2026年5月14日放送のカンブリア宮殿に、創業102年を迎えた木村石鹸工業が登場しました。「合う人と合わない人がいます」と正直すぎるマーケティングで大ヒットを生み出す同社。社員が給料を自分で決める仕組みなど、4代目社長・木村祥一郎さんが語る「覚悟の交換」という哲学を本記事で詳しく解説します。読み終えた時、あなたの仕事観もきっと変わるはずです。
カンブリア宮殿で話題!木村石鹸工業とは?大阪・八尾の老舗が起こした奇跡
2026年5月14日(木)23時06分からテレビ東京系で放送された「カンブリア宮殿」では、大阪府八尾市に本社を置く老舗石鹸メーカー、木村石鹸工業が特集されました。当初は5月7日放送予定でしたが、「世界卓球2026ロンドン100周年大会」の中継により1週間延期となった経緯があります。
木村石鹸工業の創業は大正13年(1924年)。2026年で創業102年を迎える正真正銘の老舗ですが、規模は社員56人、売上17億円という決して大きくない会社です。それなのに今、消費者の間でファンが急増し、次々とヒット商品を生み出しています。
筆者が特に注目したのは、長く続く老舗にありがちな「変えられない伝統」ではなく、「変えるべきものは大胆に変える」という大らかさです。古い釜焚き製法という昔ながらの製造技術を守り続けながら、自己申告型給与や社員の沖縄移住まで認めてしまう。この振り幅の大きさこそが、木村石鹸工業の本質的な強さではないでしょうか。
代表ブランド「SOMALI(そまり)」と「12/JU-NI(じゅうに)」のヒットも、その大らかな経営文化から自然と生まれてきたものなのです。
木村祥一郎社長の経歴|継ぐ気ゼロだった4代目が語る「正直経営」の原点
木村祥一郎さんは1972年生まれ。曾祖父・熊治郎氏が創業した木村石鹸工業の4代目にあたります。2代目は祖父の金太郎氏、3代目は父の幸夫氏が務め、幸夫氏は1963年に業務用洗濯洗剤、1968年には銭湯全盛期にあわせ浴場用洗浄剤を大ヒットさせたアイデアマンでした。
そんな家に生まれた木村祥一郎さんですが、実は跡を継ぐ気はまったくなかったと、番組内で正直に告白しています。「小学校低学年の頃から、お前はこの工場を継ぐんだと言われ続けて、こんな狭い世界で人生が決まるのかと思って、絶対継がんと決めていた」と語っていました。
家業から逃れるように、1992年に同志社大学文学部へ進学。在学中の1995年には友人とITベンチャーを立ち上げ、副社長として18年間活躍しました。
転機は2013年。父・幸夫氏から「助けてほしい」と懇願されたことでした。「親父から泣きつかれた時に、このまま放っておくのは無理やなと思った」と振り返ります。当初は3年限定で家業を手伝うつもりが、3年後にはそのまま代表に就任。IT業界からは完全に足を洗うことになりました。
筆者が興味深いと感じたのは、「家業だからやっている、別に石鹸じゃなくてもいい」と現在でも木村社長が正直に語る姿勢です。一般的な経営者像とは正反対のこの率直さが、結果として同社の「正直経営」の根幹を成しているのだと思えてなりません。
大ヒット商品「12/JU-NI(ジューニ)」と「SOMALI(そまり)」の魅力とは
木村石鹸工業の自社ブランドの代表格が「SOMALI(そまり)」と「12/JU-NI(じゅうに)」です。
SOMALI(そまり)は2015年4月に発売された木村石鹸初の自社ブランド。「素材の塊」を略してSOMALIと名付けられました。釜焚き製法で作る純石鹸をベースに、人や環境に優しい素材だけにこだわって製造されています。
ハンドソープやボディソープ、台所用洗剤、お風呂・トイレ用洗浄剤など幅広く展開。インテリアになじむシンプルで洗練されたボトルデザインも特徴です。番組では名古屋在住の愛用者・石榑亜矢さんが、人工的な香りがない点を絶賛していました。
注目すべきは、全国およそ280店舗を展開するコインランドリー「Baluko Laundry Place」でもSOMALIが採用されている点です。代々木上原店の店長・岡田優梨亜さんは「素材本来のふんわり感、風合いを蘇らせられる洗剤」とコメントしており、プロからの信頼の厚さがうかがえます。
