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【クローズアップ現代】キャラクター海外展開の壁とは?「3兆円市場」の課題と可能性

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「かわいいだけじゃ、もう足りない」――今、大人をも夢中にするキャラクターが続々と登場し、国内市場は3兆円規模にまで拡大しています。2026年4月8日放送のNHK『クローズアップ現代』では、SNS発キャラクターの人気の秘密から、海外展開における日本の構造的な課題までが特集されました。この記事では、番組内容をもとに、キャラクタービジネスの現状と今後の可能性をわかりやすく整理してお届けします。


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大人がハマるキャラクター市場が3兆円規模に拡大した理由

近年、キャラクターグッズを持ち歩いたり、推し活を楽しんだりする大人が急増しています。番組冒頭では俳優の大和田伸也さん(78歳)がぬいぐるみを「人生を楽しむ仲間、家族」と語る姿が紹介されました。かつては「いい大人がぬいぐるみなんて」という空気もあったはずですが、今やそうした感覚は大きく変わっています。

ある調査によれば、多くの世代で半分以上の人が「好きなキャラクターがいる」と回答しているそうです。キャラクターグッズ店「キディランド」の取締役・岸本天さんも、年齢層が幅広く、男性客の来店も増えていることを特徴として挙げていました。

こうした動きの背景にあるのが、コロナ禍のロックダウン後に加速した「つながりの喪失感」です。番組に出演したエンタメ社会学者・中山淳雄さんは、会社に行けなくなり人との繋がりが弱くなった時期に、寄り添ってくれる存在としてキャラクターへの需要がガーッと上がったと指摘しています。結果として、キャラクター関連のIP(知的財産)ビジネスを含む国内市場は3兆円近くにまで成長しました。

個人的には、この流れはコロナが終わったからといって元に戻るものではないと思います。一度キャラクターに心の拠り所を見出した人は、その後もその関係を大切にし続けるからです。市場の拡大は一時的なブームではなく、生活文化の変化として定着しつつあるのではないでしょうか。


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ちいかわ・おぱんちゅうさぎ・いしよわちゃん――SNS発キャラクターの共感力

今のキャラクター人気の中心にいるのが、SNSから生まれたキャラクターたちです。番組で取り上げられた代表格は、「ちいかわ」「おぱんちゅうさぎ」、そして「いしよわちゃん」の3つでした。

共通しているのは、「かわいい」だけでは終わらないという点です。仕事に追われたり、努力が報われなかったり、周囲の評価が怖かったり――現実社会のようなつらさを抱えた世界観が、大人たちの「まるで自分みたい」という深い共感を呼んでいます。

番組では、「いしよわちゃん」の制作の裏側にも密着していました。いしよわちゃんは創業94年のキャラクター企業・サンエックスのキャラクターで、「会社員」という設定が大きな特徴です。新人時代に大きな失敗をしたり、仕事が終わらなくても「明日の自分を信じて一旦帰る」姿が、働く大人の共感を集めています。

作者は、SNSのトレンドワードをリアルタイムでチェックし、今この瞬間いしよわちゃんならどんな行動をしているかを想像してイラストを描いているそうです。三連休前の金曜日にトレンドの「あと半日」というワードに合わせてイラストを投稿し、わずか10分で仕上げた作品にすぐ共感コメントが集まった様子が印象的でした。

また、システムエンジニアの栢本学さん(43歳)は、「ぬいぐるみは何も言わない代わりに、ただ黙って受け止めてくれる」と語り、仕事のストレスや孤独感をキャラクターが埋めてくれていると話していました。哲学者の岩崎大さんは、「自分の弱さを抱え込まないほうがいい」ということをキャラクターを通じて学べるのではないかと分析しています。

ここに、今のキャラクター人気の本質があると感じます。見た目のかわいさだけなら飽きてしまいますが、「自分の気持ちをわかってくれる存在」は、時間が経つほど愛着が深まっていくものです。


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中山淳雄が語るキャラクター人気の背景と「サラリーマン川柳」的共感

番組に出演したエンタメ社会学者・中山淳雄さんの解説は、キャラクター人気の変遷を理解する上でとても示唆に富んでいました。

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エンタメ社会学者の中山淳雄氏                             (引用:「日本経済新聞」より)

