2026年のワールドカップで頂点を目指すサッカー日本代表。NHKクローズアップ現代は、堅い守りを誇る相手に挑むチュニジア戦をどう攻略するのかに迫りました。この記事では、森保監督が4年がかりで磨いた戦術と、過酷な暑さに勝つためのコンディション管理という両面から、日本代表の勝利への秘策をわかりやすく整理します。読み終えるころには、第2戦の見どころがくっきりと見えてくるはずです。
チュニジア戦の鍵は堅守崩し|日本代表が練り上げた勝利への秘策とは
第2戦の相手チュニジアは、アフリカ予選を10試合無失点で勝ち抜いた堅守が最大の特徴です。FIFAランキングは45位で、18位の日本よりも下とはいえ、初戦のオランダとはまったくタイプの違う「崩しにくさ」を備えた相手だと言えます。番組でも、元日本代表の中澤佑二さんが「極端に引いて、フォワードまで戻ってキーパーを入れた11人でブロックを作られると、日本は苦手としてきた」と指摘していました。
ここで思い出されるのが、前回カタール大会の1次リーグ第2戦・コスタリカ戦です。ドイツやスペインを撃破した一方で、自陣に人数をかけて守りを固めた相手を崩しきれず、0対1で敗れました。中澤さんが「コートの3分の1に相手が11人いる」と振り返ったあの試合は、まさに今回のチュニジアと重なります。つまり勝利への秘策の核心は、引いてくる相手を多彩な攻めでこじ開けられるかどうか、という一点に集約されるのです。
私が興味深いと感じたのは、オランダ戦で見せた日本の強みが、チュニジア戦ではそのまま通用しないかもしれない、という逆説です。ボール保持率40%でも決め切ったあの試合は「主導権を譲っても勝てる」形でした。けれどチュニジア相手には、日本が主導権を握る側に回ります。受け身ではなく、自分たちから崩す引き出しがあるか。そこが問われる試合になります。
森保監督の「カメレオン戦術」|日本代表の臨機応変な戦い方
その引き出しの象徴が、森保監督の言う「カメレオンのような戦い方」です。相手に合わせて戦術を変える柔軟さで、その成果が表れたのが昨年10月のブラジルとの強化試合でした。前半は引いて守り速攻を狙うも得点できず、2点をリードされた後半、日本は積極的にボールを奪いにいく「ハイプレス」へと大きく舵を切ります。ミスを誘って立て続けに得点し、3対2で歴史的な初勝利を収めました。
この戦術転換の鍵はハーフタイムにありました。出場した渡辺剛選手によれば、選手たちはそれまで試してきた戦術の中から、ブラジルに効果的なものを自分たちで話し合ったといいます。監督が一方的に指示するのではなく、共通認識を持った選手同士が現場で最適解を選ぶ。これこそ今の日本代表の成熟を示す姿です。中澤さんは、森保監督が8年もチームを率いている点を大きいと語ります。4年ごとに監督が代われば一から作り直しになりますが、長期政権だからこそ積み上げが効いているわけです。
ただ、現場判断に委ねる戦い方は諸刃の剣でもあります。意思統一が乱れれば、かつての苦い敗退の二の舞になりかねません。それでも、先発の多くが欧州の強豪リーグでしのぎを削る今の顔ぶれなら、この柔軟さは強力な武器になると私は見ています。
第2戦最大の難敵は「暑さ」|チュニジア戦・モンテレイの過酷な環境
チュニジア戦には、戦術以前の大きな壁が立ちはだかります。それが暑さです。オランダ戦を戦ったダラスの会場は屋根があって空調も完備され、気温20度・湿度64%という、サッカーをするには恵まれた環境でした。一方、チュニジア戦の舞台メキシコ・モンテレイのスタジアムには天井も空調設備もありません。現地時間の夜10時開始にもかかわらず、14日夜の試合では気温28度・湿度71%が記録されたといいます。
暑さへの警戒には、痛い記憶が下敷きになっています。2014年ブラジル大会の初戦・コートジボワール戦です。レシフェの会場は気温30度近く、湿度も80%に迫る蒸し暑さで、本田圭佑選手の先制点で前半をリードしながら、後半に運動量が激減。立て続けに失点して1対2の逆転負けを喫し、日本はこの大会で1勝もできずに1次リーグで敗退しました。敗因の一つに挙げられたのが、調整段階で涼しいキャンプ地を選んでいたことでした。だからこそ、暑さに体を慣らす「暑熱順化」が鍵になると、ナショナルチームダイレクターの山本昌邦さんは見ています。どれほど戦術を磨いても、足が止まれば机上の空論です。暑さ対策は勝利の土台そのものなのです。
4年がかりの準備|データ管理と食事が支える日本代表の勝利への秘策
では、その土台をどう築いてきたのか。代表チームが力を入れてきたのがキャンプ地の選定です。森保監督とスタッフは4年間で60か所以上を視察し、ジムや食堂まで隅々を確認してきました。注目すべきは、あえて暑さの厳しいモンテレイを調整の場に選んだ判断です。フィジカルコーチの松本良一さんは、第1戦・第3戦と違い自然環境の中で戦う第2戦は負荷が大きいため、あえてこの地を選んだと語っています。開幕直前にはモンテレイで5日間の事前合宿を行い、気温31度・湿度61%の中、あえて重ね着や長袖で練習し、汗をかきやすい体を作っていきました。