12/JU-NI(じゅうに)は2020年発売のシャンプー。くせ毛や寝ぐせに悩む人向けに5年の歳月をかけて開発されました。「髪の悩みから自由になれる」という意味が込められた商品名です。
一本3,000円と一般的なシャンプーの倍ほどの強気な価格設定にもかかわらず、口コミで爆発的に広がりました。テレビ東京のバックナンバーによると、「合う人と合わない人がいます」と万人向けでないことを明記したところ「正直すぎる」と話題になり売り上げが3倍に、生産が間に合わない事態となったとのことです。
筆者が思うに、12/JU-NIの真の革新性は「ターゲットの絞り込み」ではなく「ターゲットから外れる人にも誠実であろうとした姿勢」にこそあると感じます。万人受けを狙わない勇気が、結果として熱狂的なファンを生み出した好例と言えるでしょう。
12/JU-NIとSOMALIはどこで買える?販売店・通販・新商品情報まとめ
「番組を見て使ってみたい」と思った方が気になるのは、12/JU-NIとSOMALIはどこで買えるかという点ではないでしょうか。
主な購入ルートは以下のとおりです。
- 木村石鹸 公式オンラインストア
トップページ
SOMALI 商品一覧
12/JU-NI 商品一覧
- 楽天市場 木村石鹸 公式ストア
SOMALIカテゴリ
- Amazon 木村石鹸 公式ストア
12/JU-NI 商品例
- ヨドバシ.com
SOMALIメーカーページ
- その他取扱店
cotogoto(雑貨セレクトショップ)
価格帯の目安は、12/JU-NIのトライアルセットが1,100円(税込)、シャンプー&コンディショナーセットが4,500円〜5,500円(税込)程度。SOMALIシリーズはハウスケアが1,100円〜、ボディケアが1,320円〜、洗濯用は1,265円〜と、用途に応じて幅広い価格帯です。
新商品としては、開発者・多胡健太郎さんが沖縄で開発を進めている基礎化粧品が今後注目される見込みです。また、近年では固形石鹸の販売再開や、酸素系漂白剤などのニッチな洗浄剤も次々と登場しており、新商品の動向は公式サイトやSNSで随時発信されています。
なお、SOMALIや12/JU-NIは一般的なドラッグストアやホームセンターでは取り扱いが少ない傾向があるため、確実に手に入れたい場合は公式オンラインストアの利用が安心です。
木村石鹸工業「覚悟の交換」とは?社員が給料を決める自己申告型給与の真意
木村石鹸工業を語る上で外せないのが、自己申告型給与制度です。これは社員自身が「来年はこんな成果を上げるから、給料はいくらにしてほしい」と自ら申告する仕組みで、つまり自分の給料を自分で決めるという驚きの制度です。
入社6年目の冨山ひかるさんは番組内で「どんどん上げろと言ってもらえるので、どんどん上げさせていただいて、これだけ上げてもらうから頑張るぞという気持ちになる」と話していました。入社5年目の川口さんも、靴用洗浄剤やトイレ消臭剤の開発提案で昇給を勝ち取っています。
この制度の根底にある哲学を、木村社長は「覚悟の交換」と表現します。
木村社長は「人が人を評価できるのか」という根本的な疑問から、評価制度そのものをほぼ廃止しました。代わりに「未来にこういうことをします、こういうことをしたい」という社員側の表明に対し、会社が「それに乗っかれるかどうか」を判断する。これは投資なのだ、と語っています。
つまり、社員と会社が互いに不確かな未来に対して合意点を探り合い、双方が納得できる地点を見つける。そこに必要なのはロジックではなく覚悟。だからこそ「覚悟の交換」なのです。
番組MCを務めた作家・金原ひとみさんは編集後記で、「ルールや慣習、不文律に支配されず、社員が自分自身を、正確でなくともしっかと認識し、それを会社に共有する。お金の前に交わされているのは、社員が描く未来への信頼なのだ」と表現しています。
筆者の私見ですが、この制度は単なる人事施策ではなく「人間そのものへの信頼回復運動」とも言えるのではないでしょうか。管理と監視が当たり前になった現代の組織に対し、木村社長は「サボる自由より、没頭する自由のほうが尊い」と明確に異を唱えています。この発想こそ、これからの時代の働き方を考える上で大きな示唆を与えてくれます。
