使い道のない山林を相続してしまったら、どうしますか。売れず、放っておけば維持費だけがかかる。そんな厄介者を年商2億円の事業に変えたのが、2026年9月13日放送のがっちりマンデー‼に登場した冒険の森です。木をそのまま使う森林活用のアイデアから、自治体も得をする収益の仕組みまで解説します。読み終えるころには、山が資産に見えてくるかもしれません。
冒険の森とは?森林を活用したアドベンチャーパーク「ボウケンノモリ」
株式会社冒険の森は、大阪府豊能郡能勢町に本社を置き、森林を活用したアドベンチャーパークを運営している会社です。代表取締役は伴戸忠三郎さん。「ボウケンノモリ」というブランド名で施設を展開しています。
番組で語られたスケールは、全国13箇所、年間利用者はおよそ10万人。そして家族経営で年商2億円だそうです。会社設立は2011年3月で、事業内容には施設運営だけでなく森林整備事業や森林活用のコンサルティングも含まれています。
社長の言葉はシンプルでした。森の中にみんなが遊べる場所を作って、がっちり。ただ、この一文の裏には、日本中の山林が抱えている問題への回答が詰まっていました。
ツリートップアドベンチャーとは|最大10メートルの樹上アスレチック
看板となるアクティビティが、木の上を体験できるアスレチック「ツリートップアドベンチャー」です。樹々の上を歩いて、非日常の空間でアスレチックを楽しめる施設になっています。
番組で紹介されていたコースは2種類。最大7メートルの高さのチャレンジコースと、最大10メートルの高さで難易度が高いアドベンチャーコースです。身長140センチ以上という条件にも触れられていました。参加条件やコース構成は施設によって異なりますので、出かける際は公式サイトでご確認ください。
ロケが行われたのは能勢町にある「冒険の森 in のせ」で、2016年7月にオープンした施設です。この場所は、かつて東洋一とも言われたキャンプ場である大阪府立総合野外活動センターの跡地。敷地面積はおよそ8万平方メートルにもなります。
面白いのは、この施設が「自然公園」という位置づけになっている点です。自然の立ち木や地形をそのまま生かして遊具を設置しているからこそ、設営の許可が下りているという説明でした。造成せず、あるものを使う。この方針が、後述するコスト構造の鍵になります。
相続した山林が事業の原点|維持費だけがかかる森をどうするか
なぜ森の中でビジネスを始めたのか。伴戸社長の答えは、祖父から森林を相続したことがきっかけだったというものでした。
番組によれば、社長は24年前におじいさんから奈良県の山奥の森林を相続します。ところが、森林は持っているだけで維持管理に結構なお金がかかることを実感することになりました。そこで、車を売ったりしたお金で道具を集め、たった一人で森林整備を始めたそうです。孤軍奮闘の末に生まれたのが、森林活用型アドベンチャーパークでした。
ここが一番響いた部分です。相続した山林というのは、多くの場合「売れない、貸せない、放置すれば荒れる」という三重苦の資産です。固定資産税と管理費だけが出ていき、収入はゼロ。日本中で同じ悩みを抱えている方が大勢いるはずです。
普通なら「厄介なものをもらってしまった」で終わる話を、「この条件でしか成立しないビジネスは何か」という問いに変換した。車を売って道具を買ったという一点に、その本気度が表れていると思います。
自然の木をそのまま使う|整備コストを省く発想の転換
冒険の森が自然公園を任されるに至った理由が、コスト構造にありました。
伴戸社長によれば、こういう遊具を作るときは通常、支柱を立てたり地面をならしたりする作業から始まります。しかし自然の木をそのまま使うことで、その作業を省いていける。山の中に公園を整備しようとするとかなりのお金がかかりますが、冒険の森の方式なら費用をあまりかけずに作れるというわけです。
自治体としても、自然はなるべく残したい。だから木を切り倒して造成しない手法は、その意味でもありがたい。コストが安いことと、環境への負荷が小さいことが、同じ理由から同時に成立しています。
制約をコストとして受け止めるのではなく、そのまま設計に取り込む。ここが見事でした。整地しないから安い、整地しないから自然が残る、自然が残るから施設としての魅力も上がる。一つの判断が三つの利点を生んでいます。