コンディション管理はデータの力にも支えられています。選手は指にウェアラブル機器を着け、就寝中に体温・睡眠の深さ・心拍数を計測。4年以上ためたデータをAIで分析すると、山本さんによれば「この選手が3日後に熱を出すかもしれない」というところまで分かるそうです。さらに、移動の多い今大会は専属シェフを増やし、移動直後でも充実した食事がとれる体制を整えました。おでんなど日本を感じられるメニューが選手の心までケアします。「秘策」と聞くと奇策を想像しがちですが、その正体は徹底した準備の積み重ねでした。地味に見える部分こそが本物だと、私は強く感じます。
中澤佑二・前田弘が語る|サッカー日本代表を支える舞台裏
スタジオでこの準備の価値を解説したのが、中澤佑二さんと前田弘さんです。中澤さんはドイツ大会と南アフリカ大会に2大会連続で出場した元日本代表のディフェンダー、前田弘さんはJFAアスレティックトレーナー総括ダイレクターとして南アフリカ大会から4大会に帯同してきた人物で、当時は中澤さんの体のケアも担当していた間柄です。
お二人が強調したのが、客観的なデータの重要性です。前田さんによれば、2010年の南アフリカ大会の頃は主観的な評価しかできませんでしたが、今は機器で測ることで選手自身が自分の疲労度に納得できるようになりました。中澤さんは「試合前になると選手はみんな『疲れてない』と言う」としつつ、数字で疲労や回復の目安が示されれば、選手も監督の助言を受け入れやすくなると語ります。また前田さんは、シェフは食事を作るだけでなく衛生管理も担い、水道水が飲めない環境でも安心できるリラックス空間を生んでいると明かしました。現場を知り尽くした二人の言葉だからこそ、裏方の進化が優勝を狙える土台になっていることが伝わってきます。
クローズアップ現代の放送概要とチュニジア戦の中継予定
番組は、2026年6月17日に放送されたNHKクローズアップ現代「目指すは頂点 サッカー日本代表 勝利への秘策」です。キャスターは桑子真帆さん、語りは中井和哉さんが担当し、ゲストとして中澤佑二さんと前田弘さんが出演しました。肝心のチュニジア戦は、2026年6月21日(日)正午からNHK BSで生中継されます。
ここで一つ、検索する方の関心に応える事実を添えておきます。日本とチュニジアのA代表通算対戦成績は、日本の5勝1敗と日本が大きく勝ち越しています。2002年の日韓ワールドカップでは1次リーグで2対0と勝利し、ワールドカップでの記念すべき初の勝ち越し勝利を挙げた相手でもあります。唯一の黒星は2022年のキリンカップ決勝の0対3でした。もっとも、過去の相性がそのまま通用しないのがワールドカップの一発勝負です。中澤さんも「とにかく勝ち点3、あとは複数得点」と、現実的かつ強気な期待を口にしていました。
X(旧Twitter)の反応|「勝利への秘策」への視聴者の声と考察
放送前後のSNSでは、いくつかの声の傾向が見られます。最も多いのが、モンテレイの暑さと湿度への不安です。2014年の悪夢を覚えているファンほど、コンディション面を心配しています。実際、事前キャンプでは芝の状態悪化により練習場の変更を迫られるアクシデントも報じられ、不安に拍車をかけました。次に多いのが、堅守のチュニジアを本当に崩せるのかという警戒。さらに、久保建英選手ら主力のコンディションや、中盤の構成を案じる声も目立ちます。
これらの声を、私はこう整理しています。心配ごとは「準備で潰せるもの」と「当日の運に左右されるもの」に分けられます。暑さとコンディションは、まさに4年がかりの準備で相当に潰してきた領域です。残る最大の変数は、引いた相手を崩す再現性。そこが当日の一番の見どころになります。森保監督は「想定外のことが起こることも、想定内にしていけるように」と語っていました。アクシデントに慌てない準備ができているか。視聴者の不安そのものが、実は番組の答えと表裏一体になっているのです。
まとめ
クローズアップ現代が描いた日本代表の勝利への秘策は、大きく二つでした。一つは、堅守を崩すための多彩な攻め、すなわちカメレオンのような柔軟な戦術。もう一つは、過酷な暑さに勝つための、4年がかりのコンディション管理です。奇策ではなく、地道な準備の総力戦。それが頂点を目指すチームの正体でした。チュニジア戦は6月21日(日)正午からNHK BSで生中継されます。積み上げてきたものを信じ、日本代表が第2戦でどんな戦いを見せてくれるのか、見届けたいと思います。
※ 本記事は、2026年6月17日放送のNHK「クローズアップ現代」を参照しています。




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