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社会・暮らしの問題

【クローズアップ現代】銅の高騰はなぜ?「暮らしへの影響」とアフリカ争奪戦

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2026年4月6日放送のNHK「クローズアップ現代」では、世界的な銅の高騰が私たちの暮らしに与える影響が特集されました。エアコンや冷蔵庫の値上げ危機、そしてアフリカ・カッパーベルトをめぐる米中日の争奪戦の実態とは?番組に出演した細井義孝氏の解説も交え、銅高騰の背景から今後の見通し、私たちにできることまでを詳しくお伝えします。


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銅の高騰で家電が値上げ危機!エアコン・冷蔵庫への影響とは

「物の値段が次々と上がる中、今度は銅が暮らしを直撃している」――番組はそんな衝撃的な言葉から始まりました。

銅は、私たちの生活のあらゆる場面で使われている金属です。エアコン、冷蔵庫、掃除機、調理器具、パソコンなど、日常的に使う製品の多くに銅が欠かせません。その銅の価格が、この10年で3倍以上に高騰しているのです。

番組では、すでに身近な製品に値上げの波が押し寄せている実態が紹介されました。たとえば銅製の卵焼き器は、次の仕入れから2倍近い値上げがすでに決まっているそうです。半導体製品や銅線、さらには楽器にまで影響が及んでおり、キャスターの桑子真帆さんの私物の楽器も、最新モデルは5年前と比べて1.5倍の価格になっていたとのこと。

そして、今後もっとも値上げが懸念されているのが、エアコンや冷蔵庫といった家電製品です。エアコンには熱交換器として銅管がたっぷり使われており、1台あたり2〜3キロもの銅が必要になります。夏に向けてエアコン需要が高まるこれからの時期、家計への影響が心配されます。

正直なところ、金や銀の値上がりはニュースでよく耳にしますが、「銅まで?」と驚いた方も多いのではないでしょうか。しかし実は、銅は金や銀以上に私たちの生活に密着した金属です。だからこそ、その高騰は暮らしをダイレクトに直撃してくるのです。


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銅の価格が10年で3倍に高騰した背景―AI・EV・データセンターの需要拡大

では、なぜ銅はここまで高騰しているのでしょうか。

最大の要因は、世界的な需要の急拡大です。銅はもともと「ベースメタル」と呼ばれ、青銅器時代から人類が使い続けてきた基盤的な金属ですが、近年はそこに新しい需要が爆発的に加わりました。

具体的には、以下のような分野で銅の使用量が急増しています。

  • 電気自動車(EV):ガソリン車よりもはるかに多くの銅を使用
  • データセンター:AIの普及に伴い世界中で建設ラッシュ
  • 再生可能エネルギー:太陽光・風力発電の設備に大量の銅配線が必要
  • 半導体:銅の導電性が半導体の配線に不可欠

つまり、カーボンニュートラルやAI時代の到来が、銅の需要を一気に押し上げているわけです。番組に出演した細井義孝氏(秋田大学 栄誉客員教授・JICA鉱業分野アドバイザー)も、「将来も含めて非常に需要増になっており、この状況はさらに今後強く続いていく」と指摘されていました。

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秋田大学 栄誉客員教授・JICA鉱業分野アドバイザーの細井義孝氏            (引用:「JICA」より)

個人的に注目したいのは、「AI」という要因です。ChatGPTをはじめとする生成AIの登場以降、世界中でデータセンターの建設需要が急増しています。AI時代のインフラを支えているのは、実は「銅」という非常にアナログな素材なのです。デジタルとアナログが密接につながっているという点は、とても興味深い現実だと感じます。


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三菱電機・部品メーカーが語る銅不足の深刻さと企業の対応策

番組では、銅の高騰に苦しむ国内メーカーのリアルな声が紹介されました。

エアコンや冷蔵庫を製造する大手メーカーの三菱電機では、原材料価格の高騰を受けて一部製品の値上げに踏み切っています。調達担当の川路茂樹常務執行役は、「今時点ではギリギリ企業努力で対応している。ただもう、その臨界点に近づきつつある」と厳しい表情で語っていました。企業努力で吸収できない分は、最終的にサービスや製品価格に跳ね返らざるを得ない状況だということです。

銅の代替素材としてアルミへの置き換えも検討されていますが、アルミは銅と比べて性能面で劣るため、設計の見直しが必要になるなど、簡単には進まないのが現実です。

さらに深刻なのが、部品メーカーへの影響です。銅板から精密部品を加工するあるメーカーでは、年間およそ1700トンの銅を使用しています。ところが2026年1月、調達先から「この夏から供給を縮小する」という連絡が入りました。AIや半導体向けの需要を優先するため、供給の見直しが行われたためです。

