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【カンブリア宮殿】東洋製罐「ダイヤカット缶」失敗が生んだ氷結の秘密

【カンブリア宮殿】東洋製罐「ダイヤカット缶」失敗が生んだ氷結の秘密 cambria-toyo-seikan-diamond-can
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缶チューハイ「氷結」を開けたとき、缶の表面に浮き出るあの凹凸。あれが何なのか、気になったことはありませんか。2026年8月13日放送のカンブリア宮殿は、あの缶を生んだ東洋製罐グループホールディングスに密着しました。ダイヤカット缶に隠された機能、そして一度は廃棄されかけた開発秘話まで、放送内容をもとに詳しくご紹介します。読み終える頃には、スーパーの棚がまったく違って見えるはずです。

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東洋製罐とは?缶40%・ペットボトル30%を握る売上9600億円の巨大黒子企業

東洋製罐グループホールディングスは、飲料の缶やペットボトル、マヨネーズの容器、レトルト食品のパウチなどを手がける総合容器メーカーです。番組によれば、缶のシェアは40%、ペットボトルは30%で、いずれも国内トップ。売上高は過去最高の9600億円を突破しました。実際、公表されている2026年3月期の売上高は9632億円で、前期の9225億円から大きく伸びています。

驚くのは、その存在の見えにくさです。番組の街頭取材では、氷結の缶に印字された小さなマークに気づいている人はほとんどいませんでした。「ビール会社が勝手に作っていると思っていた」という声もあったほどです。

しかし、店内でこのマークを探しながら一周すると、買い物カゴはあっという間にいっぱいになります。飲料メーカーが違っても、容器は同じ会社が作っている。ここに、この企業が「巨大黒子企業」と呼ばれる理由があります。

CAN

CANのマーク                                    (引用:「カンブリア宮殿」より)

ちなみに缶に印字された「CAN」のマークについて、会長の大塚一男さんはこう語っていました。あれは缶という意味だけでなく、「私たちは何でもできる」というメッセージを込めているのだそうです。

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ダイヤカット缶はなぜ凹凸が出る?氷結の缶に隠された「強度3倍」の理由

氷結のトレードマークである、あの三角形の凹凸。正式名称を「ダイヤカット缶」といいます。缶を開けると三角形の模様がくっきりと浮き出るあの感触は、一度体験すると忘れられません。

ダイヤカット缶

氷結のトレードマーク「ダイヤカット缶」                                    (引用:「カンブリア宮殿」より)

ここで多くの方が誤解しているのが、これをデザインだと思っている点です。番組で明かされたのは、その正反対の事実でした。ダイヤカット缶の目的は、装飾ではなく強度なのです。

放送では、同じ紙を丸めた筒と、特殊な折り目をつけて丸めた筒とで、強度を比較する実験が行われました。結果は歴然。三角形の辺が柱の役割を果たすことで、強度がおよそ3倍になるといいます。

ここに、この企業の稼ぐ仕組みが見えてきます。強度が上がれば、缶の板厚を薄くできる。板厚を薄くできれば、材料費が下がる。つまりダイヤカット缶は、見た目の面白さと原価低減を同時に実現した技術だったわけです。中身のメーカーにとっては、コストが下がり、しかも商品が目立つ。採用されない理由がありません。

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捨てる直前の大逆転…大塚一男会長が語るダイヤカット缶の開発秘話

このダイヤカット缶を生み出したのが、会長の大塚一男さんです。1959年に秋田県で生まれ、慶應義塾大学の工学部で学んだあと、1983年に東洋製罐へ入社しました。もともとは鉄道の車両を作りたかったそうですが、指導教官に勧められて工場を見学し、水ようかんの缶や乾電池の外装缶といった身近な製品を作っていることに面白さを感じたといいます。

大塚一男

東洋製罐GHDの大塚一男会長                                         (引用:「カンブリア宮殿」より)

入社後はすぐに頭角を現し、ビール会社の要望を受けてスクリュー型のキャップを開発。プルタブが主流だった缶のフタに革命を起こしました。

そして生まれたのが、東洋製罐史上最大のヒットとなるダイヤカット缶です。出発点は、なんと折り紙でした。特殊な折り目をつけて丸めると、ダイヤカットの形が現れる。そこから加工技術の確立までに、番組によれば5年の歳月がかかったといいます。さらに実際に世に出るまでには、通算で11年を要したそうです。

