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【LBS】内陸で漁港?独自進化するローカルチェーン繁盛の秘密

【LBS】内陸で漁港?独自進化するローカルチェーン繁盛の秘密 lbs-local-chain
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「近くの大手チェーンとどこも同じ品揃えで、わざわざ足を運びたくなる店が少ない」——そう感じたことはありませんか。2026年6月27日放送のローカルビジネスサテライト(LBS)は、テーマ「独自の進化!ローカルチェーン」を通じて、その答えを見せてくれました。この記事を読めば、地方発のチェーン店が大手に負けずに繁盛している“仕掛け”が具体的にわかり、自分の街の名店を見る目が変わるはずです。

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LBS(ローカルビジネスサテライト)2026年6月27日放送「独自の進化!ローカルチェーン」とは

LBS(ローカルビジネスサテライト)は、日本経済新聞社とテレビ東京系列(TXN系列)5局がタッグを組み、地域の新しいビジネスや知られざる技術にスポットを当てる企画です。これまでに300社以上を取材し、過去回はアーカイブ配信で無料で視聴できます。司会はテレビ東京アナウンサーの佐々木明子さん、解説は消費経済アナリストの渡辺広明さんです。

渡部広明

消費経済アナリストの渡部広明さん(インスタより)

渡辺さんはコンビニと小売の現場で22年間働いた経歴の持ち主で、最初の3年半は店長を、その後には文具のバイヤーも経験しています。だからこそ、今回登場する店舗への視点が机上の評論ではなく、現場感覚に裏打ちされている点が見どころでした。今回取り上げられたのは、愛知・岡山・福岡・兵庫・北海道の5つのローカルチェーン。それぞれが「その店でしか手に入らない理由」を磨き上げ、人を引き寄せていました。

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綿半フレッシュマーケット「一宮漁港」|海なし立地の弱みを物流の強みに変えた逆転戦略

最初に登場したのは、愛知県一宮市にある綿半フレッシュマーケット平島店。またの名を「一宮漁港」です。店内には生けすが3つ並び、生きたヒラメやカニ、地元でもめったに見ないメヌケまで泳いでいて、まるで漁師町の市場のようでした。

注目すべきは、ここが海から遠い内陸部だという点です。運営する綿半グループは長野県発祥の企業で、海がないからこそ「美味しい魚を食べたい」という思いが強く、全店に生けすを完備して鮮魚の品揃えを充実させてきました。午前1時半にトラックが出発し、その日に水揚げされた魚を水槽に入れて生きたまま運ぶ徹底ぶりで、現在は黒部漁港(富山)、沼津港(静岡)、紀伊長島港(三重)、一色漁港(愛知)、長崎港(長崎)の全国5か所から直接仕入れています。

これを可能にしているのが立地です。一宮は高速道路が東西南北に伸びる交通の要衝で、海から遠くても新鮮な魚が届きやすいのです。この地の利を生かし「一宮漁港」を名乗ったところ、売り上げは2年で1.2倍に成長しました。

私が一番うなったのは、「海が遠い」という最大の弱みを、最大の武器に反転させた発想です。渡辺さんも「最大の弱みを最大の武器にする、これは素晴らしい」と評していましたが、ここには再現性のある教訓があります。立地や環境は簡単には変えられません。だからこそ、変えられない条件を欠点として嘆くのではなく、別の角度から強みに読み替える視点が効くのです。魚が獲れない土地だからこそ、子どもにとっては水族館のようなテーマパークになる——この“逆張り”こそ、ローカルチェーンが大手と戦う王道だと感じました。

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うさぎや(クラブン運営)|文具で「岡山愛」を発信する地元推しの専門店

岡山県倉敷市を中心に6店舗を展開する大型文具専門店「うさぎや」は、数万点の品揃えを誇ります。面白いのは、ただのボールペンではなく、倉敷うどんぶっかけや大手まんぢゅう、オハヨー牛乳など、岡山県民にはおなじみのブランドロゴをあしらった文具や雑貨が並んでいること。万年筆インクには桃太郎をイメージしたピンクや、岡山特産の児島デニムの色もあり、地元の風景や特産品を色で表現しています。

