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【いまからサイエンス】超伝導モーターの仕組み!中村武恒「電気抵抗ゼロ」

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「超伝導モーターって何がすごいの?」「電気抵抗ゼロってどういう仕組み?」そんな疑問をお持ちの方に向けて、2026年3月4日放送のBSテレ東「いまからサイエンス」に出演した京都大学・中村武恒先生の解説をもとに、超伝導モーターの仕組みや応用先をわかりやすくまとめました。この記事を読めば、超伝導がなぜ今注目されているのか、未来のエネルギー社会にどうつながるのかがしっかり分かります。


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超伝導モーターとは?電気抵抗ゼロで効率99.5%超を実現する仕組み

超伝導モーターとは、「超伝導」という物理現象を利用して作られた革新的なモーターのことです。

まず「超伝導」とは何かを簡単に説明すると、特定の物質をある温度(臨界温度)以下にまで冷やした時に、電気抵抗が完全にゼロになる現象のことです。番組に出演した京都大学大学院工学研究科の中村武恒特定教授は、超伝導の特徴について「電線に電気を流すと普通は熱くなるけれど、超伝導だと全く熱くならない」と、とても分かりやすく説明してくれました。

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京都大学大学院工学研究科の中村武恒特定教授                         (引用:「いまからサイエンス」より)

では、なぜ電気抵抗がゼロになると「すごいモーター」になるのでしょうか。

通常、電線に電流を流すと、電子が物質内の原子核にぶつかりながら進みます。この衝突が「電気抵抗」の正体で、エネルギーの一部は熱として失われてしまいます。スマートフォンが充電中に熱くなるのも、まさにこの電気抵抗が原因です。ところが超伝導状態になると、原子核の揺れ(熱振動)が収まり、電子がぶつからずにスムーズに流れるため、エネルギーの無駄がなくなるのです。

この原理を活かして中村先生が開発した超伝導モーターは、50キロワットクラスで効率99.5%超という驚異的な数値を達成しています。通常のモーターで同等の高効率を出そうとすると巨大なサイズが必要になりますが、超伝導モーターなら小型のままで高効率・高出力を両立できるのが大きな強みです。

しかも、この超伝導モーターにはもう一つ「賢い」特徴があります。電気抵抗ゼロの超伝導状態は効率が高い反面、ちょうどスケートリンクのように「滑らかすぎて不安定」になる場合があります。しかし、不安定になりかけると自動的に通常の抵抗あり状態に切り替わって安定を取り戻し、安定したらまた超伝導状態に戻るという自己制御のような動きをしてくれるのです。中村先生はこの性質を「非線形」と呼び、超伝導の本質的な特徴として強調していました。

個人的に感じたのは、このモーターの「賢さ」こそが実用化の鍵だということです。研究室で高効率を出すだけなら他の方式でもあり得ますが、安定性まで備えているからこそ、トヨタのような企業が実用化に本気で乗り出しているのだと思います。世界の電力消費の実に55%以上はモーターによるものと言われていますから、そのモーターの常識が変われば、社会全体のエネルギー問題にも大きなインパクトがありそうです。


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超伝導はなぜ起きる?1911年の発見から高温超伝導セラミックスまで

超伝導が初めて発見されたのは、今から100年以上前の1911年のことです。

オランダの物理学者ヘイケ・カメルリング・オンネスが、ヘリウムガスを液体にする低温研究の延長で、水銀をマイナス269℃まで冷やしたところ、電気抵抗が突然ゼロになるという驚きの現象を偶然発見しました。この功績により、オンネスは1913年にノーベル物理学賞を受賞しています。

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低温物理学の先駆者 ヘイケ・カメルリング・オンネス            (引用:「日経サイエンス」より)

番組で中村先生も語っていましたが、超伝導の研究は「まず実験データがあって、後から理論が追いついてきた」という独特の歩みをたどってきました。まさに現象が先、理論が後という珍しい研究分野なのです。

