【高齢者5人に1人が認知症】「ガイアの夜明け」が解き明かす治療の行方

超高齢社会を迎えた日本で、認知症は誰もが直面しうる身近な問題です。2024年2月23日放送（テレビ東京系列）の「ガイアの夜明け」では、認知症患者数が2025年には600万人を超えるという推計データが紹介されました。将来有効な治療法が確立されることに期待しつつ、今できることから始める必要があります。本記事では、認知症の最新治療や新しいケア方法、そして地域コミュニティからの支援活動をわかりやすく解説します。認知症と向き合うすべての人が、様々な選択肢を知ることで、困難な状況下であっても希望を見出す一助となることを願っています。

認知症の本格治療へ、ついに一歩を踏み出す

2024年1月、ついに認知症の本格的な治療薬として保険適用された「レカネマブ」。アルツハイマー病の原因物質を標的とするこの薬剤は、軽度の認知症患者に投与することで症状の進行を27%抑える効果が確認されました。開発を手掛けたエーザイとバイオジェンの合弁会社が販売を担当し、すでに投与が開始されています。超高齢化が進む日本だけでなく世界的にも認知症患者は増加していることから、今後需要が高まることが予想されています。

音で認知症に挑む！「kikippa(キキッパ)」の可能性

キキッパ（kikippa）(引用：シオノギヘルスケアHPより)

大手製薬メーカーの塩野義製薬が2023年に発売したスピーカー「kikippa(キキッパ)」。独自の周波数の音を出すことで認知機能の改善を図るこの製品はまだ市場に定着していないものの、今後の可能性が期待されています。同社はコロナ禍でも新薬「ゾコーバ」の開発成功などを収め、また新規事業にも積極的に取り組んでいます。キキッパの臨床試験でも一定の効果が確認されたことから、改良を重ねながら製品を磨き上げ、2025年中の本格展開を目指しています。

「kikippa（キキッパ）」シオノギヘルスケアの公式ＨＰはこちら

管理を拒否し、とことん認知症と向き合う「銀河の里」

銀河の里（引用：銀河の里HP）

岩手県花巻市で運営されているグループホーム「銀河の里」は、認知症高齢者向けに徹底した本人主体の介護を行っています。時間を決めての手遊びやレクリエーションをせずに本人の意思を尊重した生活を送るこの施設は、介護職や入居者双方に好評です。職員のほとんどが20代の若者で、全国から集まったスタッフが空気感を大切にしながら利用者とともに過ごしています。銀河の里にとって、この手法は四半世紀にわたって培ってきた想いの結晶でもあります。

「銀河の里」HPはこちら

塩野義製薬が切り拓く新たな認知症ケアの道

売上高約4,267億円を誇る国内有数の製薬会社、塩野義製薬は「キキッパ」の開発に加えて新規事業をいくつもスタートさせようとしています。同社社長によれば従来の医薬品だけでなく新領域に注力することで成長を目指したい意向です。認知症においては治療薬以外で生活の質を向上させるソリューションもまた重要視されており、「キキッパ」がその一角を担える可能性がありそうです。

まとめ　認知症とともに生きる社会を目指して

2025年には日本の認知症患者数が600万人を超えると予測されるなか、彼らが尊厳を持って暮らせる社会を築くことが喫緊の課題となっています。治療薬の開発や周囲の理解が徐々にではあるものの深まりつつある中で、1人ひとりができることを考え実行に移していくことが何より大切なのかもしれません。複雑な現代社会で直面する認知症という難題に立ち向かっていくには、国を挙げた対策と同時に、小さな地域コミュニティからの働きかけが欠かせません。失われつつある大切な人の心を取り戻す試みは、個人の幸せだけでなく未来への希望そのものと言えるのではないでしょうか。