ぴあが最高益と聞いて、「あの雑誌の会社がまだあったの?」と思われた方もいるかもしれません。実は今のぴあは、チケットを売る会社から、イベントを主催する会社へと大きく姿を変えています。この記事では、営業利益43億円に至った仕組み、約2200万人の会員データの使い道、そして番組内で実際に作られた企画書の中身まで整理します。読み終える頃には、ぴあという会社の現在地がはっきり見えるはずです。
ぴあが最高益に|営業利益43億円、62億円の大赤字からの復活
まず数字から確認しましょう。番組で小林 覚さんが明かしたのは、現在の営業利益が43億円のプラスであるということ。業績としては追い風だと語っていました。
推移を並べると、この数字の意味がよく分かります。番組によれば、雑誌ぴあが100万部売れていた1980年代の営業利益は8億円。2010年代後半には13億円まで伸びていました。ところがコロナ禍でイベントが軒並み消え、一気に62億円の大赤字に転落します。
実際、2021年3月期の営業損失は62億3100万円でした。人を集めることそのものが禁じられた期間ですから、集客を生業とする会社にとっては、事業の前提が消えたに等しい状況です。
そこから現在の43億円です。過去の好調期と比べても3倍以上の水準ですから、これは単なる回復ではありません。戻ったのではなく、別の形になって帰ってきたと言うべき数字だと思います。
ぴあは今、何の会社?雑誌からイベント主催への大転換
そもそもぴあといえば、1972年創刊のイベント情報誌でした。映画、コンサート、お笑いライブから美術展まで、イベントと名の付くものなら超メジャーからマニアックなものまで網羅していた、あの分厚い雑誌です。
その情報誌ぴあは2011年に休刊しました。多くの方の認識も、おそらくここで止まっているはずです。残っているのはチケットぴあという名前と、そこでチケットが買えるという事実だけ、という印象ではないでしょうか。
ところが実態はかなり違います。番組が撮影に向かったのは都内のある劇場。そこで上演されていたミュージカルについて、ぴあの担当者はチケットを販売しているだけでなく、公演の主催もしていると説明したのです。
チケットを売る会社が、売る対象そのものを作っている。番組によれば、毎年夏に開催される大規模な花火大会も手がけているといいます。情報を届ける会社から、情報の中身そのものを生み出す会社へ。この転換が今回の話の出発点です。
ちなみに雑誌のほうも終わったわけではありません。2026年4月には月刊誌「とぶ!ぴあ」として、15年ぶりに紙で復刊しています。
イベント主催で儲かる仕組み|配信・グッズ・二次利用まで取れる
では、主催するとなぜ儲かるのでしょうか。
チケット販売だけを担う場合、手にできるのは売れた分の手数料、数パーセントです。どれだけ盛り上がっても、その割合は変わりません。
一方、主催者になると景色が一変します。小林さんが挙げたのは次のような広がりでした。
- 自分たちのイベントなので、配信ビジネスに展開できる
- グッズを作って販売できる
- そこで撮影された映像や音源を二次的に活用できる
つまり、ひとつの公演から取れる収益の本数が丸ごと増えるわけです。
ここで注目したいのは、ぴあが持っていた資産の性質です。チケット販売会社は本来、興行主とお客さんの間に立つ中間業者にすぎません。中間にいる限り、利幅は構造的に薄いままです。だからこそ川上へ回った。これは長年チケットを売り続けた会社にしか選べない道でもありました。誰と組めばイベントが成立するのか、その人脈と勘所を持っているからです。
年間700本のイベントを開催|自社アリーナ・シアターまで保有
しかも今のぴあは、自分たちの主催イベントを開けるアリーナやシアターまで所有しています。小林さんによれば、番組の取材時点で年間およそ700本のイベントを開催しているとのことでした。
700本というと、単純計算で1日あたり2本前後です。もはや情報誌の会社ではなく、完全にイベンターと言っていい規模でしょう。
ハコを持つ意味も大きいと感じます。会場を借りる立場だと、日程も条件も相手次第です。自前の会場があれば、いつ何をやるかを自分で決められる。主催・会場・チケット・配信を一社で通せる体制が、収益の取りこぼしを防いでいるわけです。
ハイリスクな主催を外さない理由|約2200万人の会員データ活用
もっとも、主催は良いことばかりではありません。番組でも指摘されていた通り、お客さんがたくさん入れば大きく儲かる一方、ガラガラなら大赤字を被ります。まさにハイリスク・ハイリターンのビジネスです。