しかも、その道のりは失敗の連続でした。まずスチール製の缶コーヒー用として商品化されたものの、すぐに販売終了。次にアルミに変えてビール用の缶を作ってみると、今度は炭酸の圧力でダイヤカットの模様が消えてしまったのです。大塚さんは「これはもうダイヤカットはだめだ」と判断し、その缶を倉庫に放置しました。

転機は、思わぬ形で訪れます。年末の「いらないものは捨てろ」という号令で、廃棄処分することになった缶。中身を出そうとフタを開けた瞬間、消えていたはずのダイヤが再び浮き出たのです。ガスが抜けたことで、模様が戻った。「あれ?これは面白い」。この一瞬が、すべてを変えました。

これをビール会社に提案したところ、キリンが2001年発売の氷結で採用。氷結はキリンビールの公表で累計約150億本(350ml換算、2025年12月末時点)を売り上げるロングセラーとなり、2026年で発売25周年を迎えています。失敗と判断されたものを捨てる、その最後の瞬間に立ち会っていたからこそ気づけた。技術者が現場を離れなかったことの価値が、ここに凝縮されています。

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サトウのごはん・じゃがりこ・キユーピーハーフ…東洋製罐が支えたヒット商品

この会社の技術は、氷結だけにとどまりません。

サトウのごはん」は、保存料を使っていないのに炊きたての味を1年間保てます。それを可能にしているのが容器です。断面は三層構造になっており、真ん中の層に脱酸素剤が挟み込まれています。これが容器内の酸素を吸収し、ごはんの酸化とカビ菌の繁殖を防ぐという、世界初の技術です。

しかもサトウ食品は、この容器を仕入れているのではありません。東洋製罐グループが作った三層構造のシートと、成形する機械そのものを購入し、工場内で容器を作っています。作りたての容器のほうが酸素を吸収する効果が高いためです。工場長の狩野さんは「東洋製罐さんの力添えがあって初めて成立する」と語っていました。材料と機械をセットで供給する。これも見逃せない収益構造です。

じゃがりこ」のカップは、内側にアルミが貼られています。水分を遮断することで、あのカリカリの食感を守っているのです。カロリーが半分の「キユーピーハーフ」も、油が少ないぶん酸素に弱いという課題がありました。そこで機能の異なるフィルムを数枚重ね、酸素を吸収するフィルムを組み込んだ専用ボトルを開発。10ヶ月経っても美味しさをキープできるようになりました。

ペットボトルの形にも、それぞれ意味があります。底が角ばっているのは炭酸飲料用で、高い内圧に耐えるため。胴のパネル部分の形状は、熱による変形を防ぐため。大塚さんいわく「ほとんどは機能を持たせている」のだそうです。

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1917年創業「小成に安んずるは退歩である」世界初・日本初を連発した歴史

東洋製罐は1917年、大阪市で高碕達之助さんが創立しました。職人がブリキをハンダ付けして缶を作っていた時代に、機械による自動での大量生産を始めた。この時点で、すでに黒子企業の原型ができていたといえます。

高碕達之介

東洋製罐 創業者の高碕達之介氏                            (引用:「カンブリア宮殿」より)

高碕さんが遺した信念が「小成に安んずるは、退歩である」。小さな成功に満足するのは後退だ、という意味です。大塚さんはこの言葉の根本を、「世の中は常に進歩する。だから生活に密着した容器も、常に進歩しないといけない」と説明していました。

この精神が、数々の「世界初・日本初」を生んでいます。1963年には開栓確認機能付きキャップ。開けるとカチッと音がする、いたずら防止の仕組みです。1969年にはレトルト用のアルミパウチを世界で初めて生産し、ボンカレーが採用。光と酸素を遮断することで、2ヶ月だった賞味期限を2年に延ばしました。1972年にはマヨネーズ用ボトルを開発しています。

