「がっちりマンデー」(2024年3月17日放送－TBS系)で取り上げられた、日本を代表する伝統工芸品の「美濃焼」。しかし実は、現代の私たちの生活に深く溶け込んだ産業なのです。陶磁器の町・岐阜県土岐市では、生産体制の分業化が進み、日々の食卓で活躍する美濃焼を効率的に製造しています。中でも「大東亜窯業」は年商10億円を計上する同分野の覇権企業で、その白さの秘密には驚きの焼成技術が隠されていました。この記事では、美濃焼の歴史と最新事情、そして大東亜窯業の強みをご紹介します。伝統の魅力に触れながら、今を生きる陶磁産業の姿をご覧ください。
美濃焼とは?日本を代表する伝統陶磁器
美濃焼は、岐阜県を中心に生産される日本を代表する伝統的な陶磁器です。焼き物の歴史は古く、奈良時代には遣唐使が中国から陶磁器の製法を伝えたことが始まりだと言われています。
現在、美濃焼は国指定の伝統的工芸品に指定されており、質の高さと技術の卓越さから、日本はもちろん海外でも高い評価を受けています。世界各国の高級ブランドとも協業しており、例えばフランスの高級ブランド「Dior(ディオール)」の食器を手がける土岐市の会社もあります。
パリのDIOR（クリスチャン・ディオール）本店でも販売された「ぎやまん陶」
美濃焼の特徴は”色々な種類が揃う”多様性
美濃焼の最大の特徴は種類の多様性です。「特徴がないのが特徴」とも言われ、お椀や皿、マグカップ、花瓶など、ありとあらゆるものを手掛けています。種類は実に4,000種類以上と桁違いの品ぞろえです。
美濃地方は古くから粘土の産地として知られ、地域によって土の質が異なることから、それぞれ得意の製品が生まれました。例えば、下石町は徳利、泉町はマグカップなど、お馴染みの食器が特産となっています。
土岐市の分業体制が美濃焼の生産を支える
美濃焼の生産拠点として知られるのが、岐阜県土岐市です。この地域には、なんと200を超える焼き物の工場が点在しています。それぞれが専門を分担する分業体制が整備されており、生産の効率化を支えています。
原料の粘土を作る会社、釉薬(うわぐすり)を調合する会社、絵の具のみを手がける会社など、工程ごとに役割分担があり、それが品質と生産性の高さにつながっています。地地域が一体となって美濃焼の生産に取り組んでいるのです。
大東亜窯業の強みは”白さ”にあり 年商10億円
そんな美濃焼の生産の中心的存在が、大東亜窯業(だいとうあようぎょう)です。同社の製品は年商10億円を計上するほどの人気ぶりで、実は身近な食器を多く手がけています。
例えば、あの大手牛丼チェーン店の卵やサラダを入れるための角皿は、同社が商品化したものです。理由は衝撃に強い耐久性にあり、飲食店での激しい利用に対応できるためです。
大東亜窯業の最大の強みは、その製品の「白さ」にあります。還元焼成という特殊な焼成方法でその「白さ」を作り出し、食材を映えさせる演出効果を持つと高く評価されています。
“還元焼成”が生み出す美しい白い釉薬の秘密
大東亜窯業の製品の白さの秘密は、”還元焼成”と呼ばれる特殊な焼成方法にあります。全長80メートルに及ぶトンネル窯で、最高1,320度の高温で焼き上げる工程です。
一般に空気中の酸素と結合すると焼き物は黒ずみますが、この還元焼成では酸素を意図的に少なくした環境で焼き上げます。結果として酸化が起きにくく、美しい白さが生み出されるのです。
乳白色の優雅な輝きの白さが生まれるこの技術は、大東亜窯業の誇りであり、他社には真似のできない強みとなっています。
美濃焼は日本の食卓を支える伝統産業
数百年の歴史を持ち、国内外から高い評価を受ける美濃焼。でも単なる古い産業ではありません。色々な種類の製品や高い技術力、地域の分業体制など、進化し続ける伝統産業なのです。
日本人の食卓に溶け込んだ美濃焼。その存在は私たちの生活に深く根付いており、改めて見直せば、日本人の暮らしを守り支える大切な産業だと言えるでしょう。
コメント