中山さんは「ちいかわ」の人気を「サラリーマン川柳」に例えています。主人公が「草むしり検定5級」の試験に何度も落ちるエピソードに触れ、自身も中国語5級検定になかなか受からない経験と重ね合わせて、「すごく気持ちがわかる」と共感を語っていました。悲しい気持ちやつらさに同調してくれる存在として、キャラクターがこれだけ必要とされてきたのだと説明しています。

さらに興味深かったのは、キャラクターの人気傾向がメディアの変化と連動しているという指摘です。中山さんの整理によると、以下のような流れがあります。

  • 「かわいい」の時代:百貨店やファンシーショップが主なメディアだった、サンリオに代表される時期
  • 「癒やし」の時代:雑誌ベースで、少しカジュアルで軽いテイストのキャラクターが増えた時期
  • 「切なさ」の時代:SNSやガチャ、UFOキャッチャーが主なメディアとなった現在

そして今後10年を見据えると、イマーシブシアターやVRなど新しいメディアが発達した時に、そこからまた新しい「かわいい」が生まれてくるだろうと予測していました。

この分析は個人的にもとても納得感があります。キャラクター文化の変遷は、その時代の人々がどこで情報を受け取り、何に心を動かされるかの映し鏡なのだと改めて感じました。


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POP MART(ラブブ)に学ぶ知的財産ビジネスの成功モデル

番組では、世界のキャラクター市場で急成長を遂げている中国企業・POP MARTのビジネスモデルが詳しく紹介されました。

POP MARTは当時23歳だった実業家・王寧(ワン・ニン)氏が北京で雑貨店を営む中で、日本生まれのキャラクター商品を扱った経験がきっかけとなり立ち上げた企業です。ギザギザの歯が特徴的な「ラブブ」は北欧神話からヒントを得たキャラクターで、日本でも連日多くの客が店舗に詰めかけていました。

注目すべきはそのビジネスモデルです。一般的な企業はIPを他者にライセンスし、使用料を受け取る形を取りますが、POP MARTはIP開発から生産・販売までほぼすべてを自社で管理しています。この垂直統合型モデルにより、営業利益率は45.5%という高い水準を実現。2025年の全世界での売上は前年比の約3倍にあたるおよそ8,630億円に達しました。店舗数も世界20か国で632店舗にまで拡大しています。

販売面でも独自の手法が光ります。箱を開けるまでどのデザインが出るかわからない「ブラインドボックス」方式で購買意欲を刺激し、店舗デザインではアート性を重視してキャラクターの世界に浸れる空間を演出しています。

王寧CEOは「優れたキャラクターを育てれば、ビジネスに浮き沈みがあっても長く続けられる。ハローキティは50年、ディズニーは100年以上続いている」と語り、長期的な視点でのIP経営の重要性を強調していました。


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日本のキャラクター海外展開で収益が少ない構造的な課題

ここからが番組の核心とも言える部分です。日本のキャラクターは世界で大人気なのに、なぜビジネスとしての収益は十分でないのか――この問いに番組は正面から切り込んでいました。

2024年、キャラクター関連商品が売上の大半を占める日本のアニメの海外総売上は2兆円以上ありました。しかし、そのうち実際に日本へ還元された収入は、わずか5.5%にとどまっています。

原因は、日本企業が海外展開の際にIPの開発力では世界的な存在感を示す一方で、生産・販売・仲介といった「下流」の部分を海外企業に委ねているからです。中山淳雄さんの解説によると、この構造はもともと不況に強いモデルでした。ライセンスアウトすれば在庫リスクを抱えずに済み、利益率もある程度保たれるためです。

しかし、この5〜6年でキャラクター人気が海外で急上昇し、市場が大きく拡大した結果、「好景気なのにその分の取り分が少ない」という問題が浮き彫りになってきたのです。

中山さんはPOP MARTとサンリオを比較して、売上規模で約4倍、店舗数でも4倍以上(632店舗 対 約150店舗)、従業員数に至っては約8倍(約12,000人 対 約1,500人)の差があることを紹介し、「やれていることがだいぶ違ってしまっている」と指摘しました。

