スポンサーリンク
社会・暮らしの問題

【クローズアップ現代】「次はキューバ」トランプ戦略と今後の世界の行方

trump-cuba-strategy
スポンサーリンク

カリブ海の小国キューバに、今アメリカ・トランプ大統領の視線が注がれています。2026年4月21日放送のNHKクローズアップ現代「”次はキューバ”トランプ政権の戦略は 激動中南米」では、石油供給の遮断で苦しむキューバの現実と、揺れる中南米諸国の姿が浮き彫りになりました。本記事では番組の核心を整理しつつ、トランプ戦略の本質と今後の世界の行方、日本への影響まで掘り下げてお伝えします。


スポンサーリンク

トランプが「次はキューバ」と公言する理由|戦略の核心に迫る

「キューバを手に入れる。解放するにせよ占領するにせよ、私が望むことは何でもできる」——2026年3月16日、トランプ大統領が発したこの言葉は、世界に衝撃を走らせました。さらに3月27日には、ベネズエラとイランでの軍事作戦の成果を誇示しながら、「次はキューバだ」と公然と名指しする発言まで飛び出しています。

なぜ今、キューバなのでしょうか。答えは1959年のキューバ革命以降、フィデル・カストロ議長が「アメリカの目と鼻の先で社会主義革命を達成した」と宣言して以来、60年以上にわたり続いてきた反米路線にあります。キューバはフロリダ半島からわずか150キロ、人口約1100万人の小国でありながら、ロシア・中国・ベネズエラ・イランと密接な関係を築き、中南米における反米勢力の象徴的存在となってきました。

明海大学の小谷哲男教授は、キューバを「中南米における反米勢力のラスボス的存在」と位置づけています。トランプ政権の狙いは、このラスボスを倒すことでニカラグアなど他の反米諸国をアメリカ側にすり寄らせ、西半球全体を勢力圏に取り込むことにあると筆者は見ています。イランでの軍事衝突が泥沼化する中で「次はキューバ」と敢えて公言する背景には、国内向けの強い指導者像を演出する政治的計算も透けて見えるのではないでしょうか。

スポンサーリンク

クローズアップ現代が映したキューバへの圧力と市民生活の実態

番組が映し出したハバナの夜は、暗闇に包まれていました。聞こえてくるのは「カンカンカン」と鍋やフライパンを打ち鳴らす音。これは「カセロラソ」と呼ばれるキューバ伝統の抗議行動です。「私は生きているというより、ただ生き延びているだけ」——ハバナに暮らす女性のこの言葉ほど、現状を的確に表す表現はないでしょう。

トランプ政権はキューバに事実上の海上封鎖を敷き、各国に対して石油輸出の停止を要求しています。結果としてハバナのガソリンスタンドは休業状態となり、ゴミ収集車は稼働せず、路上で散乱したゴミが燃やされるという衛生的にも深刻な事態が広がっています。

さらに深刻なのが医療分野への影響です。電力不足によって医療機器が動かせず、ここ数か月で約10万件の手術が延期されたと報じられています。ハバナの医師は「発電機が故障し、手術室は完全な暗闇に包まれることもあります」と証言しており、命に関わる危機が日常化していることが分かります。

筆者が特に注目したのは、キューバ政府の外貨獲得源を断つ巧妙な圧力戦術です。キューバは医療従事者を国外に派遣し、中南米を中心に2万人以上を送り込むことで収入を得てきました。トランプ政権はこの医師たちの受け入れ停止を各国に要請しており、400人以上を受け入れてきたグアテマラでは今月65人が出国、年内に全員がいなくなる見通しです。軍事力を見せつける前に、相手の経済的生命線を絞り上げる——これがトランプ流圧力外交の実態と言えるでしょう。

