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社会・暮らしの問題

【クローズアップ現代】地球上最悪ナガエツルノゲイトウ「弱点なし」

水辺に生息するナガエツルノゲイトウの白い丸い花と緑の葉
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クローズアップ現代」で特集された”地球上最悪”の侵略的植物、ナガエツルノゲイトウ。なぜそこまで恐れられているのか、気になった方も多いのではないでしょうか。この記事では、放送内容をもとに、1cmの茎から再生する驚異の力、コメ被害や水害リスクの実態、国の最新対策までをわかりやすく整理します。読み終えるころには、身近な水辺の見え方がきっと変わるはずです。

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クローズアップ現代が特集|ナガエツルノゲイトウが「地球上最悪」と呼ばれる理由

2026年9月15日放送のNHK「クローズアップ現代」は、「コメ被害 水害リスクも”地球上最悪”植物どう防ぐ?」と題して、外来植物ナガエツルノゲイトウを取り上げました。

ナガエツルノゲイトウは南米原産のヒユ科の多年草で、2005年に外来生物法の特定外来生物に指定されています。白い球状の花をつける、一見どこにでもありそうな水辺の植物です。日本には観賞用として持ち込まれ、1989年に兵庫県尼崎市で定着が確認されてから、各地へ広がりました。

“地球上最悪”と呼ばれる最大の理由は、その再生力です。番組では、長さわずか1cmの茎を水に入れる実験が紹介されました。4日目に根が生え、5日目には芽が出て、2週間後には元の茎の8倍の長さにまで成長しています。

この植物を研究する甲南大学の今井博之教授は、ナガエツルノゲイトウには「弱点がない」と言い切ります。種を作らなくても自分のクローンで広がり続ける「スーパー植物」だというのです。

私が特に怖いと感じたのは、「刈れば減る」という常識が通用しない点です。草刈りで茎を細かくすれば、その断片のひとつひとつが新たな株になりかねません。駆除しようとする行為そのものが拡散につながりうる。これこそが、最悪と呼ばれるゆえんだと思います。

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29都府県に拡大|ナガエツルノゲイトウが川と人の手で広がる仕組み

番組によれば、ナガエツルノゲイトウは現在29都府県で確認されており、南は沖縄から北は福島まで広がっています。一昨年は福島県、昨年は群馬県や岡山県でも新たに見つかりました。岡山県では2025年1月に倉敷市の河川敷で初めて確認され、同年5月には県内の水田でも見つかっています。群馬県でも同年11月に館林市の水田のあぜで見つかり、12月に県内初の確認となりました。なお、自治体の資料には「30都府県」とするものもあり、集計の時点によって数字に差はありますが、分布が広がり続けていることに変わりはありません。

広がる仕組みは大きく2つあります。

ひとつは水の流れです。駆除に参加する住民によると、茎は中が空洞で簡単に折れ、水に浮いて流れていくそうです。千葉県が独自に行ったシミュレーションでも、湖沼や川沿いに下流へと分布を広げると予測されています。調査を担当した業者は「いかに侵入させないかが大事」と話していました。

もうひとつは人の活動です。長靴に茎が入り込むだけでも、別の場所へ運ばれて再生してしまいます。

五箇公一

国立環境研究所の五箇公一特命研究員                               (引用:「X」より)

スタジオに出演した国立環境研究所の五箇公一特命研究員は、日本には河川や農業用水路が”毛細血管”のように張り巡らされており、この植物にとって拡大ルートが無数にあると指摘しました。さらに、温暖化で冬の水温が上がれば、もともと熱帯産のこの植物がすめる範囲は北へ広がると警鐘を鳴らしています。水に恵まれた日本の豊かさが、そのまま弱点になっているという皮肉な構図です。

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コメ被害の実態|ナガエツルノゲイトウが奪う収量と農家の手間

水田や用水路に繁茂して稲作に害を及ぼす水生植物の群落
番組が「関東一の米どころ」と紹介した茨城県では、水田への侵入が深刻です。米農家の野澤さんは、ナガエツルノゲイトウが肥料を吸ってしまうため稲の育ちが悪くなり、収量が落ちると説明していました。

さらに厄介なのが収穫です。茎が稲に巻き付いて押し倒してしまうため、機械で刈り取れなくなります。機械なら20分ほどで終わる作業が、手刈りでは2日かかるといいます。

予防策として取水口にネットを付けていますが、その数は400個近くにのぼります。すべて手作業で取り付け、ごみがたまれば交換も必要です。それでも侵入は完全には防げません。効果のある除草剤は種類が限られ値段も高いため、年間60万円ほどの出費になっているそうです。

番組では、この植物が侵入した中国で農作物の収量が減ったという研究も紹介されました。減少率はトウモロコシ19%、小麦36%、レタス47%、サツマイモ63%、米は最大28%です。五箇さんは、人工の湿地である日本の水田はこの植物にとってすみやすい環境だと述べました。そのうえで、防除コストと減収が重なれば米農家が減り、食料安全保障にも関わりかねないと語っています。

米の価格に注目が集まるなか、「ひとつの草によって今までの農業が通用しなくなる」という野澤さんの言葉は、消費者にとっても他人事ではないと感じました。

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千葉豪雨で排水機場のポンプが停止|ナガエツルノゲイトウが高める水害リスク

ナガエツルノゲイトウの脅威は、農業だけにとどまりません。2026年8月に千葉県を襲った「令和8年8月千葉豪雨」では、県内最大級の排水機場に大量の群落が押し寄せました。