この構造的課題は、日本のコンテンツ産業全体に共通する問題だと思います。「良いものを作る力」は世界屈指なのに、「それを売って利益を回収する力」が追いついていない。ここに大きな伸びしろがあると同時に、早急な対策が求められています。


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おぱんちゅうさぎをインドへ――伊藤忠の海外展開戦略に密着

番組では、この課題を乗り越える具体的な取り組みとして、伊藤忠商事によるインド市場への進出が紹介されました。

売り出そうとしているのは、SNS発の人気キャラクター「おぱんちゅうさぎ」。いつもかわいそうな状況に置かれている姿が共感を呼び、すでに香港や台湾で大きな話題になっています。

しかし、人口14億人を抱えるインドには大きな壁がありました。インドでは輸入キャラクター商品に高い関税が課されるため、正規品がほとんど流通しておらず、街中には公式ライセンスのない海賊版が溢れている状況です。番組では、商社員がポムポムプリンの明らかな偽物を見つけて驚く場面も映されていました。

そこで伊藤忠が取り組んでいるのが、関税を回避するための現地生産体制の構築です。繊細な色彩が求められるアニメ映画のオフィシャルTシャツを現地で製造するトライアルでは、色のグラデーションの再現に何度も試行錯誤を重ね、ようやくクオリティ基準を満たせるようになったそうです。

販売面ではインド最大の財閥グループの小売部門と連携。伊藤忠がカメラや自動車の取引で築いた長年の信頼関係が、今回のキャラクター商談にも活かされたといいます。

ムンバイの大学生サラ・パールカルさん(20歳)が「可愛いだけじゃなくて、人生の切なさを感じる」とおぱんちゅうさぎへの思いを語る姿は、日本のキャラクターが国境を越えて共感を生む力を持っていることを象徴していました。


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コンテンツ産業20兆円目標と「オールジャパン」で挑む今後の展望

日本政府はキャラクターを含むコンテンツ産業を経済の屋台骨にする方針を打ち出しており、海外売上高を現在の6兆円から2033年までに20兆円に引き上げ、自動車と並ぶ基幹産業に育てるという目標を掲げています。

中山淳雄さんによると、この3年ほどで動きは急加速しているそうです。総合商社は大手5社すべてがエンタメの事業部を設立し、さらに商社だけでなく小売、不動産、鉄道、そして金融の企業までもが、海外でリスクを取って出資し、一緒にコンテンツを売り込む動きを見せているとのことです。

これは「オールジャパン」で攻めようという機運の表れであり、IPを持つ企業だけではなく、その周辺産業が総合力を発揮して海外市場に挑む新しい構図が生まれつつあります。

伊藤忠のインドでの取り組みは、まさにその好例と言えるでしょう。キャラクターを作る力と、世界に売る力を組み合わせることで、これまで海外に流出していた利益を日本に取り戻せる可能性が見えてきます。

今後はVRやイマーシブ体験など新たなメディアの発達とともに、キャラクター文化そのものがさらに変化していくことも予想されます。日本が「生み出す力」だけでなく「届ける力」を鍛えることができれば、20兆円という目標も決して夢物語ではないはずです。


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まとめ

2026年4月8日放送のNHK『クローズアップ現代』では、大人がハマるキャラクターの人気の秘密から、海外展開におけるビジネス課題までが幅広く取り上げられました。

ポイントを整理すると、SNS発キャラクターの「かわいい」より「つらい・切ない」世界観が大人の共感を呼び、国内市場は3兆円規模に成長していること。一方で海外での売上の多くが日本に還元されない構造的課題があること。そしてPOP MARTのような垂直統合型モデルや、伊藤忠によるインド進出のように、新たな挑戦が始まっていることが、番組の大きなメッセージでした。

日本のキャラクターが世界中で愛されているのは間違いありません。あとは、その価値をきちんとビジネスとして回収できる仕組みを、官民一体で構築していけるかどうか。今後の動向にぜひ注目していきたいところです。

※ 本記事は、2026年4月8日放送のNHK『クローズアップ現代』を参照しています。

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