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社会・暮らしの問題

【クローズアップ現代】サグラダ・ファミリア完成へ「イエスの塔」の祈り

【クローズアップ現代】サグラダ・ファミリア完成へ「イエスの塔」の祈り
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2026年6月10日放送のNHK「クローズアップ現代」は、サグラダ・ファミリアのメインタワー「イエスの塔」完成を特集しました。着工から144年、ガウディ没後100年という歴史的節目に、教会に集う人々はどんな祈りを託したのでしょうか。番組の内容を振り返りながら、完成が現代に投げかけるメッセージを、見逃した方にも分かりやすくお伝えします。

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【クローズアップ現代】サグラダ・ファミリア「イエスの塔」完成の放送内容

2026年6月10日放送のNHK「クローズアップ現代 サグラダ・ファミリア”完成”へ 祈り、世紀を越えて」は、スペイン・バルセロナの世界遺産サグラダ・ファミリアのメインタワー「イエスの塔」完成という、世紀の瞬間を伝える特集でした。キャスターは桑子真帆さん、語りは中井和哉さん。スタジオには、世界のガウディ研究者を代表する5人の1人として、サグラダ・ファミリアの講演会に招待されたこともある神奈川大学名誉教授の鳥居徳敏さんが出演しました。

番組は、戦火を逃れたウクライナ避難民の女性、移民・難民を招待する無料見学プログラム、観光客の増加に揺れる地域住民など、いま教会に集う人々の姿を独自取材で描き出しました。単なる建築の完成ニュースではなく、「混乱が続く現代世界に、この教会は何を語りかけるのか」という問いを軸に据えた構成が、いかにもクローズアップ現代らしい一本だったと感じます。

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サグラダ・ファミリア完成へ|イエスの塔は高さ172.5m・世界一高い教会に

サグラダ・ファミリアは1882年の着工から144年、天才建築家アントニ・ガウディが半生をかけた”未完の傑作”です。その大きな特徴は18にも上る塔で、それぞれ聖書にまつわる人物を象徴しています。その中心にそびえるのがイエスの塔。高さは172.5メートルに達し、世界で最も高い教会となりました。

完成の日となった2026年6月10日は、ガウディの没後ちょうど100年にあたります。この日、現地ではローマ教皇レオ14世によって、イエスの塔の完成を祝うミサが執り行われました。教皇は2日前、マドリードのスペイン議会で「武器は一時的な沈黙をもたらすかもしれないが、真の永続的な平和を築くことは決してできない」と演説しており、この完成が単なる建築上の出来事ではなく、平和へのメッセージと重なっていることが分かります。

壁面には数千もの彫刻が刻まれ、聖書の物語を表すことから「石の聖書」とも呼ばれています。そして建設資金のほとんどが市民の寄付や入場料で賄われてきたという事実も、番組で改めて紹介されました。内戦で設計図が失われるなどの苦難を、市民が支え続けてきた教会なのです。

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ガウディが光に込めたメッセージ|ウクライナ避難民が見出した希望

ガウディが光に込めたメッセージ

ガウディが光に込めたメッセージ

番組の核心は、「光の森」とも称される聖堂の光でした。天井から木漏れ日のように降り注ぐ光と、東西南北のステンドグラスから差し込む色とりどりの光。この光に救われた人として紹介されたのが、ウクライナ人のオレーナ・メドベッドさんです。

ロシアとの国境近くの小さな町で生まれ育ったオレーナさんは、軍事侵攻後に一家で避難を余儀なくされ、一昨年バルセロナへ。言葉の壁で仕事も見つからず、無力感に苛まれていた彼女が初めてサグラダ・ファミリアを訪れたとき、「浄化のような感覚」を覚え、「戦争以来初めて笑うことができた。生きていていいんだ、そう思えた」と語りました。

ガウディの思想を研究するアルマンド・プッチさんによれば、ステンドグラスはガウディにとって「神の光」を届ける大切な装置でした。サグラダ・ファミリアが着工した19世紀後半は、産業革命で貧富の差が拡大した時代。救いを求める人々の力になりたいと建設に取り組んだガウディの願いが、140年余りを経て、戦火を逃れた避難民の心に届いている。この時間を超えた呼応こそ、番組がもっとも伝えたかったことではないでしょうか。

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鳥居徳敏さんが解説するガウディ建築の秘密「三位一体の造形」とは