スポンサーリンク

トランプ政権のキューバ戦略|体制転換と実利を狙う2つの思惑

トランプ政権のキューバ戦略の全体像を理解するには、3つの視点が欠かせません。

第一に、体制転換と経済利権の獲得です。キューバ政策の鍵を握るルビオ国務長官は、「政治体制、経済の仕組みも変えなければならない」と明言しています。さらに第1期トランプ政権で国務次官を務めたトーマス・シャノン氏も、「トランプ大統領のねらいは、キューバへの圧力を強めて政治や特に経済を変えること、外国資本に開放的な経済へと改革させることだ」と解説しました。小谷氏が指摘するように、体制転換が実現すればアメリカ資本がリゾート開発や資源開発に参入でき、莫大な経済的実利が生まれます。

第二に、キューバ系・ヒスパニック票の固定化です。フロリダ州には約150万人のキューバ系住民が暮らし、共和党の重要な支持基盤となっています。キューバの民主化を目指す団体を率いるロサ・マリア・パヤ氏のように、トランプ政権を熱烈に支持する層の存在は、次期中間選挙以降の政局にも直結します。

第三に、筆者が最も本質だと感じるトランプ氏個人の動機です。歴代政権が成し遂げられなかったキューバの反米姿勢の転換を実現できれば、それは「レガシー」として歴史に刻まれます。さらに、オバマ政権がキューバのテロ支援国家指定を解除し関係改善を図った経緯を「敵と手を結ぶ行為」として否定したい意図も透けて見えます。小谷氏も指摘する通り、トランプ外交の通奏低音には一貫して「オバマ否定」があり、これがキューバ政策を駆動している側面は見逃せません。

スポンサーリンク

キューバはどう動くのか|共産党体制維持に向けた対応戦略

キューバ側の出方はどうでしょうか。元駐キューバ大使の渡邉優氏は、現指導部が守ろうとしているものを「共産党が指導する体制の維持」と分析しました。

実はディアスカネル大統領自身、2026年4月3日にハバナで行われたインタビューで、「われわれは戦争を回避するよう努める。常に平和のために働く。だが軍事侵略を受ければ反撃し、戦い、自衛する」と語り、「全国民が参加して」徹底抗戦する姿勢を示しています。同時に4月16日には、米国による軍事攻撃について「現実味がある」として国民に備えるよう警告しました。

渡邉氏が示したキューバの対応シナリオは極めて現実的です。アメリカに譲歩しつつも体制の温存を図る「ベネズエラ・モデル」の踏襲。すなわち経済面での段階的な開放で時間を稼ぎ、次期政権交代を待つという戦略です。興味深いのは、2026年3月29日、トランプ政権がロシア政府所有の石油タンカーのキューバ入港を容認したと報じられていることです。海上封鎖を一部緩和するこの動きは、水面下の交渉が既に始まっている可能性を示唆しており、渡邉氏のシナリオを裏付ける傍証と言えるでしょう。

スポンサーリンク

激動する中南米|ベネズエラ・パナマに広がるトランプの圧力

トランプ政権の圧力は、キューバ一国に留まりません。今年1月の軍事作戦でマドゥロ大統領が拘束されたベネズエラでは、マドゥロ体制を引き継いだロドリゲス暫定大統領が「長期的な協力関係を築くため」にアメリカと協調する姿勢に転じました。

しかし現地の人権団体は、抑圧的な体制は根本的には変わっていないと警告しています。フロリダ国際大学のイムダット・オネル研究員は「トランプ政権が重視するのは、民主主義をもたらすことではなく、石油産業をグローバルに開放し、ベネズエラから利益を得ることにあります」と鋭く指摘しました。民主化という大義の陰で、資源利権の獲得が実態である——この指摘は非常に示唆的です。

もう一つの焦点がパナマ運河です。トランプ大統領が掲げる「ドンロー主義」は、西半球から中国やロシアの影響力を排除する構想ですが、その象徴がパナマ運河をめぐる米中の角逐です。運河の出入口に近い2つの港を約30年間運営してきた香港系企業の運営権が、今年1月にパナマ最高裁判所で違憲と判断され取り消されました。一方でパナマ運河建設に携わった中国系移民を称える記念碑が安全性を理由に撤去されるなど、長年移住してきた中国系住民たちがスケープゴートにされる事態も起きています。運河庁幹部のイサック・カランサ氏が「何より期待しているのは事態が落ち着くこと」と語る言葉に、米中板挟みの小国の苦悩が凝縮されています。