オンネスが発見した当初の超伝導物質(水銀など)は、マイナス269℃という液体ヘリウム温度の極低温でなければ超伝導になりませんでした。しかしその後、世界中の研究者たちが新しい超伝導物質を探し続け、中村先生が現在使用しているセラミックス系の超伝導テープは、マイナス160℃程度で超伝導状態になります。番組でもお持ちいただいた実物のテープは、幅わずか4ミリ、厚さ0.2ミリという薄さで、液体窒素温度(マイナス196℃)で抵抗ゼロのまま200アンペア以上、液体水素温度まで冷やせば1000アンペア以上が流れるという非常に優れた材料です。

興味深いのは、このセラミックス系の「高温超伝導」がなぜ起きるのか、そのメカニズムが実は未だに解明されていないという点です。中村先生によれば、マイナス160℃程度では原子核の熱振動がまだ残っているはずなのに、電気抵抗はゼロになる。実験ではそうなることが確認されているのに、理論的に説明ができないのです。先生は「この物理が明確になれば、ノーベル賞になるレベル」とおっしゃっていました。

なお、番組でも紹介されていたように、日本は超伝導物質の発見で世界的に大きな貢献をしてきた国でもあります。新しい超伝導物質の探索は今も続いており、もし室温に近い温度で超伝導になる物質が見つかれば、それこそ世界が一変するでしょう。未解明の謎が残っているからこそ、この分野はこれからもブレイクスルーの可能性を秘めていると感じます。


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中村武恒×トヨタが挑む世界初の超伝導搭載・水素エンジン車

中村武恒先生の超伝導モーターが世界の注目を集めた大きなきっかけが、トヨタ自動車との共同開発です。

2025年11月、スーパー耐久シリーズ2025の最終戦が行われた富士スピードウェイで、世界初となる超伝導モーター搭載の水素エンジン車がデモ走行を披露しました。液体水素を燃料とする「GRカローラ H2 concept」に、中村先生が開発した「京大方式超電導モータ」を組み込んだ車両です。

この取り組みがユニークなのは、液体水素と超伝導の「相性の良さ」を最大限に活かしている点です。液体水素の温度はマイナス253℃。超伝導モーターが機能するには極低温環境が必要ですが、燃料そのものがその低温環境を提供してくれるわけです。つまり、超伝導のためにわざわざ冷却装置を用意する必要がないという、まさに一石二鳥の発想なのです。

従来の液体水素エンジン車では、燃料をくみ上げるポンプのモーターはタンクの外に設置されていました。しかし超伝導モーターなら冷たい環境でこそ力を発揮するため、タンクの内部にポンプごと収めることが可能に。これにより、タンク容量は従来の約1.3倍以上に拡大でき、航続距離の向上にもつながりました。さらに、接続部分(フランジ)がなくなることで水素のボイルオフ(気化して失われる現象)も低減できるという複数のメリットが得られています。

番組の中で中村先生が印象的だったのは、「私は車が走ると思わなかった。トヨタさんが走らせちゃったんでびっくりした」という言葉です。超伝導モーターはこれまで一定速度でゆっくり回すのが常識とされてきましたが、レースのような激しい加減速環境での使用は「非常識にもほどがある」レベルだったそうです。それでもトヨタ側から「やろう」という声がかかったというのは、企業としてのチャレンジ精神のすごさを感じます。

ちなみにこの共同開発は、2023年にトヨタが構想を発表してからわずか約2年で実車のデモ走行まで到達しています。EVだけがエコカーではなく、水素エンジン×超伝導という新しい選択肢が日本から生まれつつあるというのは、自動車産業の未来を考える上でとてもワクワクする動きではないでしょうか。


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水素ポンプから航空機・宇宙まで!超伝導モーターの応用と可能性

超伝導モーターの応用先は、自動車だけにとどまりません。

中村先生が番組で紹介していたもう一つの注目プロジェクトが、老舗ポンプメーカーである酉島製作所との共同研究です。NEDOの助成事業のもとで開発を進め、2024年3月には、超伝導モーターを搭載した液化水素ポンプの大流量移送試験に世界で初めて成功しました。将来の水素社会では、船で運んできた液体水素を港から需要地へパイプラインで輸送したり、発電所に送り込んだりする場面であらゆるところにポンプが必要になります。その中核技術として超伝導モーターが使われる可能性があるのです。

