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【クローズアップ現代】不妊治療と子供がいない「生きづらさ」の現実

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不妊治療が保険適用になって2年。治療を受ける人が増える一方で、「子どもがいない」ことによる生きづらさは深刻化しています。最新の調査では、不妊治療を終えた女性の36%がPTSDの可能性が指摘されるなど、その影響は予想以上に深刻です。本記事では、「クローズアップ現代」(2024年12月17日放送)で取り上げられた不妊治療の現状と課題、そして誰もが自分らしく生きられる社会へ向けた具体的な取り組みについて、専門家の意見とともに詳しく解説していきます。

 

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不妊治療後のPTSD発症率36%の衝撃‐深刻化する生きづらさの実態

不妊治療を受けても子どもを授からない人々の生きづらさが、かつてないほど深刻化しています。2024年12月、NHKの調査で衝撃的な事実が明らかになりました。40歳から60歳未満の女性を対象とした最新の研究によると、不妊治療を途中でやめた女性の実に36%が心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状を抱えている可能性が高いことが判明したのです。

関西大学人間健康学部の香川香教授は「辛い体験を日常的に何度も何度も経験して、不妊治療経験を今でもハッと思い出して、あの苦しい思いをされたり、いつまでも傷つけられてしまう」と指摘しています。特に深刻なのは、治療をやめた後も続く精神的な苦痛です。治療中はもちろん、治療終了後も長期にわたって心の傷が癒えないケースが少なくありません。

 

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社会の見えない圧力「未産うつ」とは?専門家が警鐘を鳴らす現状

不妊治療の一般化に伴い、新たな社会問題として「未産うつ」という現象が注目されています。マダネプロジェクト代表のくどうみやこ氏は、この状態を「子どもがいないことに対して非常に負い目を感じ、抑うつ的な症状が出てしまう状態」と定義しています。

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マダネプロジェクト くどうみやこ代表             (引用:「マダネプロジェクト」HPより)

 

特に深刻なのが、社会からの見えない圧力です。名古屋市立大学の杉浦真弓教授の研究によると、不育症の患者の約半数が「結婚していることがわかると、すぐに『お子さんは?』と質問され、嫌な気持ちになる」と報告しています。この背景には「母性神話」と呼ばれる、女性は子どもを産んで一人前という古い価値観が根強く残っていることが指摘されています。

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名古屋市立大学  工藤真弓教授                 (引用:「名古屋市立大学」㏋より)

さらに近年では、SNS上で「子持ち様」「子無し様」といった言葉が飛び交うなど、子どもの有無による分断も深刻化。職場でも、子育て世代への配慮が逆に子どものいない人々への無理解につながるケースも報告されています。

男性も例外ではありません。杉浦教授は「不妊症、不育症ともに男性にも原因があることが分かっています。しかし日本の社会では子供ができないと女性の責任という考え方が浸透しており、男性に原因があることが分かると、一層深く傷つくケースも見られます」と指摘しています。

 

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不妊治療を終える判断の難しさ‐42歳という年齢制限の壁

2022年から不妊治療への保険適用が拡大され、多くの人が治療を受けやすくなりました。現在では4.4組に1組が不妊治療を受けており、体外受精の実施件数は年間54万件に上っています。しかし、保険適用には42歳という年齢制限があり、この壁が当事者に大きな精神的プレッシャーを与えています。

医学的なデータによると、不妊治療による出産率は年齢とともに低下し、40歳で10%、42歳では5%となります。沖縄の空の森クリニックの徳永義光医師は「一生懸命やってきた自分というものを、バタッと否定されるような思いが、治療が途絶える場合にはある」と指摘します。

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徳永義光医師                         (引用:「空の森クリニック」HPより)

 

同クリニックで8年間治療を続けた47歳の女性は「もし終わったとしても、残念な気持ちはずっと残ると思うんですが、最後に後悔はないようにしていきたい」と語ります。高齢出産のニュースに希望を見出す一方で、終える時期の判断に悩む人も少なくありません。

 

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医療現場における心のケアの取り組みと課題

医療現場では、不妊治療中の人や終えた人に対する専門的な心のケアの取り組みが始まっています。がん・生殖医療専門心理士による専門的なカウンセリングでは、当事者の悩みを受け止め、気持ちを整理しながら前向きに考えられるよう支援しています。

特筆すべきは、治療終了後も継続的なケアを提供する体制づくりです。19年間不妊治療を続けた島袋優季子さん(53)は「気にかけてくれる体制を整えてくださってることは本当に感謝しかない」と語ります。

国の支援により、各都道府県に不妊症・不育症患者のための相談窓口が設置されていますが、杉浦教授は「まだ十分に周知されていない」と指摘。心理療法である認知行動療法などの取り組みも、マンパワー不足により必要とするすべての方に提供できていないのが現状です。

 

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「エンパシー」で変わる職場環境‐先進企業の取り組み事例

職場における「生きづらさ」の解消に向けて、注目すべき取り組みを行う企業が現れています。三井住友海上火災保険では、育休取得者の職場メンバー全員に「育休職場応援手当」を支給。3カ月未満の場合は一人最大3万円、3カ月以上の場合は10万円が支給される画期的な制度です。

人事部主席スペシャリストの丸山剛弘氏は「子供がいる人いない人の差を広げるのはいい施策ではない。相互理解を深めることに対する投資」と説明します。制度開始から1年で5割の職場に手当が支給され、「お互い様」という意識が醸成されつつあります。

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マダネプロジェクト代表のくどう氏は、このような取り組みを「エンパシー(他者を理解する力)」の実践例として評価。「自分とは異なる立場や価値観の人の感情や考えを想像する力を養うことが、誰もが生きやすい社会づくりの第一歩」と指摘しています。

 

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母性神話を超えて‐専門家が語る多様な生き方の尊重

杉浦教授は「子供は授かるものであって、努力で手に入るとは限らない」と指摘します。妊娠のメカニズムは30年の研究を経ても完全には解明されておらず、「妊娠は当たり前ではない」という認識を社会全体で共有する必要性を訴えています。

さらに、生殖に関する教育の不足も指摘されています。不育症は5%、不妊症は15%と誰でもかかりうる可能性があり、学校教育での取り組みの必要性も提言されています。

 

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まとめ:誰もが生きやすい社会へ向けて必要な取り組み

不妊治療や子どもの有無による「生きづらさ」の解消には、医療現場でのケア体制の充実、職場での理解促進、そして社会全体の意識改革が必要です。くどう氏の提唱する「エンパシー」の考え方は、多様な生き方を認め合える社会の実現に向けた重要な指針となっています。

子どもの有無に関わらず、それぞれの人生の選択を尊重し合える社会。そこでは「夫婦の正解は夫婦の数だけある」という島袋さんの言葉が示すように、一人一人が自分らしい人生を歩むことができるはずです。

※本記事は、」2024年12月17日NHK放送の番組「クローズアップ現代」を参照しています。

・くどうみやこ氏が代表を務める「マダネプロジェクト」のHPはこちら

・番組で紹介された徳永義光医師の「空の森クリニック」のHPはこちら

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