このメーカーの今田雅之社長は、「これまでは潤沢な銅の材料を加工することに専念していればよかったが、この銅の調達難の時代になり、おのずと危機意識を持つようになった」と語っています。同社では廃棄していた銅板の再活用や端材の徹底回収に取り組み、銅板のロスを年間50トン近く削減できる見通しだそうです。

こうした企業の自助努力には頭が下がりますが、根本的な解決にはやはり「供給量の拡大」が不可欠です。そこで注目されているのが、次に紹介するアフリカのカッパーベルトです。


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アフリカ・カッパーベルトとは?世界の銅の1割が眠るザンビアの可能性

世界の銅の争奪戦における「最後のフロンティア」として注目を集めているのが、アフリカ南部のザンビアにある「カッパーベルト(銅の地帯)」です。

カッパーベルトの面積は日本の九州にほぼ匹敵する広大なエリアで、世界の銅生産量の約1割に相当する埋蔵量があるとされています。

特筆すべきは、その質の高さです。番組で紹介されたS&P Globalおよび経済産業省の発表データによると、未開発鉱床における銅の含有率は以下のとおりです。

産地 銅含有率
チリ 約0.65%
ペルー 約0.55%
ザンビア 約1.95%

ザンビアの含有率は、南米の主要産地と比べて3〜4倍近く高いことがわかります。さらに、場所によっては含有率が6%を超えるエリアもあるとザンビア政府の関係者は説明しています。

一方で、これまでカッパーベルトの開発が進まなかった理由もあります。政治体制や法制度の不安定さ、そして内陸に位置するため他国を経由しなければ輸送ができないという地理的なハンディです。

しかし、世界の銅生産量の4割近くを占める南米の大型鉱山がほぼ開発し尽くされ、品位の低下やコスト増加が進む今、カッパーベルトの重要性はかつてなく高まっています。経済産業省の山口雄三課長(鉱物課)も、「確保に向けて手を打っていくのは、もう待ったなし」と危機感を示していました。


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米中vs日本―カッパーベルトの銅をめぐる争奪戦の最前線

カッパーベルトにはすでに各国が本格的に進出を始めており、激しい争奪戦が繰り広げられています。

先行する中国の圧倒的プレゼンス

もっとも早くから動いていたのは中国です。20年以上にわたって開発を進め、ザンビアの主要な銅鉱山14か所のうち6か所を中国系資本が押さえています。銅の採掘だけでなく、精錬、物流、建築、さらにはレストランやショッピングモールまで、600社余りが進出しており、現地で暮らす中国人は数万人に上ると言われています。

かつては低賃金や劣悪な労働環境をめぐってデモが頻発しましたが、現在はザンビア人の雇用・待遇改善に努め、道路整備なども手がけることで地域に溶け込む戦略をとっています。中国企業の現地法人社長は「単に投資して金を稼いで立ち去るのではなく、ザンビアに根を下ろし、この国の一員になる」と語っていました。

AIで攻勢をかけるアメリカ

一方、中国に対抗するアメリカは、テクノロジーの力で勝負しています。4年前に地中探査の権利を獲得したアメリカ企業には、マイクロソフトやアマゾンの創業者が出資。最新のAIを駆使した地中探査によって、これまで数週間かかっていた分析を数時間に短縮し、銅の鉱床の発見率を最大20倍に高めることに成功しています。

この企業が見込む銅の採掘量は年間30万トンで、中国企業の8.5倍にあたる規模です。

日本の戦略:衛星技術と人的ネットワーク

米中の後を追う日本は、独自の強みで勝負しています。その一つが、国際宇宙ステーションに取り付けられた日本の光学センサー「HISUI(ひすい)」を活用した衛星画像解析です。経済産業省が所管するJOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)が日々解析を行い、地表に植物などの障害物があっても銅の鉱床を効率的に発見できるとされています。

もう一つの強みは、15年に及ぶ地質調査支援で築いたザンビアとの人的ネットワークです。ザンビアの地質調査所では、日本の教育・研修を受けた研究者が多く在籍し、毎年地質図を作成しています。日本はこの地質図を他国より早く入手することで、情報戦を有利に進めようとしているのです。