スポンサーリンク

米中G2か全面対立か|トランプ戦略と今後の世界の行方

今後の世界の行方を占う試金石として、小谷氏が挙げたのが米中首脳会談です。米政府の発表によれば、トランプ大統領と中国の習近平国家主席は2026年5月14日から15日にかけて北京で会談を行う予定となっており、当初は3月末から4月上旬の訪中が予定されていましたが、対イラン軍事作戦の影響で延期された経緯があります。

ここで提示されたのが「米中G2」の可能性です。アメリカは中国と関係が深いベネズエラを攻撃することで、「中南米に手を出すな」というメッセージを中国に送りました。もし中国がこの要求を呑めば、見返りとしてアジアにおける中国の勢力圏が黙認される——西半球はアメリカ、アジアは中国という棲み分けが成立する可能性があるのです。

一方で、アメリカがアジアでも中国の影響力を認めないとなれば、全面対立の局面に突入します。中南米20か国以上が参加する中国の「一帯一路」構想と、先月トランプ政権が開催した中南米12か国サミットのせめぎ合いは、この対立構造の縮図と言えるでしょう。渡邉氏が指摘するように、中南米諸国の本音は「踏み絵を踏まされる事態を避けたい」というものであり、米中どちらとも経済関係を維持したいのが実情です。

筆者が気になるのは、イラン情勢の出口が未だ見えない中で、トランプ政権が本当に西半球重視を貫けるのかという点です。小谷氏も「あの、一貫性が見られません」と述べており、政権の戦略が場当たり的に揺れるリスクは無視できません。

スポンサーリンク

日本が取るべき戦略|中南米との連携と多角的外交の重要性

仮に米中G2体制が実現すれば、アメリカはアジアから手を引く可能性が出てきます。日米同盟を基軸とする日本にとっては、極めて厳しい戦略環境の変化です。

小谷氏が提言するのは、アメリカにアジアと日本の重要性を再認識させる外交努力と、ヨーロッパやアジアに加え中南米とも連携を深める多角的外交の必要性です。渡邉氏も、日系移民の存在を背景にした良好な日中南米関係を活かし、環太平洋地域の経済連携協定(TPP)への中南米諸国の参加促進や戦略的対話の深化を提案しています。

筆者の個人的な意見を付け加えるなら、日本は「仲介役」としての独自ポジションを確立できる数少ない国の一つではないでしょうか。アメリカの同盟国でありながら中国とも深い経済関係を持ち、中南米からも信頼を得ている日本の立ち位置は、米中対立が深まるほど価値を増します。受け身で米中どちらかに付くのではなく、自由で開かれたインド太平洋という理念を軸に、中南米を含む「第三の極」としての連携構築を主導する——これこそ今の日本が描くべき戦略の姿ではないかと考えます。

スポンサーリンク

まとめ

2026年4月21日放送のクローズアップ現代「”次はキューバ”トランプ政権の戦略は 激動中南米」が浮き彫りにしたのは、単なるキューバ問題を超えた世界秩序の地殻変動でした。トランプ政権が放つ圧力は、キューバの市民生活を直撃しつつ、中南米全体の勢力図を塗り替えようとしています。

その戦略の本質は、体制転換による経済利権の獲得、キューバ系票の固定化、そしてオバマ否定というレガシー作りの三位一体です。キューバ側は共産党体制維持のためにベネズエラ・モデルで時間を稼ぐ構えですが、トランプ政権の強硬姿勢次第では軍事衝突の可能性も排除できません。

5月14・15日に北京で開催予定の米中首脳会談が、米中G2か全面対立かの分岐点となります。日本にとっては、日米同盟を堅持しつつも中南米を含む多角的外交で存在感を示し、自由で開かれた国際秩序の維持に貢献することが求められる局面です。軍事行使が公然と行われる時代において、一人ひとりが国際情勢に関心を持ち続けることこそ、平和で安定した未来への第一歩と言えるのではないでしょうか。

※ 本記事は、2026年4月21日放送のNHK「クローズアップ現代」を参照しています。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
シェアする
スポンサーリンク

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました