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社会・暮らしの問題

【クローズアップ現代】コメ価格急落と需要に応じた生産「輸出米がない」

【クローズアップ現代】コメ価格急落と需要に応じた生産「輸出米がない」 kurogen-rice-price-drop-export
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2026年9月14日放送のNHK「クローズアップ現代」では、去年の高騰から一転したコメ価格急落を取り上げました。なぜコメの値段はここまで乱高下するのか。鈴木農相が掲げる「需要に応じた生産」とは何を意味するのか。この記事では、産地の苦悩、専門家の解説、大臣インタビューの要点をわかりやすく整理しました。読み終えるころには、これからのコメ価格と食卓の行方を自分ごととして考えられるはずです。

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クローズアップ現代「コメ価格急落の行方」放送内容|新米が古米より安い異常事態

2026年9月14日放送の「クローズアップ現代」(キャスター:星麻琴さん)は、一昨年から続く「令和のコメ騒動」が新たな局面に入ったことを伝えました。番組によれば、今はコメ価格が急落し、新米が古米よりも安いという異常事態が起きています。

冒頭で紹介されたのは、学生街のラーメン店です。この店はもともとご飯のおかわりを無料にしていました。ところが番組によれば、去年はコメ価格が一時5キロあたり4500円近くまで高騰したため、有料にせざるを得なかったそうです。価格がおよそ3000円まで落ち着いたことで、今年5月から無料提供を再開しています。調子がよければ3杯ほど食べるというお客さんの声からも、無料ご飯の人気ぶりが伝わってきます。店長も、やっと下がって安心したと話していました。
賑わう日本のラーメン店。カウンターには「新米入荷!ご飯おかわり無料!」の日本語の文字が書かれた看板と、大きな電気炊飯ジャーが置かれ、客が自分でご飯をよそっている様子。

消費者にとって値下がりはうれしいニュースです。それでも番組は「喜んでばかりはいられない」と投げかけます。私はこの一言が、放送全体を貫くテーマだと感じました。

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コメ価格急落で産地に在庫の山|概算金は3万円から18,500円へ

一方、産地では異変が起きています。新潟県のJAえちご上越では、令和7年産米の在庫が大量に残っていました。倉庫に入った160トンのうち、およそ110トンがまだ残っているそうです。担当の金井課長は、ここまで残るのは経験がないと語っていました。

背景にあるのは、去年の深刻なコメ不足への対応です。農協や卸売業者の集荷競争が激しくなり、価格は急上昇しました。国は2025年におよそ59万トンの備蓄米を放出します。同年8月には、当時の石破首相が「増産に舵を切る」と表明し、コメの生産を抑えてきたそれまでの政策を見直しました。

この方針を受けて、農家の早川さんは田んぼ全体のおよそ3割を多収米に切り替えました。多収米はコシヒカリより単価が安いものの、収穫量が多いため、それなりの売上を確保できると考えたそうです。

しかし、多くの農家が増産した結果、農協は頭を悩ませることになりました。農家からコメを集める際に仮払いする「概算金」は、コメ不足だった去年は3万円でした。今年はコメを売り切るために今の相場に合わせざるを得ず、番組によれば18,500円に決まりました。去年より4割近く低い水準です。

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増産から「需要に応じた生産」へ|二転三転するコメ政策と農家の本音

国の方針は、高市政権になって再び変わります。新たに就任した鈴木憲和農林水産大臣が「需要に応じた生産」を基本に掲げると、産地には政策転換だという受け止めが広がりました。

早川さんは、農協以外の卸売業者とも価格交渉に臨んでいました。しかし提示されたのは、去年より4割以上低い金額でした。番組によれば、早川さんの収入はコメが急騰する前よりも減る見通しです。

早川さんは、国の方針が1、2年で二転三転したため、何かに協力しようという気持ちが薄れていると打ち明けていました。この言葉は重いと私は感じます。国の呼びかけに応じて増産した農家ほど損をする構図が続けば、次に国が何を呼びかけても、現場は簡単には動かないでしょう。価格以上に「信頼」が傷ついたことこそ、今回のコメ騒動の見えにくい損失ではないでしょうか。