開発者・多胡健太郎の沖縄移住と新商品開発|自由すぎる研究体制の実態
木村石鹸工業の自由すぎる文化を象徴するのが、12/JU-NIの開発者・多胡健太郎さんの存在です。
多胡さんは募集もしていない木村石鹸に突然履歴書を送ってきて入社した異色の人物。「理想と思うものを作る環境がここにはある」というのが志望理由でした。社内チャットに「すごいのできました」と突然投稿があり、それが5年かけてたった一人で開発していた12/JU-NIだったのです。
そして現在、多胡さんは新しい基礎化粧品の開発のため、4年前から単身で沖縄に移住し、現地のアパートを研究所として活動しています。番組では木村社長が初めて研究所を訪問する様子が放送され、棚に大量のサンプルが並ぶ本格的な実験環境が映し出されました。
なぜ沖縄なのか。多胡さんは番組内で、ゲットウやポリフェノール豊富なシマグワなど「南国でしか手に入らない植物」「数週間しか採取できない花」を化粧品原料として使うため、と説明しています。
驚くべきは、木村社長が「完全放置」を貫いている点です。「真剣に取り組んでいるのは見てなくても信頼しているので」と語る姿勢に、覚悟の交換の精神が体現されています。
筆者は、この多胡さんのエピソードこそが木村石鹸工業の競争力の源泉だと考えます。優秀な人材を「自由」で惹きつけ、「信頼」で本気にさせる。この組み合わせは、お金やポストでは決して買えない強力な武器です。
X(旧Twitter)で見る木村石鹸工業・木村祥一郎への共感と反響
放送直後からX(旧Twitter)でも木村石鹸工業と木村祥一郎社長への関心が急速に高まっています。
放送前から木村石鹸の公式X(@kimurasoap)はフォロワーとの活発な交流を続けており、Instagramでは2.2万人のフォロワーがいることからも、もともとファンコミュニティの強さがうかがえます。
放送後に予想される反響の傾向としては、次のようなものが想定されます。
- 「正直すぎる」マーケティングへの共感の声
- 自己申告型給与制度に対する驚きと「自分の会社でもやってほしい」という願望
- 12/JU-NIやSOMALIを「使ってみたい」「どこで買えるのか」という購買意欲
- 多胡さんの沖縄移住エピソードへの羨望と感動
- 「覚悟の交換」という言葉への深い共鳴
特筆すべきは、木村社長自身がnoteで「中東情勢の影響で原料が入ってこない」「崖っぷちで踏ん張っている今の木村石鹸の姿を、ありのままに映していただいた」と放送前に正直に発信していた点です。きらびやかな成功譚ではなく、リアルな経営の苦しさも含めてさらけ出す姿勢に、ファンはより強く惹きつけられているように見えます。
筆者が感じるのは、現代の消費者は「完璧な企業」ではなく「正直な企業」を求めているという潮流です。木村石鹸工業の反響はその象徴的な事例と言えるでしょう。
まとめ|カンブリア宮殿が描いた木村石鹸工業「覚悟の交換」と正直経営の未来
2026年5月14日放送のカンブリア宮殿で取り上げられた木村石鹸工業は、創業102年の老舗でありながら、最も現代的で先進的な経営思想を実践している会社でした。
4代目社長・木村祥一郎さんが掲げる「正直経営」と「覚悟の交換」は、単なる差別化戦略ではなく、人間と組織の関係を根本から問い直す哲学です。12/JU-NIやSOMALIといったヒット商品は、その哲学が形になったものに過ぎません。
「合う人と合わない人がいます」と公言する勇気、社員に給料を決めさせる胆力、開発者を沖縄に放置できる信頼。どれも一朝一夕には真似できないものですが、そのすべての根底には「人を信じる」という当たり前のことを当たり前に実行する姿勢があります。
これから訪れる新商品(基礎化粧品)の展開や、ますます広がるであろう「正直すぎるブランド」の輪に、引き続き注目していきたいですね。
※ 本記事は、2026年5月14日放送(テレビ東京系)の人気番組「カンブリア宮殿」を参照しています。
※ 木村石鹼工業株式会社の公式サイトはこちら




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