インクは約60種類。きびだんご、マスカット、しまなみ海道の青空、鬼ノ城の赤鬼などがそろい、不動の一番人気は「美星の夜空」だそうです。番組では佐々木さんが調べた小ネタとして、岡山県井原市の美星町が国際的な星空保護区に認定された町であることが紹介されていました。実際この美星町は、2021年に国際ダークスカイ協会(IDA)からアジア初の「ダークスカイ・コミュニティ」に認定された星空の名所で、ネーミングには確かな背景があります。地元の宝を、文具の色名としてさりげなく観光資源と結びつけている点が見事です。

運営するのは、企業オフィスのプロデュースを主力とするクラブン。約30年前に全国に先駆けて郊外型の大型文具専門店を開き、今では会社の売り上げの2割を占める事業に育ちました。倉敷の美術館にあるモネの睡蓮をモチーフにしたガラスペンを企画した際は、予約開始後にサーバーがダウンするほどの人気だったといいます。

ここで私が強く共感したのは、執行役員の伊澤京子さんが語った「岡山の人はあまり地元を誇りにしていないところがあるのかもしれない」という問題意識です。文具のバイヤー経験がある渡辺さんが「このアイデアは浮かばなかった、悔しい」と漏らしたのも納得でした。地元の誇りを“持ち上げる装置”として文具を使う発想は、観光土産にもギフトにもなり、地元企業の認知度向上という相乗効果まで生みます。安売り競争とは別の土俵で価値をつくる好例だと思います。

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ピザクック|大手を抑え福岡シェア4〜5割、ごまさばピザの地産地消戦略

宅配ピザでローカルの強さを見せたのが、福岡のピザクックです。福岡県内に限れば、ピザーラ、ドミノ・ピザ、ピザハットといった全国チェーンを抑えて店舗数トップ。福岡に32店舗、佐賀に1店舗を構え、福岡県内のシェアは4割から5割ほどに達します。

人気の核は、福岡ならではの攻めたメニューです。4月に登場した新作「博多海鮮スターフォー」は、郷土料理のごまさば(サバの刺身を香ばしいごまだれで和えた一品)や、地元市場から直送したブリのカルパッチョを乗せた一枚で、直径25センチ、価格は3580円。これまでも水炊き料亭とコラボした水炊きのピザや、九州特有の甘口醤油を使った鶏すきのピザなど、地元の味を大胆に取り入れてきました。

この独自路線を支えるのが、グループ会社の岩田産業です。九州・山口エリアで最大級の外食産業向け食品商社で、地域の生産者や食品会社とのネットワークがユニークなピザづくりにつながっています。1990年代に照り焼きなど和のテイストを取り入れ、2010年代以降は地元食材へのこだわりを加速させてきました。

渡辺さんが指摘した2つのキーワードが核心を突いていました。1つは「意外性」。甘いものと辛いものが混じる、食感が初めて——そうした驚きはSNSに上げたくなり、自然な拡散を生みます。もう1つは「ドミナント(集中出店)」です。32店舗を福岡に集中させることで、配送効率や認知が一気に高まります。商社のネットワークで尖った素材を見つけ、それを集中出店の網で届ける。地産地消と物流戦略が噛み合っている点に、ローカルチェーンの完成度を感じました。

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ヤマダストアー|兵庫県産にこだわる「地産地消の推し活」、この冬に大阪・梅田初出店

兵庫県で11店舗を展開するスーパー、ヤマダストアーは、徹底した地元推しで人気を集めています。姫路市の有名喫茶店の人気ナポリタンを再現できるパスタとソース、わざわざ兵庫県産だけを集めたせんべい・おかきの棚、洋菓子の歴史が古い兵庫の人気店から取り寄せたスイーツ、地域の人気店を発掘した日替わりのパン。地元の品質にこだわった品を多く集めた店づくりです。

特徴的なのは、大量生産の定番品より高めでも、過度な安売りをしない方針です。取引先の生産者に利益を還元するためで、取引のある生産者は1000以上。店にある兵庫県産商品の売上は4年で2倍に増えました。番組では、5月下旬に発売した玉ねぎドレッシングの裏側も紹介され、農薬を減らした玉ねぎづくりに協力する生産者は、生産量の7割がヤマダ向けで「売上は右肩上がり」と語っていました。