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コメ価格はなぜ乱高下?稲垣公雄さんが読み解く需給ギャップと令和8年産の懸念

スタジオでは、三菱総合研究所研究理事の稲垣公雄さんが、需要と生産のギャップから価格の乱高下を解説しました。

稲垣さんによると、きっかけはコロナ禍です。需要が落ちて価格が下がり、生産者が作付けを控えた結果、令和4年産・5年産の生産量はかなり減りました。そこへ猛暑による不作と、インバウンドで戻った需要が重なります。2年間で65万トン程度の供給不足が生じたことが、令和のコメ騒動の発端だといいます。

備蓄米を60万トン近く放出しても、価格は落ち着きませんでした。騒動が広く知られたことで購買行動が変わり、2025年の需要は713万トンと想定外に膨らんだのです。3年通算では100万トンが足りない状況になりました。令和7年産がそろってようやく70万トン近い供給超過となり、価格は下がり始めたそうです。

稲垣さんが本当に懸念しているのは、その先です。下がったとはいえ、価格は2、3年前と比べればまだ高い水準にあります。問題は令和8年産で、少なくとも40万トン程度の供給超過が見込まれ、価格が下がりすぎるおそれがあります。そうなれば農家が作らなくなり、3年後あたりに再び高騰するという「振動」が大きくなりかねません。この説明を聞くと、今の値下がりを手放しで喜べない理由がよくわかります。

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鈴木農相が語る「需要に応じた生産」の真意|備蓄米判断への反省とシーソーの仕組み

NHK経済部の佐藤庸介デスクは、2つの方針の一長一短を整理しました。

  • 増産: コメ不足が解消し、消費者にはメリットがあります。一方で生産者の経営が苦しくなり、支援のための財政支出が増える可能性があります。
  • 需要に応じた生産: 財政負担を抑えられるかもしれません。一方で価格が相対的に高くなり、消費者の負担が生じる可能性があります。

番組のインタビューで、鈴木農相は価格の乱高下を「望ましい事態ではない」とし、反省を口にしました。スーパーの棚にコメが並ばない事態は二度と起こしてはならないと述べ、家庭での消費量やインバウンドも加味して需要見通しを精緻にすると語っています。機動的に備蓄米を出すべきだったのに判断できなかったことを「致命的」と認めた点は、率直な発言として印象に残りました。

大臣は、政権が変わるたびに生産者へのメッセージが異なったことを謝罪しました。そのうえで、基本はあくまで「需要に応じた生産」であり、安定性が第一だと強調しています。海外や米粉、加工用などの需要を伸ばしていく考えも示しました。

佐藤デスクは、この仕組みを「シーソー」にたとえて説明しています。日本には需要以上に主食用米を作る力があります。そこで国は、飼料用や輸出用、加工用などの非主食用米に手厚く補助金をつけ、主食用米から生産を振り向けてバランスを取ってきました。ただ、猛暑やインバウンドのように見通しにくい要素が増えています。需要見通しの精緻化は「すごく難しい方法」だという佐藤デスクの指摘に、私も同感です。

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コメ価格急落が生産性向上を直撃|4000万円のロボットコンバインとコスト1.5倍の重圧

稲垣さんは、需要が減る中で主食用米だけを作っていれば農地が減り、食料安全保障上の大きな問題になると指摘しました。加工用米や飼料用米、小麦や大豆も含めて食料全体を増産すること、そして生産性を上げて価格を下げていくことが鍵だといいます。

しかし、その生産性向上の現場で課題が浮き彫りになっています。北海道の影近さんは、40ヘクタールの農地でコメなどを作っています。コメ価格が急騰した去年、息子の代で100ヘクタールまで広げることを見据え、無人で作業できるロボットコンバインを導入しました。そのために金融機関から4000万円を借り入れたそうです。

