50代以上の女性をターゲットにした雑誌「ハルメク」が、出版不況の中で驚異的な成長を遂げています。2023年度には過去最高となる売上高314億円を達成し、雑誌は47万部という驚異的な部数を誇ります。2024年12月5日放送のテレビ東京「カンブリア宮殿」では、このハルメクの成功の秘密が明かされました。
ハルメク宮澤孝夫社長が語る「ハルメク経済圏」の全貌
ハルメクホールディングス社長の宮澤孝夫氏(68歳)は、外資系コンサルティング会社出身の経営者です。2009年、65億円の負債を抱え民事再生法の適用を申請した当時の「いきいき」の再建を託されました。宮澤社長は、雑誌を起点に物販・イベントと顧客を次々と巻き込む「ハルメク経済圏」という独自の戦略で、会社を驚異的な成長へと導きました。
日本一47万部を誇るハルメクの3つの絶好調の秘密
徹底的な顧客の声の分析とアンケート戦略
ハルメクでは、全国4カ所のコールセンターで毎月約2万5千件の顧客の声を収集しています。特筆すべきは、一つの自社開発商品につき300人へのアンケート調査を実施し、年間で3万人分もの声を集めている点です。雑誌制作においても、6-7ヶ月先の特集企画から、記事の切り口、さらには広告の表現に至るまで、細かく読者の声を反映させています。
4800人の熱烈ファンと商品開発の仕組み
全国に4800人いる「ハルトモ」と呼ばれる読者モニターの存在も、ハルメクの強みです。例えば、ガードル開発では52万枚という大ヒット商品でさえ、読者の声を基に改良を重ねています。完成した商品は必ずハルトモに試用してもらい、フィードバックを得てから販売するという徹底ぶりです。
レア体験を提供するコト消費戦略
2023年には約200のイベントを開催し、4万人が参加したというコト消費への取り組みも注目です。建長寺での特別な体験など、雑誌の特集内容と連動した非日常的な体験を提供することで、読者の満足度を高めています。
「いきいき」から「ハルメク」へ – 再建への軌跡
宮澤孝夫社長の改革と意識改革
2016年、宮澤社長は社内の反対を押し切って雑誌名を「いきいき」から「ハルメク」に変更。この決断は、社員から涙ながらの反対を受けましたが、前を向いて進むための重要な転換点となりました。
山岡朝子編集長の起用と編集方針の転換
翌年には、マーケティングに精通した山岡朝子氏を編集長として招聘。山岡氏は、それまで活用されていなかった読者アンケートを徹底的に分析し、潜在的なニーズを掘り起こすことで、5年で販売部数を3倍に伸ばすことに成功しました。
全国4拠点のコールセンターが支えるハルメクの成長戦略
鹿児島のコールセンターでは180人以上のスタッフが働き、顧客の声を丁寧に集めています。これらの声は商品開発やサービス改善に直接反映され、ハルメクの成長を支える重要な基盤となっています。
大手企業も注目するハルメクの50代以上女性マーケット
メガネ市場との共同開発商品など、年間300件もの企業からの依頼があるといいます。食品、健康食品、通信キャリアなど、様々な業界から50代以上の女性の本音を知りたいというニーズが寄せられています。
まとめ:ハルメクが目指す「より良く生きるお手伝い」の未来
宮澤社長は今後の展開について、デジタルを中心としたサービス展開や、団塊ジュニア世代である50代の開拓を視野に入れていると語っています。「お客様の声を聞き続けること」を企業文化として定着させ、変化するシニア層のニーズに応え続けることで、さらなる成長を目指しています。
※本記事は、2024年12月5日放送のテレビ東京「カンブリア宮殿」を参照しています。
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