渡辺さんはこの店を「ここのバイヤーをめちゃめちゃやりたい」と羨み、「安くないけれどウィンウィン、三方よし」と表現しました。私もここに、これからの小売りの方向性が凝縮されていると感じます。安さで競うのではなく、生産者と一緒に商品を開発し、客にしか味わえない希少価値を提供する。消費者の思考が「地元愛のある付加価値を買いたい」へと変わってきている象徴です。ただし、広い兵庫県の中からどれを選ぶかには相当の目利き力が要ります。地域に密着するだけでなく、深く知り抜くアンテナがあって初めて成り立つ戦略だといえます。なお、このヤマダストアーは今年の冬に大阪・梅田へ初出店する予定で、渡辺さんが言う「道の駅×デパ地下」のイメージが都心でどう受けるか、注目です。

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DZマート(ダイゼン運営)|店員2人・6000点に絞る割り切り経営で買い物難民エリアに商機

高付加価値路線とは真逆の発想で稼ぐのが、北海道のDZマートです。舞台は留萌市。東京23区の半分の面積に人口わずか1万7000人という、人口減少が進む街です。北海道北部の人口が少ない地域を中心に展開し、大手が出店しづらい場所で利益を生んでいます。

その仕組みが圧巻でした。テニスコート4面分の広さの店舗を、店員わずか2人で回します。店舗コストの4割以上を占めていた人件費を削るため、効率が良いから2人にするのではなく、「2人で回すにはどうするか」から逆算したのが発想の転換です。品揃えは約6000点と、同規模スーパーの半分ほど(一般的なスーパーの平均は約1万2000点)に絞り込み、入れ替えに手間がかかる生の魚は扱わず、飲料や冷凍食品を厚くしています。

さらに、900の作業項目とかかる時間を見える化して選別し、レジのトラブル対応は外部委託、棚卸しの頻度を下げるなどして作業項目を半分ほどに削減。商品の発注はすべて本社で行い、AIを使って天候や曜日、地域の行事に合わせた最適数量を決めています。今年は全店にセルフレジを導入し、1年後には1店舗あたりの総労働時間を2割減らす計画です。

渡辺さんはこの業態を、ドイツなどで広がる「ハードディスカウントストア」になぞらえ、人口減の日本でこれから注目される業態だと評しました。私も同感です。街中は店が溢れて過当競争ですが、買い物難民が生まれる過疎地にこそ空白の商機があります。割り切りを徹底するからこそ安くでき、買い物に困る人の生活も支える。きれいごとではなく、数字で運営を成立させている点に強い説得力がありました。

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渡辺広明氏の提言「勝ちたい店は、突き抜けろ」|ディスティネーションストアの時代

最後に渡辺さんが示した提言が「勝ちたい店は、突き抜けろ」でした。単なる独自性ではなく、突き抜けるほどやり切ることが、すべての事例に共通する勝因だという指摘です。

そのうえで紹介されたのが「ディスティネーションストア」というキーワード。その店に行くこと自体が目的になる店、という意味で、流通業界で話題になっている概念です。今回の5社はまさにこれに当てはまります。一宮漁港の活魚も、うさぎやの地元インクも、ピザクックのごまさばピザも、ヤマダストアーの兵庫県産も、DZマートの安さも、その店に行かなければ手に入りません。平成の時代は安さ重視でしたが、令和は「ここにしかない」を理由に人が集まる店が伸びる——その兆しを感じさせる回でした。

私が締めくくりとして共感したのは、渡辺さんの「地域に密着するだけでなく、深く知ることが大事」という言葉です。地元愛があっても、商品やサービスをつくるには対象を深く知らなければアプローチできません。逆に言えば、深く知り抜いた地域資源は、大手が簡単には真似できない参入障壁になります。あなたの街にも、まだ気づかれていない“突き抜けポテンシャル”を持つ店があるかもしれません。

LBS(ローカルビジネスサテライト)は毎月1回放送されています。次回もどんな地域発のビジネスが登場するのか、楽しみに待ちたいと思います。

※ 本記事は、2026年6月27日放送のLBS(ローカルビジネスサテライト)を参照しています。

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