ところが今、燃料や肥料の価格が高騰し、番組によれば生産コストは5年前の1.5倍に膨らんでいます。そこへコメ価格の急落が追い打ちをかけました。売上は去年の半分になる見通しで、年600万円のローン返済が重くのしかかります。影近さんは面積の拡大をためらい、現状維持でコストカットを考えざるを得ないと話していました。現場からは、離農者はどんどん増えるだろうという声も上がっています。

国の方針を信じて前向きに投資した人ほど苦しむ現実は、早川さんの話とも重なります。価格が安定しない限り、大規模化や機械化は絵に描いた餅になりかねないと感じました。

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コメ余りなのに輸出米がない|輸出35万トン目標と現場のズレ

需要拡大の柱とされるのが輸出です。国は2030年までにコメの輸出を年間35万トンへ拡大する目標を掲げていますが、番組によれば去年の実績はおよそ4万8000トンでした。目標を達成するには7倍以上に増やす必要があります。

ところが、9つの国と地域にコメを輸出している会社の倉庫には、コメがほとんどありませんでした。コメは作付けの時点で用途が決まります。去年の高騰を受けて主食用米に切り替える農家が相次ぎ、比較的価格の安い輸出用が減ってしまったのです。この会社は輸出量を年間200トンまで伸ばしてきましたが、今年は47トンしか確保できない見込みだといいます。代表の豊永さんは、10年近くかけて築いた販路が途絶えかねないことを悔やみ、35万トンの目標は現状ではかなり難しいと語っていました。

鈴木農相も、この点を「核心的な大事な点」と認めています。大臣によれば、主食用は40万トンほどの供給超過である一方、輸出用は4万トンほど足りないと言われており、加工用や米粉用も不足しています。大臣は、政府が前面に立って需要を開拓し、産地とつないでいくと述べました。

生産性については、1反あたりの収量を上げる政策へ舵を切る考えを示しています。ただし、大規模な農業者だけがいればよいわけではないとも強調しました。大臣は、日本のおよそ半分は中山間地域であり、そこの農業が廃れれば人が住めなくなり、食料供給力も落ちると述べています。そのうえで、中山間地域への支払いを拡充する方針を示しました。

「コメ余り」と「輸出米不足」が同時に起きているのは、量の問題ではなく用途のミスマッチです。この点は、今回の放送で最も考えさせられた部分でした。

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まとめ|コメ価格急落から考える安定供給と私たち消費者の役割

佐藤デスクは、政府が来年度から水田政策を見直し、補助金の考え方も抜本的に変えるとしている点に触れました。ただ、全体像はまだ見えず、年末に向けてしっかり見ていく必要があるといいます。

稲垣さんは、新しい水田政策でも「生産性を高める」というポイントを外さないことが最も重要だと提言しました。非主食用米の補助金を引き上げて誘導するのではなく、生産性を高めて価格を下げながら需要を作っていくべきだという考えです。もし生産できる農地が減るようなら、恐れずに新しい政策を打つべきだとも述べています。

消費者へのメッセージも印象的でした。稲垣さんは、黙っていてもコメが常にあるわけではないと私たちは気づいたはずだと語り、農業者の苦労を自覚する大切さを説きました。農業者側にも、「儲かっている」「コメ作りは楽しい」と積極的に発信してほしいと呼びかけています。

番組の最後には、去年は輸入米を使っていた弁当店が、価格の下落を受けて国産米に戻した様子が紹介されました。現場で働く人や高齢者が訪れる店だからこそ、店長は安定して供給されることが一番ありがたいと話していました。

安くなった今こそ、コメの値段の裏側に目を向けるタイミングだと私は思います。値段の上下に一喜一憂するのではなく、作り続けられる仕組みがあってこそ毎日のご飯があるのです。今回のクローズアップ現代は、そのことを改めて教えてくれる放送でした。

※ 本記事は、2026年9月14日放送のNHK「クローズアップ現代」を参照しています。

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