「お金を払ってまで、地方の小さなお祭りに参加したい人がいるの?」と驚いた方も多いのではないでしょうか。TBS系「がっちりマンデー!!」(2026年10月4日放送)では、片桐萌絵さんが率いる「とらでぃっしゅ」の、リピート率96%という祭り参加サービスが紹介されました。この記事では、その仕組みと人気の理由、担い手不足に悩む地域にとっての意義をわかりやすく解説します。読み終えたら、あなたもどこかのお祭りに参加したくなるかもしれません。
がっちりマンデーで紹介!とらでぃっしゅ・片桐萌絵社長の「地域の祭り×外の人」ビジネスとは
「儲かるお祭り」特集の最後に登場したのは、とらでぃっしゅ株式会社の片桐萌絵社長です。番組スタッフが「お祭りの話で大学!?」と驚きながら訪ねたのは、広島大学でした。
とらでぃっしゅが扱うのは、祇園祭やねぶた祭のような全国的に有名な大きなお祭りではありません。日本中の町や村で昔から続いてきた、小さくて地域密着のお祭りを専門にしています。加藤浩次さんの言葉を借りれば、「町内会の」お祭りです。
その事業内容は、こうした地域のお祭りに、その町以外の人が参加できるようにするサービスです。しかも参加は有料。それでも参加者は楽しそうで、地元の人たちからも感謝されているという、ちょっと不思議なビジネスです。
大きなお祭りはすでに観光資源として活用されていますが、小さなお祭りは、地元の人以外には存在すら知られていないことがほとんどです。誰も手をつけていなかったその「すき間」にこそ価値を見いだした点が、このビジネスのいちばんの鋭さだと感じます。
片桐萌絵さんとは?広島大学の大学生社長が「小さなお祭り」に挑む理由
片桐萌絵さんは、広島大学に在学しながら会社を経営する大学生社長です。実は以前、番組のイベント「出張!がっちりマンデー!!」に参加し、お祭りビジネスのアイデアをプレゼンしていた方でもあります。加藤さんも「お祭り大好きっつってた!」と覚えていました。
インタビュー記事によれば、片桐さんは愛知県奥三河の伝統行事「花祭」の担い手の家に生まれ、幼いころからお祭りの熱気の中で育ちました。しかし15歳のとき、コロナ禍でお祭りが一斉に休止。この経験が、祭りの未来を考えるきっかけになったようです。
その後、広島県東広島市の起業プログラムをきっかけに、2023年に同市安芸津町の「三津祇園祭」の活性化プロジェクトに取り組みました。この取り組みが評価され、2025年2月には学生起業家の登竜門「キャンパスベンチャーグランプリ」で最高賞の経済産業大臣賞を受賞。同年4月24日に、とらでぃっしゅ株式会社を設立しています。
「お祭りが好き」という純粋な思いを、学生のうちに事業の形にまで高めた行動力には、本当に頭が下がります。
舞台は300年続く甲山廿日えびす|参加費3000円でだんじりを引く
番組が密着したのは、広島県世羅町の「甲山廿日えびす」です。毎年8月20日に開かれ、300年以上続いている歴史あるお祭りです。地元紙などによれば、江戸時代から続く夏祭りで、見物客は約3万人にのぼるといいます。
片桐社長について行くと、受け取った法被を、まだ着ていない人たちに配り始めました。法被を着た人たちは、そのままだんじりを引っ張っていきます。話を聞くと「広島の方から興味があって来た」とのこと。そう、彼らは地域の外からやってきたゲスト参加者だったのです。
ある女性参加者は「今日は3000円払って参加しました」と笑顔で話していました。加藤さんも「お金払って来るんだ!」と驚いていましたが、皆さん本当に楽しそうでした。
見物するだけなら無料のお祭りに、お金を払ってまで「内側」に入る。この選択には、観光が「見る」から「体験する」へと移っている今の流れがはっきり表れていると思います。
祭りの担い手不足を救う|地元の保存会が語る人口減の切実な課題
このサービスは、地元の人たちにとっても大きな助けになっています。上組だんじり保存会の山本さんは、田舎で人口が減り、子どもの数も少なくなる中で参加者が減っていることが、ずっと課題だったと話していました。
今、地域の小さなお祭りが抱えるいちばんの悩みは、お神輿を担いだり、衣装を着て練り歩いたりする人手が足りないことです。しかも力が必要な役目が多いため、若い人が来てくれるのは地元にとって本当にうれしいことなのです。
さらに、参加者が町で食事や買い物をすれば、地域経済にもお金が落ちます。人手の確保と経済効果を同時に生み出せる点で、とても理にかなった仕組みだと言えます。
参加費を払ってもらう形にしていることにも、意味があると感じます。無料のボランティアより、少しでもお金を払っている人のほうが、「本気で参加しよう」という気持ちが強くなるはずです。参加の質を保つという点でも、有料にしているのは賢い選択ではないでしょうか。
にわか狂言の役者に!とらでぃっしゅが届ける「特別な祭り体験」
とらでぃっしゅのサービスの真骨頂は、ただの「人手」で終わらせないところにあります。片桐さんは、普通の人には絶対にできないような特別な体験を届けたいと話していました。
甲山廿日えびすの名物は、夜、大勢の観客の中で道の真ん中で演じられる「にわか狂言」と呼ばれるお芝居です。世相を風刺して笑いを誘う伝統芸能で、見るだけでも楽しいものです。なんと、とらでぃっしゅの参加者は、このお芝居の役者として本番の舞台に立てるのです。
舞台用の化粧をした参加者が有名ドラマの名ゼリフを披露する場面もあり、スタジオは笑いに包まれました。出演した男性は「今日参加してよかった」と大満足。地元の方から「化粧落として帰ってよ!」と声をかけられる姿からは、すっかり打ち解けた様子が伝わってきました。
リピート率96%の理由|練習・本番・打ち上げで地元の仲間になる
参加はお祭り当日だけではありません。本番に向けて地元の人たちと事前に一緒に練習し、お祭りが終わった後はみんなで打ち上げを楽しみます。
その結果、片桐さんによれば、リピート率は96%。ほとんどの参加者が、また戻ってきてくれるそうです。保存会の山本さんも、祭りを理解したうえで毎年参加してもらえるのはとてもありがたいと話していました。
リピート率96%の秘密は、参加者が「お客さん」ではなく「仲間」になれることにあると思います。一緒に練習し、本番で汗をかき、打ち上げで語り合う。そうして地元の人と顔の見える関係ができれば、お祭りは「イベント」から「帰る場所」に変わります。お金で買えるのは参加の権利までで、その先の絆はお金では買えません。だからこそ、また来たくなるのでしょう。
全国30万件のお祭りが舞台に|森永康平さんが語る「間口を広げる」価値
片桐さんによれば、全国には約30万件のお祭りがあると言われています。小さなお祭りでも、数が重なっていけば大きなものになるはずだと、今後の展望を語っていました。大島美幸さんも「町に絶対1個ありますもんね」と納得の様子でした。
スタジオでは森永康平さんが、地方は人口が減っているので、敷居を高くして排他的にするほど自分たちが苦しくなると指摘していました。昔からあるものの間口を広げることが、実は一番正しいというのが森永さんの考えです。さらに、人を募集していることを知らせる「認知のツール」としても使えるし、日本の伝統文化を体験したい海外の日本好きからの需要もあるだろうと話していました。
加藤さんの「これお祭り守れるよね!」という言葉に、このビジネスの意義が集約されていると思います。
まとめ
「がっちりマンデー!!」で紹介された、とらでぃっしゅと片桐萌絵社長のポイントをまとめます。
- とらでぃっしゅは、地域の小さなお祭りに町の外の人が参加できるようにするサービス
- 片桐萌絵さんは、花祭の担い手の家に生まれた広島大学の大学生社長
- 300年続く甲山廿日えびすでは、参加費3000円でだんじりを引ける
- にわか狂言の役者として、本番の舞台に立てる特別な体験も
- 練習・本番・打ち上げを通じて地元の仲間になれるから、リピート率は96%
- 全国約30万件のお祭りの「間口を広げる」ことが、伝統を守る力になる
担い手不足に悩む地域と、特別な体験を求める人をつなぐ。とらでぃっしゅの挑戦は、日本のお祭りを未来へ残すための新しい答えのひとつかもしれません。気になった方は、来年の夏、どこかの町のお祭りに「参加する側」として飛び込んでみてはいかがでしょうか。
※ 本記事は、TBS系「がっちりマンデー!!」(2026年10月4日放送)を参照しています。
※ とらでぃっしゅの公式サイトはこちら。



コメント