スポンサーリンク
社会・暮らしの問題

【クローズアップ現代】公務員不足で公共サービスが「限界」の実態

【クローズアップ現代】公務員不足で公共サービスが「限界」の実態 koumuin-shortage-public-servic
スポンサーリンク

道路の維持や水道管の管理、保健師の訪問——。当たり前だと思っていた公共サービスが、公務員不足によって全国で揺らぎ始めています。この記事では、2026年7月8日放送のクローズアップ現代「道路も水道も!? 公務員不足で公共サービスがピンチ」をもとに、現場で今何が起きているのか、なぜ人が足りないのか、そしてどう守っていくのかを整理します。読み終えるころには、「あなたの町は大丈夫?」という問いに、自分ごととして向き合えるはずです。

スポンサーリンク

公務員不足で公共サービスが「限界」に―全国で進む深刻な実態

「公務員が足りない」と聞いても、どこか他人事に感じる方は多いかもしれません。ところが番組が示したのは、地方だけの話ではないという事実でした。この20年間の増減を地図で見ると、東京など都市部を含めた全国のおよそ8割の自治体で公務員が減少しています。過去30年では、ピーク時に比べておよそ50万人も減りました。

象徴的なのが、先月、秋田県が一部の道路について廃止を含めた検討を発表したことです。維持管理のコストに加え、今後の公務員不足を見据えた判断でした。近隣の住民から「無くしてしまうという考えが信じられない」という声が上がったのも当然でしょう。私たちが「あって当たり前」と思っている道路さえ、支える人がいなければ維持できない——。その現実が、静かに、しかし確実に近づいています。

特に深刻なのは、技術職や専門職を中心とした人手不足です。専門知識を持つ人がいなければ、公共サービスの質そのものが保てなくなります。この点が、単なる「人数の問題」では済まされない理由だと私は感じます。

スポンサーリンク

水道・道路・保健師…暮らしの現場で今起きていること

具体的な現場を見ると、危機のリアルさが伝わってきます。

福井県敦賀市の水道部では、職員がこの10年で47人から34人へと約3割減りました。人口6万1000人の暮らしを支える上下水道は、総延長1000キロメートル。かつては複数チームで行っていた深夜の見回りも、今はわずか2人で対応しています。高度経済成長期に整備された水道管の老朽化で、水漏れは年間200件を超え、道路の補修や消火栓の管理まで担う——。まさに手が回らない状況です。それでも技術職3名の募集に応募はたった1名。民間の賃上げに遅れをとっていることが、採用難に拍車をかけています。

高知県中土佐町では、保健師が欠員状態に陥っています。なんとか確保していた7人のうち、この春に1人が退職、もう1人が休職し、県からの応援1人でしのいでいる状態です。訪問が滞り、1年ぶりに訪れた一人暮らしの男性宅では、床が虫に食われ住環境が悪化していました。認知症対策、災害対策、自殺対策、生活困窮者支援——保健師が担う業務は増え続け、ベテランでさえ心身の疲労から退職を考えるほど追い込まれています。

水道も、福祉も、私たちの命と暮らしに直結する分野です。そこで「人がいない」という言葉が、こんなにも重く響くとは、多くの視聴者が初めて実感したのではないでしょうか。

スポンサーリンク

なぜ公務員は減り続けるのか?採用難と若手離職の背景

では、なぜここまで公務員が減ってしまったのでしょうか。番組に出演した早稲田大学の稲継裕昭教授は、その構造をわかりやすく解説しています。

崩れる『公務員は安定』という幻想

崩れる『公務員は安定』という幻想

かつて県庁レベルでも50倍あった採用試験の倍率は、今では2〜3倍が当たり前になりました。さらに若手の離職も後を絶ちません。背景には給与の問題があります。民間企業が進める賃上げに公務員給与が追いつかず、「安定していて人気の職業」というかつてのイメージは大きく揺らいでいるのです。

稲継教授が指摘するのは、給料だけでなく「公務の仕事そのものに魅力を感じにくくなり、働きがいを失う人が増えている」という点です。安定を求めて入っても、増え続ける業務に疲弊し、辞めていく——。この悪循環を断ち切らない限り、人手不足は解消しません。個人的には、待遇改善と同時に「働きがい」をどう取り戻すかが、これからの最大の論点になると感じます。