そこで効いてくるのが、ぴあの蓄積でした。小林さんは、50年以上エンターテインメントだけをやってきたので、このアーティストならこのくらいは行けるという勘所が社内にあると語っています。
さらに強力なのがデータです。番組によれば、チケットぴあにはおよそ2200万人の会員がいます。会員情報と過去の購入履歴を分析すれば、あるイベントに来た人が他にどんなイベントへ行っているかまで見えてくる。誰がどのジャンルに興味を持ちそうかが分かるので、その層へ狙って告知を届ければ、高い確率で買ってもらえるというわけです。
これは冷静に考えるとかなり強力な仕組みです。チケットを売り続けてきた50年が、そのまま予測精度という資産に変換されている。中間業者の時代に溜まった副産物が、川上へ進出したときの最大の武器になった。事業転換の教科書のような話だと思います。
一方、同じ回に登場したブックオフは、データではなく店長の目利きに賭けて復活しました。
加藤浩次×みなみかわのイベント企画書|ぴあが本気で分析した結果
その予測力を、番組は無茶な形で試しました。加藤浩次さんとみなみかわさんでイベントをやるなら何がいいのか、どのくらいの規模で何人入るのかを分析してほしい、という依頼です。
さすがに無理だろうと思いきや、小林さんが差し出したのは企画書でした。番組のために企画会議まで開いて考えてきたといいます。
タイトルは「牙の抜き方、骨の残し方」。分析によれば、お二人のファンには男性が多く、意外にもJ-POPやロックが好きな層も相当いる。ならばアーティストやミュージシャンを招く形もあるのではないか、という提案でした。
ターゲットとして想定されたのは、コンプライアンスや合理主義といった現代の荒波に疲れている30代から50代の男性層。ゲスト候補にはラランドのサーヤさん、ダウ90000の蓮見さん、大槻ケンヂさん、リリー・フランキーさんという顔ぶれが並びました。
そして肝心の売れ行き予測が具体的でした。800人のシアターで、全席指定6000円、800枚を販売するという見立てです。
ここまで数字が出てくることに、ぴあの本気度が表れています。同時に、これがまさに前の見出しで触れたデータ分析の実演でもあるわけです。ファン層の重なりを読み、価格帯と会場規模を決める。抽象論ではなく、こういう具体で仕事をしている会社なのだと伝わってきました。
番組から生まれた「おっさんフェス」構想とは
そして番組後半、この企画書に触発された加藤さんが自分の構想を語り出します。それが「おっさんフェス」でした。
おじさんというだけで毛嫌いされてしまう人たちを集めて、自由に叫べて、自由に体を動かせる場を作りたい。日本の虐げられているおっさんたちのために一肌脱ぎたい、という趣旨です。みなみかわさんも、みんな抑圧されているから絶対にいいと同調していました。
小林さんは役員としてオッケーしてしまうと応じ、ぴあ側のプロデューサーもやらせてほしいと前向きな反応。加藤さん自身もやる気になってきたと語り、その場が一気に盛り上がる展開でした。
この一連の流れ自体が、実はぴあという会社の現在地をよく表しています。思いつきをその場で企画として受け止め、会場も動員数も価格も見立てられる。かつての情報誌がイベントを紹介する側だったのに対し、今のぴあはイベントを生み出す側にいる。番組が最後に見せたのは、まさにその変化そのものでした。
まとめ
ぴあの最高益は、雑誌の会社がイベントの会社へ変わりきった結果でした。
- 番組によれば現在の営業利益は43億円。1980年代は8億円、2010年代後半は13億円で、コロナ禍には62億円の大赤字を経験
- チケット販売の手数料は数パーセントだが、主催すれば配信・グッズ・二次利用まで収益源が広がる
- 自社アリーナやシアターを保有し、番組によれば年間およそ700本のイベントを開催
- 主催はハイリスクだが、約2200万人の会員データと50年以上の蓄積で客の入りを読む
- 番組の無茶振りに対し、800人シアター・全席指定6000円・800枚という具体的な企画書を提示
同じ回では、490円を守り抜いて最高益となった幸楽苑も紹介されています。
情報を届ける会社が、情報の中身そのものを作る側へ回った。そのとき効いたのが、届け続けた50年分のデータでした。おっさんフェスが本当に実現するのかどうか、続報を待ちたいところです。
※ 本記事は、2026年8月23日放送(TBS系)の人気番組「がっちりマンデー!!」を参照しています。
※ 公式サイトは、ぴあ株式会社、チケットぴあ


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