1990年に日本で初めて採用したステイオンタブ付きのフタも印象的でした。それまでのプルタブは開けると外れてしまい、浜辺でケガをしたり野鳥が誤飲したりする問題があった。その解決策だったのです。今では当たり前になっているこの形が、実は環境と安全への回答だったと知ると、見え方が変わります。

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勤務時間の3割は自由研究?グループ93社が生み出すイノベーションの仕掛け

東洋製罐グループは、プラスチック、金属、紙、ガラスと様々な素材を扱う93社で構成され、従業員は約1万9000人にのぼります。プラスチックだけでも16社。健康診断用の検査容器や、車内モニターのケースまで手がけているそうです。

さらに鋼板と機械設備の会社まで抱えている点が独特です。大塚さんは「世の中にない製品を作ろうとすると、機械がない。自分で作らなきゃいけない」と語っていました。素材から機械、容器までを一気通貫で持つ。だから他社が真似できないものを作れるわけです。

そして番組で最も驚かされたのが、勤務時間の3割までは自分の好きな研究に没頭してよいという制度でした。しかも失敗してもお咎めなし。猫好きの研究員が肉球の凹凸を再現した紙コップ「ニャンコップ」を試作し、商品化を進めている。缶コーヒーの缶を40年手がけてきた主席研究員は、棚で正面を向くようにと四角い缶を開発したものの、自販機に入らないという理由で特許だけ出して終わったと笑っていました。

この土壌から、捨てた後に同じ製品へ再生できる水平リサイクル対応のアルミカップも生まれています。飲み口の「カール」の開発だけで半年。技術開発統括室の小南さんが手がけた、水なら飛距離5メートルという一直線に噴射するスプレー缶も、ドローンに搭載して屋根の補修や鳥よけに使われています。

大塚さん自身も現役の技術者でした。ペットボトルを膨らませる機械で缶を膨らませるという発想から、鏡餅のような独特の形状を生み出し、すでに特許まで取得済み。「中身は考えていない、中身は後」と笑う姿が印象的でした。

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細胞培養バッグ「ウェルバッグ」容器メーカーが医療分野へ進出した理由

いま東洋製罐グループが力を入れているのが、包む技術の異分野展開です。その代表が、医療分野で開発した細胞培養専用のバッグ「ウェルバッグ」でした。

再生医療のスタートアップでは、糖尿病の治療に必要なインスリンを出す細胞を培養し、患者に移植する研究が進んでいます。しかし従来のやり方では一度に作れる量が少なく、同じ作業を何度も繰り返す必要がありました。

そこで登場したのがこのバッグです。特徴は内側にある3万個以上の小さな半球状の窪み。細胞を入れて固定すると、細胞が窪みに集まって一つの塊になっていきます。番組によれば、これによって以前と比べて300倍の量を一気に作れるようになったといいます。研究者の牧田さんは「未来に向けての大きな一歩」と表現していました。

注目すべきは、この技術の出どころです。3万個の窪みを均一に作れるのは、カップ容器の成形技術の応用なのだそうです。熱したプラスチックの板を型に押し込み、空気を抜いて真空状態にすることで精密に形を作る。ゼリーのカップを作る技術が、iPS細胞の研究を支えている。まったく無関係に見える分野が、一本の技術で繋がっていました。

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まとめ

今回のカンブリア宮殿から見えてきたのは、東洋製罐という会社の一貫した姿勢でした。

ダイヤカット缶は、廃棄処分の直前に生まれ変わりました。四角い缶は特許だけで終わりました。この両方を許容する土壌があるからこそ、世界初が生まれ続けているのだと感じます。

大塚さんの言葉で最も印象に残ったのが「少数の便利は、みんなの便利」という考え方です。マッチは両手がないと使えないが、ライターなら片手で使える。ハンディキャップのある人が便利になることは、結局すべての人が便利になることだ、と。

そして「究極の容器とは」という問いへの答えは、「消えてなくなること」。使い終われば容器はゴミになる。だからこそ地球に還ることがサステナブルの究極ではないか、というものでした。自社製品の存在を消すことを理想に掲げる企業。黒子であり続ける覚悟が、ここにも表れていたように思います。

※ 本記事は、2026年8月13日放送(テレビ東京系)の人気番組「カンブリア宮殿」を参照しています。
※ 東洋製罐の公式サイトはこちら

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