水資源機構 千葉用水総合管理所の土田所長によると、流れてくる量が増えると網の下をくぐり抜けてスクリーンに張り付き、最悪の場合はポンプが動かせなくなるといいます。実際、夜を徹して除去作業が行われたものの、ポンプ1台が停止する事態になりました。排水ポンプが止まれば水位が上がり、堤防決壊のリスクが高まります。取り除いた量は26トンにのぼりました。

五箇さんは、群落が絨毯のように河川を詰まらせると説明しています。線状降水帯が多発するなかで、水害リスクをさらに押し上げる要因になるという指摘です。

豪雨で流れ出した植物が、豪雨対策の要である排水設備を止めてしまう。災害時にこそ弱点が表面化するという意味で、この植物は”防災の課題”としてもとらえるべきだと強く感じました。

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ナガエツルノゲイトウ駆除に累計14億円超|自治体が抱える「いたちごっこ」の限界

自治体の負担も膨らんでいます。番組によれば、千葉県は今年度、約2億5,000万円の予算を計上しました。重機による大規模な駆除に加えて、運搬や焼却にも費用がかかります。これまでに累計14億円以上を投じ、東京ドーム3個分以上の面積を駆除してきました。

茨城県も今年度7,000万円の予算を組んでいます。しかし、農業用水の取水元である新利根川のほぼ全域に広がっているため、この予算で駆除できるのは全体の1割ほどが精一杯だそうです。県の担当者は、費用面でも人手の面でもすべてを取り切るのは難しいと認めたうえで、限られた予算の中で効果的に取れるところから取り組むと話していました。

現場では地元住民や学生による駆除作業が行われ、水草専用の刈取船で1日何十トンも引き上げる自治体もあります。それでも翌年には再び繁殖し、いたちごっこが続いています。

「全体の1割」という数字は、裏を返せば9割が残るということです。広がってから追いかける対策では、どれだけ税金を投じても追いつきません。だからこそ、次に紹介する”早期発見”の技術がカギになると考えます。

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天敵ノミハムシ・ドローンAI・除草剤|地球上最悪の植物に挑む対策の最前線

ドローンとAIを活用して河川敷の水草を早期発見・探知するイメージ
まず気になるのが天敵の存在です。原産地の南米には、葉を食べるナガエツルノゲイトウノミハムシという昆虫がいて、生態系のバランスが保たれています。アメリカやオーストラリア、中国では、この天敵を導入する対策が行われています。

ただし五箇さんは、この方法に慎重な姿勢でした。日本の環境に定着するかはわからず、海外でも必ずうまくいっているわけではないといいます。ほかの植物を食べ始めれば新たな外来種問題を生みかねず、一度すみ着けば取り返しがつきません。現時点では効果を判断しかねるという見解です。

そこで注目されているのが、ドローンとAIによる早期発見です。農研機構の研究チームは、ドローンで撮影した画像を専用のAIで解析し、ほかの植物と見分けながらナガエツルノゲイトウを個体ごとに検出する取り組みを進めています。渡部上級研究員は、小さいうちに見つけて早く防除することで、地元の労力や費用の負担を減らしたいと話していました。

除草剤についても新たな研究が進んでいます。現在、除草剤の使用は法的には農地などに限られ、河川や湖での使用は想定されていません。近畿大学の早坂大亮准教授は、自然環境を再現した実験生態系「メソコスム」で生態系への影響を調べ、農地の外で使えるかどうかを判断するための科学的根拠づくりに取り組んでいます。

五箇さんは、実際に使うには法整備やガイドライン、周辺住民の合意が欠かせないと強調しました。そのうえで、自治体どうしの連携と国の支援による「オールジャパン」での防除が必要だと訴えています。

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見つけたら通報を|特定外来生物ナガエツルノゲイトウに私たちができること

では、私たち個人には何ができるのでしょうか。見つけたら抜いてしまおうと考える方もいるかもしれません。しかし五箇さんによると、生きた個体を持ち出したり運んだりすると、法律の罰則対象になってしまいます。茎1本からでも増えるため、途中で落とせば別の場所に広がるおそれもあります。

五箇さんが勧めるのは、自分で駆除するのではなく”発見の目”になることです。見つけたらすぐに最寄りの自治体へ通報する。それが早期発見・早期防除につながる、市民にとって最大の貢献だといいます。まずは、自分が住む地域の水辺にどんな外来種がいるのかを知ることが第一歩です。

番組の最後には、外来種問題は「お互い様」という視点も示されました。日本で食用として重宝されるワカメは、タンカーのバラスト水に乗って欧米やオーストラリアに運ばれ、漁業にも悪影響を及ぼしています。秋の七草として親しまれるクズも、緑化目的で持ち込まれたアメリカで増え続け、「グリーンモンスター」と恐れられているそうです。

日本は外来種の被害者にも加害者にもなりうる。この視点は、ナガエツルノゲイトウを「海外から来た厄介者」とだけ見るのではなく、自分ごととして考えるきっかけを与えてくれました。

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まとめ

「クローズアップ現代」が伝えたナガエツルノゲイトウは、1cmの茎から再生し、「弱点がない」とまでいわれる”地球上最悪”の植物です。全国に分布を広げ、茨城の水田ではコメ被害を、千葉豪雨では排水ポンプの停止を引き起こしました。自治体が多額の費用を投じても駆除が追いつかないなか、ドローンとAIによる早期発見や、除草剤の農地外利用の研究など、国の対策も動き出しています。

私たちにできるのは、抜かずに通報することです。身近な水辺に目を向けることが、この植物の拡大を止める、小さくても確かな一歩になるはずです。

※ 本記事は、2026年9月15日放送のNHK「クローズアップ現代」を参照しています。

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