鳥居徳敏さんが解説するガウディ建築の秘密

鳥居徳敏さんが解説するガウディ建築の秘密(※画像はイメージです)

スタジオ解説では、鳥居徳敏さんがガウディ建築の核心に迫りました。印象的だったのは、筒をひねると曲面が現れる模型を使った天井構造の解説です。この曲面を水平に切ると上部が開いて光を拾い、下に向かって広がることで光がスムーズに拡散し、しかも影を作らない。従来の天井にはなかった造形だといいます。

その元になる考えが「直線」です。直線は無限に続き、どこで切っても同質であることから、神の象徴とされました。さらに3本の直線でできる「双曲放物面」を、ガウディは神・子・精霊になぞらえた三位一体の造形、つまり神の造形として「発見」したのだそうです。

また、生誕のファサードの彫刻には実在の人々がモデルになっていたという秘話も紹介されました。12歳から22歳までガウディの下で働いたオピッソという男性は、写真撮影や小動物の飼育を任されていたといいます。神が作った被造物は完璧であり、それをそのまま作ることがガウディの誇りだった、という鳥居さんの解説には深く納得させられました。

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すべての人に開かれたサグラダ・ファミリア|移民・難民への無料見学プログラム

いまサグラダ・ファミリアが力を入れているのが、急増する移民や難民を特別に招待するプログラムです。去年はアフリカ出身の人を中心に1600人余りが参加しました。番組では、アルジェリア出身のミドゥさんが初参加する様子が紹介されました。大学の修士課程を終えても仕事が見つからず、3年前に出国。約10か国を命がけで渡り歩いてきた彼は、4色のステンドグラスの光を見上げ、「青は海、黄色は砂漠、緑は山。それは命の色。この色を見ていると希望を感じる」と語りました。

一方、地元では観光客の増加で教会が「遠い存在」になったと感じる住民も。地区で生まれ育ったラウラ・ポンセさんは、祖母が生誕のファサードの聖母マリアのモデルになったというモンセラト・ブルさんの話を聴き、「サグラダ・ファミリアが自分たちの建物だということに感謝しなければ」と再認識しました。ガウディは民衆のための教会を作ろうと、地域の住民を彫刻として聖堂に刻んでいたのです。

鳥居さんによれば、ガウディは建築家の資格を取った26歳の頃すでに「教会はすべての人を入れるものであり、道路に接した場所に置き、常に開けておけ」と書き残していたといいます。観光地化への複雑な思いと、開かれた教会という理念。その間で揺れる地域の姿も、番組は丁寧にすくい上げていました。

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サグラダ・ファミリアの全体完成はいつ?視聴者の声と今後への考察

放送後、視聴者の間で多く見られたのが「イエスの塔が完成したなら、サグラダ・ファミリア全体が完成したの?」という疑問です。答えは「まだ」です。正面の「栄光のファサード」などの工事が残されており、全体の完成は2034年から2035年頃になるとみられています。

さらに鳥居さんは番組の最後で、興味深い構想を明かしました。それぞれの塔にはすべて鐘が入る計画で、聖堂の床から鍵盤のように弾けるようにする構想があるものの、まだ何も進んでいないというのです。光に続く「神の言葉」としての鐘。完成はまだ遠い話です。

しかし鳥居さんの「夢というのは、完成しないからこそ夢。ロマンを与える」という言葉に、私はこの番組の結論を見た気がします。144年かけてようやく主塔が立ち、それでもなお完成しない教会。効率やスピードが何より優先される現代において、世代を超えて何かを受け継ぎ、待ち続けるという営みそのものが、サグラダ・ファミリアの最大のメッセージなのかもしれません。

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まとめ

2026年6月10日放送のクローズアップ現代は、サグラダ・ファミリアのイエスの塔完成という歴史的節目を、「人々の祈り」という視点から描いた特集でした。高さ172.5メートル、世界一高い教会となった塔の完成は、ガウディ没後100年と重なり、教皇レオ14世のミサも行われました。ウクライナ避難民のオレーナさんが光に見出した希望、移民・難民への無料見学プログラム、そして「すべての人に開かれた教会」というガウディの理念。分断が深まる世界だからこそ、この未完の傑作が放つメッセージは重く響きます。全体の完成はまだ先ですが、だからこそ私たちは、この教会の物語をこれからも見守ることができるのです。

※ 本記事は、2026年6月10日放送のNHK「クローズアップ現代」を参照しています。

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