事業承継は日本の中小企業経営者にとって大きな悩みの種です。事業を継がせる適切な後継者がいないため、収益のある企業でさえ廃業の危機に直面する状況があります。しかし、この記事を読めば、最新のマッチングサービスやスピーディーな事業の買い取り・売却ビジネスといった新しい解決策を知ることができます。「週刊ビジネス新書」(2024年3月23日放送-テレビ東京系)で紹介された事例を通して、経営者の皆様の悩みが少しずつ解決へと導かれていく未来が見えてくるはずです。日本全国の活力ある地域企業を守るため、ぜひこの記事を最後までお読みください。
後継者不在の深刻な事業承継問題とは
日本では中小企業を中心に、経営者の高齢化が進み、後継者不在が大きな問題となっています。2023年の企業の後継者不在率は61.09%と深刻な状況にあります。事業承継の問題は大きく2つに分かれます。1つは親から子への承継ですが、なかなかうまくいかないケースが多いようです。さらに深刻なのが、そもそも子どもがいない、または子どもが継がない場合です。このように後継者がいないため、黒字企業でも廃業を余儀なくされる会社が多数存在しています。地方の中小企業では、雇用の維持が経営者の大きな願いですが、廃業となれば、その願いは叶いません。早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授は「選択肢はM&Aか廃業しかなかった。しかし、M&Aでは事業がバラバラにされたり、雇用が守られないリスクがある」と指摘しています。
新しい事業承継スタイル”サーチファンド”の仕組み
このような状況を打開すべく、新しい事業承継の仕組み”サーチファンド”が注目を集めています。サーチファンドは、経営者を目指す個人と投資家、経営を承継したい企業の3者をマッチングさせるシステムです。個人サーチャーが投資家から資金を得て、希望する企業の事業を引き継ぐというものです。日本ではアメリカ発祥のこの仕組みにさらに工夫を加え、経営理念まで継承できるようにしています。サーチファンドなら、事業の継続と雇用の維持が可能となります。
地域銀行が立ち上げた独自のマッチングサービス
山口県では、県内企業の後継者不在率が60.3%と全国12番目に高い深刻な状況にありました。この問題を解決すべく、地元の山口銀行を中心に、サーチファンドのマッチングサービスが2019年に立ち上がりました。運営するのが「山口キャピタル」です。同社は登録するサーチャーの適性を慎重に見極め、投資家や企業とマッチングさせて
います。すでに製造業や建設業、運送業など幅広い業種で8件の事業承継が実現しています。伝統企業の三笠産業では、東京から唐澤宏誌さん(38歳)が社長に就任。創業75年の同社を存続させることができました。
リサイクル感覚で事業の買い取り・売却が可能な新サービス
事業承継の新しい動きとして、事業の一部だけを売買する「PINCH HITTER JAPAN」の取り組みも注目を集めています。価格は100万円から最大3,000万円程度と小規模ながら、即日買い取りが可能です。在庫の買取ノウハウを活かし、業種を問わず事業の査定と買取を行っています。これまでに700件の事業買取実績があり、平均1.4か月で次の事業者に売却できているといいます。後継者の問題に加え、新規参入のための初期投資を抑えられるメリットもあります。同社は「もったいない」を「価値」に変えるサービスを提供しています。
事業承継を成功させるための極意とは
このように新しい取り組みが広がる中で、入山教授は「事業承継を成功させるには、マッチングが重要。地場の事情に詳しい地域金融機関が仲介することで、情報の非対称性が解消できる」と指摘しています。また、地域に精通した金融機関が関与することで、伝統的な経営理念の継承も可能になります。一方で「PINCH HITTER JAPAN」の吉岡拓哉社長は「スピード」の重要性を強調。迅速な資金化で廃業を回避でき、地域経済と雇用の維持につながると話しています。マッチングとスピード、双方の追求が事業承継問題の解決につながりそうです。
まとめ
事業承継は日本の大きな課題ですが、新しいビジネスモデルの登場で、状況が変わりつつあります。サーチファンドでは承継企業と適切なマッチングができ、リサイクル感覚の買取販売なら、スピーディーな資金調達が可能です。事業の継続や、地域活性化、雇用維持に大きく貢献できるサービスが生まれてきました。マッチングの精度とスピードの両立が、問題解決への鍵を握っています。
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