通の未来を明るく照らしてくれることでしょう。
※ 本記事は、2025年10月12日放送(TBS系)の人気番組「がっちりマンデー!!」を参照しています。
※ 株式会社 電脳交通の公式サイトはこちら
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