実際、2026年1月には、川崎重工業が建設を進める世界最大級の液化水素基地「川崎LH₂ターミナル」向けに、酉島製作所の超伝導モーター搭載ポンプが正式採用されたことも発表されています。超伝導モーターの産業実装は、もはや研究段階の話ではなく、商業ベースで動き始めているのです。

さらに大きなスケールの話として、航空機への応用も世界中で研究が進んでいます。水素燃料で飛ぶ航空機のモーターに超伝導を組み込む構想で、国際的な開発競争が激化しているとのこと。中村先生のグループもこの分野に参入しています。

そして個人的に番組で最も面白いと感じたのが、宇宙空間への応用です。宇宙空間の温度はマイナス270℃程度で、地球上ではごく限られた特殊な物質でしか超伝導が起きませんが、宇宙空間ではむしろ多くの物質が超伝導状態になりうるのです。中村先生は「宇宙空間まで目をやると、超伝導のほうが一般的かもしれない」と語っていました。これは発想の転換として非常に面白い視点で、逆に言えば「地球のほうが超伝導にとって特殊な環境」ということになります。

今後の宇宙探査や開発が進む中で、超伝導モーターが宇宙空間での標準的な駆動装置になる日が来るかもしれません。まだ実用例はないそうですが、だからこそ日本が先んじて技術を確立すれば、大きなアドバンテージになるはずです。


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中村武恒のターニングポイント―高専時代に出会った一冊の本

中村武恒先生が研究者を志したのは、意外にも高校時代のことだったそうです。

山口県宇部市出身の中村先生は、高等専門学校(高専)に通っていた2年生から3年生になる春、図書館で1987年刊行の「超電導とは何か」という本に出会いました。この本を読んだ感動が、超伝導研究の道を志すきっかけとなったのです。

番組では実際にその本を持参されていて、加藤浩次さんから「やっぱり『抵抗ゼロ』に惹かれたんですか?」と聞かれると、先生は「感動しません?」と返していたのが印象的でした。すべてのものに抵抗があるのが常識の世界で、冷やしたらゼロになるという事実は、確かに純粋に「面白い」と感じさせる不思議な魅力がありますよね。

その後、九州大学大学院で博士号を取得し、1998年から京都大学で研究を開始。超伝導モーターの基礎理論の確立から応用開発まで一貫して取り組み、イムラ・ジャパンや三菱重工業、トヨタ、酉島製作所など、数多くの企業との共同研究で成果を上げてきました。

番組の中で先生は、自身の研究について「学者としてのゴールはない。終わりがない」と語りつつ、「技術を世に使ってもらうところにはゴールがある。ようやくゴールの議論ができるようになった」とも述べていました。100年以上にわたる先人たちの積み重ねの上に、自分の研究があることへの責任も感じているという言葉からは、研究者としての誠実さが伝わってきます。

ちなみに、加藤浩次さんと中村先生は同い年(昭和44年生まれ)という偶然も番組で明かされ、「ピークはまだ先」と互いに励まし合っていた場面も微笑ましかったです。先生にとって、サイエンスとは「ライフワーク」。一冊の本との出会いから始まった超伝導への情熱が、今まさに社会を変える技術として花開こうとしています。


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まとめ

2026年3月4日放送の「いまからサイエンス」では、京都大学・中村武恒先生が開発する超伝導モーターの仕組みと、その驚くべき可能性が紹介されました。

ポイントを振り返ると、超伝導モーターの核心は「電気抵抗ゼロ」によるエネルギーロスの極小化です。50キロワットクラスで効率99.5%超を達成し、さらに不安定時には自動的に通常モーターに切り替わる「賢さ」も備えています。トヨタとの共同開発では液体水素エンジン車に搭載され、2025年11月にデモ走行が成功。酉島製作所との水素ポンプ開発も商業化段階に入りつつあり、航空機や宇宙空間への応用にも大きな期待が寄せられています。

超伝導のメカニズムにはまだ未解明の部分が残されていますが、だからこそ今後さらなるブレイクスルーの余地があるとも言えます。100年の研究の蓄積を背景に、中村先生の超伝導モーターが日本の産業競争力を高める切り札になる日はそう遠くないかもしれません。これからの展開が本当に楽しみです。

※ 本記事は、2026年3月4日放送(BSテレ東)の人気番組「いまからサイエンス」を参照しています。

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