町も事業者も得をする仕組み|賃借料で自然公園の維持費をまかなう
そもそも、この一帯には元々大阪府の野外活動センターがありました。しかしすでに閉鎖され、町の自然公園になっていた。ところが自然公園として維持管理するだけでもお金がかかって大変、という状況だったそうです。
そこで白羽の矢が立ったのが冒険の森でした。仕組みはこうです。伴戸社長はこのエリアを町から借りて冒険の森を運営し、お客さんからの参加費で収益を上げる。一方の町は土地の賃借料が入るので、そのお金で自然公園全体の維持管理ができる。社長の言葉を借りれば、ウィンウィンというわけです。
これが「儲かる公園ビジネス」の核心だと思いました。行政が公園を維持しようとすると、それは純粋な支出です。しかし民間が収益事業として使えば、同じ土地が収入源に変わります。しかも収入は維持管理費に回るので、公園そのものの質も落ちません。
負債だった土地が、収益資産に変わる。使われなくなった公共施設の跡地は日本中にありますから、この構図が横展開できる余地はかなり大きいはずです。
どんな山でもいいわけではない|杉やヒノキと木の強度データ
とはいえ、どんな山でも施設が作れるわけではありません。社長によれば、場所選びにはいろいろなノウハウがあるとのことでした。一部は企業秘密ということでしたが、番組では要点が語られています。
まず、遊具の設置に適したまっすぐで頑丈な木があるか。杉やヒノキなどが該当します。次に、その木が十分な太さを持っているか。木の大きさ、太さ、種類に基づいた強度がある程度は数字として残っているので、そのデータをもとに判断するそうです。
さらに、適度な距離で木を伐採して、ちょうどよい光を入れられるかどうかも条件になります。
つまりこの事業は「森があればできる」のではなく、「使える森を見極められる目」がなければできない。ここが参入障壁になっています。強度データという定量的な裏付けを持っていることも重要で、来場者の安全を預かる以上、感覚では判断できない領域です。全国の自治体から声がかかるのは、この目利き力があるからでしょう。
適度な伐採が森を健康にする|放置林問題と三方よしの構造
伐採についての説明も印象的でした。適度に木を伐採して光を入れることで、根っこがしっかり張るようになり、災害を防ぐことにもつながるというのです。
スタジオでは経済アナリストの森永康平さんが補足していました。適度に伐採して管理すると、放置している森林よりも健康な森林になる。つまり自然にとっても適度な伐採は良い方向に働くため、自治体としてもありがたく、事業者は当然儲かる。まさに三方よしの構造になっている、という指摘でした。
「木を切る=自然破壊」というイメージは根強いですが、手入れされない森が荒れていくことも事実です。遊び場として人が入り、そのために手入れが続き、結果として森が健康になる。人が使うことが保全になるという循環は、これからの森林活用の一つの答えだと思います。
現在、冒険の森は街中の公園にもアドベンチャーパークを作るビジネスを展開しています。実際、大阪の長居公園には気軽に楽しめるタイプの施設があり、森林の少ない街でもアスレチックを楽しめるようになっています。そして今や、山奥の森林管理に悩む全国の自治体から問い合わせが殺到しているとのことでした。
まとめ
がっちりマンデー‼で紹介された冒険の森は、使い道に困る森林をアドベンチャーパークに変えて、年商2億円を稼ぎ出している会社でした。
ポイントを整理します。原点は24年前に相続した奈良の山林。自然の木をそのまま使うから整備コストが安く、自然も残る。町から土地を借りて参加費で稼ぎ、町は賃借料で公園を維持できる。杉やヒノキの強度データに基づく場所選びがノウハウであり、適度な伐採はむしろ森を健康にする。
放置された森林も、閉鎖された公共施設の跡地も、見方を変えれば資源です。厄介者だと思っていたものの中に、まだ誰も気づいていない使い道があるかもしれません。
※ 本記事は、2026年9月13日放送(TBS系)の人気番組「がっちりマンデー‼」を参照しています。
※ 株式会社冒険の森の公式サイトはこちら



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