さらに、日本の商社やメーカーなど約20社が2026年3月にカッパーベルトを視察するなど、官民を挙げた動きが活発化しています。

個人的には、AIで圧倒するアメリカ、物量で押す中国に対して、日本が「信頼関係」と「衛星技術」という二本柱で挑む構図は、日本らしいアプローチだと感じます。派手さはないかもしれませんが、長期的な信頼構築は資源開発において極めて重要な要素です。


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細井義孝氏が解説する日本の課題と58年前のカッパーベルト撤退の教訓

番組に出演した細井義孝氏(秋田大学 栄誉客員教授・JICA鉱業分野アドバイザー)は、半世紀にわたって日本の鉱物資源確保に携わってきたエキスパートです。

細井氏は、カッパーベルト開発の難しさとして、開発期間の長さと莫大な費用、政治体制・法制度の不安定さ、そして内陸部ゆえの輸送の困難さを挙げました。

特に印象的だったのは、細井氏自身の体験談です。実は58年前、日本は商社・鉱山会社・政府がオールジャパン体制でカッパーベルトの鉱山開発に挑んだことがあるそうです。しかし、さまざまな事情からビジネスがうまく続かず、15年間操業した後に撤退。この経験が「アフリカではビジネスは成功しない」というトラウマとなって、日本の民間企業の間に残っているのだと細井氏は明かしました。

一方で、「若い世代は昔の方と違った新しいアフリカを見ていくので、期待したい」とも語っており、過去の失敗を乗り越える希望にも言及されていました。

また、細井氏は日本が今後やるべきこととして、「探査・開発・メンテナンスなどの技術協力と、それを生かせる技術者の育成が重要」と強調。経済産業省は民間企業の鉱山開発支援として技術協力や資金援助のためにおよそ1600億円の予算を確保しているほか、道路や港、橋などのインフラ整備も進めているとのことです。

さらに、中国がレアアースで世界市場を席巻している状況に触れ、「銅でも同じようなことになりかねないが、まだ取り戻せる段階にある」と警鐘を鳴らしていた点は、非常に重要なメッセージだったと思います。


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私たちにできることは?都市鉱山・リサイクルの重要性

銅の争奪戦や国家レベルの資源戦略を見ると、「自分たちに何ができるのだろう」と感じるかもしれません。しかし、番組では私たち一人ひとりにもできることがあると紹介されていました。

それが「リサイクル」です。

細井氏は、「多くの家電に銅が使われているので、使用済みの家電をリサイクルに回していくことが重要」と述べていました。日本にはすでに大量の家電製品が存在しており、これらは「都市鉱山」とも呼ばれています。地下から新たに掘り出さなくても、私たちの手元にある使い終わった家電から銅を回収できるのです。

実際に、日本はリサイクル技術において世界でもトップクラスの水準を持っています。この強みを活かし、リサイクル率をさらに高めていくことが、銅不足への一つの答えになるでしょう。

新しい鉱山を海外で開発するには長い年月と莫大なコストがかかりますが、リサイクルなら国内で比較的短期間に実現できます。個人レベルでは「使わなくなった家電を適切にリサイクルに出す」という小さな行動ですが、それが積み重なれば大きな資源になります。資源に乏しい日本だからこそ、こうした足元の取り組みが一層大切なのではないでしょうか。


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まとめ

2026年4月6日放送のNHK「クローズアップ現代」では、世界的な銅の高騰が私たちの暮らしに及ぼす影響と、アフリカ・カッパーベルトをめぐる資源争奪戦の実態が詳しく伝えられました。

番組の要点を振り返ると、以下のようになります。

  • 銅の価格は10年で3倍以上に高騰し、エアコン・冷蔵庫など家電の値上げ危機が迫っている
  • 背景にはAI、EV、データセンター、再生可能エネルギーによる需要拡大がある
  • 南米の鉱山は開発が進み限界を迎えつつあり、アフリカのカッパーベルトが最後のフロンティア
  • 中国は20年以上前から進出し、アメリカはAI技術で攻勢。日本は衛星技術と信頼関係で勝負
  • 細井義孝氏は、日本の技術協力と人材育成の重要性を強調
  • 私たちにできることは、都市鉱山としてのリサイクル

金や銀の価格高騰は以前から注目されていましたが、銅という「地味だけど暮らしに欠かせない金属」の高騰は、より身近で深刻な問題です。国の資源戦略はもちろん、私たち一人ひとりのリサイクルへの意識も問われている。そんなことを考えさせられる放送回でした。

※ 本記事は、2026年4月6日放送のNHK「クローズアップ現代」を参照しています。

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