スポンサーリンク

「自動販売機モデル」が示す落とし穴(稲継裕昭教授の指摘)

ここで重要なのが、「人口も減っているのだから、公共サービスへの影響も小さいのでは?」という誤解です。実はその逆で、移住定住対策、生活困窮者・孤立対策、外国人との共生施策など、自治体の業務はむしろ増え続けています。

早稲田大学の稲継裕昭教授

早稲田大学の稲継裕昭教授(引用:「早稲田大学」HPより)

その理由を稲継教授は、日本の法体系上、地方自治体には業務の上限がなく、新しいサービスをいくらでも増やせてしまう構造にあると説明します。加えて日本の公務員数は、勤労者に占める割合で見るとOECD平均の約18%に対し、日本は約5%と加盟国の中でも最低水準です。少ない人数で膨らむ業務を抱え、「もう限界に来ている」というのが現場の実感なのです。

ここで教授が示したのが「自動販売機モデル」という比喩です。私たちは税金という「コイン」を入れれば、公共サービスが黙って出てくると思い込んでいる。中で何が起きているかは見えないまま、サービスが出てこなければ「何をやっているんだ」と役所を叩く——。この構図が、住民と行政の距離を広げてきたと指摘します。

島根県邑南町では、業務の逼迫から事務ミスが相次ぎ、県の補助金申請を忘れて約300万円を受け取れなくなる事態まで起きました。人手を増やそうと公民館常駐職員の配置転換を試みたものの、住民の強い反対で断念——。「業務を減らそうにも減らせない」という、多くの自治体が抱えるジレンマが浮き彫りになりました。

スポンサーリンク

美咲町の「賢く収縮」に学ぶ、公共サービスを守る新しい形

では、私たちに打つ手はないのでしょうか。番組が希望として紹介したのが、岡山県美咲町の取り組みです。

住民と創る、新しい公共サービスの形

住民と創る、新しい公共サービスの形

美咲町は「将来人が減る」ことを前提に、公共施設をあえて削減する道を選びました。約280棟ある公共施設のうち83棟を取り壊し、職員およそ20人分の業務削減を実現。25年後には4500人の人口減少が想定されるなか、青野高陽町長は「来る未来がわかっているのに対応しないのは、災害が来るとわかっていて動かないのと同じ」と語ります。この「賢く収縮する(スマート・シュリンク)」という発想は、縮む現実から目をそらさない潔さがあります。

もう一つの柱が、住民が主体となって地域を支える「小規模多機能自治」です。当初は「押し付けだ」と反発した住民も、地域の課題を地図に落とし込むことで、耕作放棄地や高齢化の実態を「自分ごと」として捉え始めました。今では安全講習を受けた住民が草刈りの講師となり、町は年間30万円の予算で活動を後押ししています。稲継教授はこれを「自動販売機の中を見せた」好例だと評価します。仕組みが見えたからこそ、住民が納得して担い手になれたのです。

こうした住民組織は全国に約8500生まれ、国も交付税を措置して支援しています。行政の肩代わりというより、もともと住民が担っていた営みを取り戻す動き——そう捉えると、前向きな未来像が見えてきます。

スポンサーリンク

まとめ

公務員不足で公共サービスがピンチを迎えている今、私たちに問われているのは「行政任せをやめる」という意識の転換です。番組が伝えたのは、住民の安全・安心に関わる不可欠な部分を担う公務員、とりわけ若手職員が働きがいを持てる環境を、私たち自身も一緒につくっていく必要があるということでした。自分たちで担えるところは担い、専門職には専門職にしかできない仕事に集中してもらう。美咲町の「賢く収縮」と「自動販売機の中を見せる」姿勢は、そのための現実的なヒントを示してくれています。まずは「あなたの町は大丈夫?」と、我が事として考えることから始めたいですね。

※ 本記事は、2026年7月8日放送のNHK「クローズアップ現代」を参照しています。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
シェアする
スポンサーリンク

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました